ロンドン2012
概要・説明
予備予選の実施
今回、オリンピックとしては初めて、男女100m競走で予備予選が実施される。オリンピックの陸上競技では、種目ごとに参加標準記録が設定されており、この記録を突破しなくては参加することはできない。唯一の例外として、すべての種目に突破者がいないNOCに限っては、混成競技などを除く、いずれかの種目へ男女1名ずつの参加が認められる。
この枠で参加する選手は、多くが100mにエントリーすることから、参加選手数が多数となり、過去のオリンピックでは、1次予選、2次予選、準決勝、決勝と4つのラウンドが設定されていた。こうなると、100m、200mそしてリレーを掛け持ちしているトップ選手は、100mで4回、200mで3回、リレーで2回とあわせて9回走ることになり疲労困ぱい。新記録への期待が薄まってしまう。
こうした負担を軽減するために、オリンピックと世界陸上でのラウンド数は最大3回までとすることをIAAFは決定し、昨年の世界陸上から導入されたのが、予備予選である。IAAFルールでは、100mで3ラウンドで実施できる最大の人数は、8レーンのトラックでは56名である。エントリーの際に、この人数を超えた場合、標準記録を突破していない選手のみを対象としたレース「予備予選」が実施されるのである。仮に、標準記録突破者が50名いた場合には、残る6名の枠をかけて予備予選が実施されることになる。
予選の組み分け
予選の組み分けは、ベストタイムや持ちタイムに関係なく抽選で決定される。ただし好記録をもっているトップレベルの選手(チーム)が決勝に進めるよう配慮するよう推奨されている。例えば、世界記録保持者と今季世界最高記録保持者が抽選の結果、同じ組になったときは、IAAFの競技部門総責任者“技術代表”の判断で別の組に移すことになる。予選や準決勝では、同じ国の選手が別の組となるように組み合わせに配慮がなされる。
予選後の組み分けのルール
400mまでのトラック種目とリレーで、予選を終えた次ラウンドの組み分けの決め方は“順位優先”の考え方です。「4組3着+4」のレースのときは、各組1着の選手の記録順でA、B、C、Dと序列が決まり、2着の記録順にE、F、G、H、3着でもI、J、K、Lそしてプラスの4名の記録でM、N、O、Pと序列が決められる。そのうえで次ラウンドである準決勝の2つの組のレベルが均等になるように次のパターンで組み分けされる。
一つの組 A D E H I L M P
もう一つの組 B C F G J K N O
シードレーン
レーンの決め方にもルールがある。8レーンのトラックでは、上位4人(チーム)は中央4つのレーン(第3−6レーン)、それに続く中位の2人(チーム)は外側の2レーン(第7−8レーン)、下位の2人(チーム)は内側の2レーン(第1−2レーン)に割り振られそれぞれ抽選によりレーンが決まる。
先の組み分け解説の2つの組を例にとると、3−6レーンにはいれるのは、ADEHとBCFG、7、8レーンにはILとJK、1,2レーンにはMPとNOとなる。
4×400mリレーバトン渡しの注意
4×400mリレーの第3、第4走者は審判の指示に従い、前走者が200mのスタート地点を通過した順序で、内側より並び待機する。その後、この順序を変えるとチームは失格になる。さらにテークオーバーゾーンの内側より走り出さなくてはならない。このときラインの線は踏んでもかまわない。
リレー編成の決め方
リレーのメンバー決定は、世界では、日本のルールより柔軟である。予選と決勝の2ラウンドの場合、予選では、リレーにエントリーされているかどうかはまったく関係なく、どの種目であっても大会にエントリーされてさえいれば誰でもリレーを走ることができる。次以降のラウンドでは、さらに2名まで変更が可能である。
棄権は原則禁止
オリンピックでは、選手が実際に出場するかを書面で最終確認する。万が一、この書類提出後に理由なく棄権すると、大会期間中、その後におこなわれるどの種目にも参加することはできなくなる。同様に、予選で次ラウンドへの進出する権利を得たのに棄権することもできない。ただし大会組織委員会が手配した医事担当者の診断書があった場合は、この限りではない。
またリレーのオーダー用紙提出後のウォームアップ中に怪我などのために走ることができなくなった場合、組織委員会の医事担当の診断書があれば、選手変更は可能である。
競歩の一発失格
オリンピックの競歩では、IAAFから派遣された主任を含む9名の国際競歩審判員が判定を担当する。異なる審判員から3枚以上の赤カードを出された場合、失格となるが、残り100mからフィニッシュまでの間で歩型違反が明らかな時、主任はこれまでの赤カードの枚数に関係なくその選手を失格にすることができる。
フィールド種目の試技順
走幅跳、三段跳、投てき種目の試技順番は、8名に人数が絞られる4回目以降、記録が低い選手から高い順へと変更になる。昨年までは、6回目でもさらに変更するようルールに定められていたが、今年からその規定はなくなった。
フィールド種目の制限時間
フィールド種目では、定められた時間内に試技をはじめないとファールとなる。制限時間は種目や状況によって異なる。選手が準備できてからではなく、前の選手の計測などが終わり審判の準備ができたときから時間はカウントされる。この時間は、競技場所に置かれた時計でカウントダウンされている。15秒前になると審判により黄旗が上げられ、時間になると赤旗が掲げられる。