日本注目のスキー・女子モーグルが13日、サイプレスマウンテンで行われました。激しく横殴りの雨が吹きつける難しいコンディションのなか、選手らはそれぞれの力を振り絞った滑りを披露。集まった観客もずぶ濡れになりながら、最後まで声援を贈り続け、選手も観客も一体となった夜になりました。日本代表選手団は、上村愛子選手4位、村田愛里咲選手8位、伊藤みき選手12位、里谷多英選手19位でした。
華麗なエアを決める上村選手(Photo:ロイター/アフロ)
予選では小雨だった雨が、2時間のブレイクタイムをはさんだ決勝の時には、横殴りの雨へと変わっていました。煌々と照らされたコースが、日が落ちて暗くなったサイプレスマウンテンに浮かび上がります。
日本代表選手団の4人とも予選を突破し、一番手は伊藤選手。2つのエアをきれいに決め、31秒51のタイムでゴールすると両手を挙げてガッツポーズ。ターン11.6、エア4.44、スピード5.59で総合21.63をマークしました。
伊藤選手(Photo:ロイター/アフロ)
続いて里谷選手が登場。第一エアをクリーンに決めると、第二エアまでの長いコブの連続を積極的に攻め、強気の滑りを見せます。腰痛の不安を感じさせないスピードのある滑りでしたが、第二エアの踏み切りでバランスを崩し、空中で脚が開いてしまい転倒。すぐに起き上がってゴールしましたが、総合12.85で、この時点で最下位に。それでも果敢な滑りに会場から大きな拍手が送られました。
里谷選手(Photo:ロイター/アフロ)
日本の三番手は、予選でも11位に入る好調な滑りをみせていた村田選手。やわらかいターンで無駄の無いコースを攻め、迫力のあるエアで魅せます。第二エアでは、空中を舞うかのようなバックフリップに、北米の観客たちからも「オーッ」と歓声が上がりました。滑り終えた瞬間、村田選手も、渾身の滑りにガッツポーズ。ターン12.5、エア4.56、スピード6.16(30秒05)の総合23.22で、この時点でトップに立ちます。
村田選手(Photo:ロイター/アフロ)
そしてメダルの期待のかかった上村選手は、20人中の16番滑走。直前に滑ったシャノン・バーク選手(アメリカ)が27.90秒でゴールし、メダル圏内の25.43で首位となる中での滑走となりました。上村選手は、第一エアを華麗に決め、コブを冷静に攻めるミスのない滑り。第二エアの着地でわずかに足が開きましたが、28.88秒と好タイムでゴールし、24.68で2位につけます。
この時点で、残る滑走者は予選上位の4人。ところが、続く2人がターンやエアで転倒し、下位に回ります。そしてトリノ冬季オリンピック女王の、ジェニファー・ハイル(カナダ)が登場すると、会場は滑る前から総立ちになり熱気は最高潮に。華麗なターンと高速の滑りで、27.91秒でゴールすると25.69で首位に立ちました。地元カナダの観客らは、応援のベルを大きく鳴らし、得点を読み上げる放送が聞こえないほどの大歓声が沸きました。
そして最終滑走は、予選トップのハナ・カーニー選手(アメリカ)。この時点で上村選手は3位。上位陣の転倒が続くなか、観客は息をひそめて見守ります。しかし、さすが昨季ワールドカップ種目別優勝の実力者。臆すること無くコブを攻め、ターン、エア、スピードともにトップの総合26.63で優勝を飾りました。
上村選手は、惜しくも4位。それでも、長野オリンピック7位、ソルトレークオリンピック6位、トリノオリンピックの5位から順位を上げた活躍に、遠く日本から足を運んだ日本人の観客たちは、「よくやった!」「頑張ったね」と、雨の降りしきるサイプレスマウンテンに向かって叫んでいました。 (JOC広報チーム)