ロンドン2012
概要・説明
総合馬術
出場枠は75。日本は団体出場権を獲得しており、最大5人馬エントリーできる。総合馬術は、馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術の3競技を同一人馬でたたかうもので、人馬ともに体力、精神力が必要。
【馬場馬術】
馬場馬術といっても前述の《馬場馬術競技》とは要求されているレベルが違い、グランプリのような馬場馬術的に高度な運動は求められていない。むしろ、馬がクロスカントリーの走行に対応するための調教が充分にできているかが審査される。馬場馬術は採点競技であるが、その得点は減点に換算される。
【クロスカントリー】
総合馬術のメインは迫力満点のクロスカントリーだ。野山に設置された自然に近い形状の障害物を飛越しながら走行するもので、丸太を組み合わせてつくった障害物を飛越したり、池の中に飛び込んだり、飛び上がったり。とにかくスリリングな競技だ。また、設置されている障害物は固定されているため、馬が肢を当てても落下することがない。飛越のタイミングを大きくはずしてしまうと、選手が馬とともに転倒する危険もあり、テクニックと勇気が必要だ。今大会の会場はグリニッジパークで、丘の斜面を利用したとても美しいコースだ。全長は約5,700m、分速570mで走行することが求められているため、このコースを10分で走破しなければならない。コース上の障害物の数は42〜45個と、かなりハードである。
クロスカントリーでは1回の不従順で減点20(同一障害で2回目の不従順は減点40)、トータルで3回の不従順があった場合には失権。また、障害物の飛越時に落馬あるいは人馬転倒をした場合には失権となる。また規定タイムを1秒オーバーするごとに0.4の減点となる。クロスカントリー上での過失は減点が大きいため、ここで何かミスがあると順位が大きく後退してしまうことになる。
人馬の能力、テクニックだけではなく、馬のケアが非常に重要で、特にクロスカントリーの後には、馬の肢を冷やしたり、マッサージをしたり。まさに人馬が力を合わせてたたかい抜く競技なのだ。
【障害馬術】
そして最後が障害馬術。これも前述の《障害馬術競技》とは要求されているレベルが違い、障害物の高さは最高でも125cm(個人戦決勝競技では130cm)。ただし、前日にはクロスカントリーを走って馬が疲れていることもあり、慎重な走行が求められる。
今回のオリンピックにおいては、最後の障害馬術が2回行われる。最初に団体戦の成績を決定するためおよび個人戦ファイナルへの出場権獲得のための走行が実施され、その中から上位25人馬(ただし1ヵ国3人馬まで)が個人戦ファイナルに進むことができる。走行中の障害物の落下は減点4、不従順も減点4、ただし2回目の不従順があると失権となる。なお、規定タイムを1秒超えるごとに1点の減点となる。
団体戦の成績は、各チームの上位3人馬の合計減点(馬場・クロスカントリー・障害)の少ない順に決定する。個人戦の最終成績は、すべての減点(馬場、クロスカントリー、2回の障害馬術)の合計が少ない順に決定する。