2010/02/26
浅田選手は銀メダル、安藤選手5位、鈴木選手も8位入賞!
大注目の女子フィギュアスケート。25日夜(日本時間26日)、パシフィックコロシアムは何度も歓声の渦に包まれました。世界女子初のオリンピックでのトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)2本を決めた浅田真央選手は銀メダル。安藤美姫選手は、大きなミスなく力を出し切り5位入賞、鈴木明子選手も気持ちのこもった情熱的な演技で感涙の8位入賞を果たしました! 日本フィギュアスケート男女は、6選手とも入賞する快挙です。
メダルを胸にした選手たち(提供:アフロスポーツ)
ショートプログラム11位発進の鈴木選手は、新調した赤い衣装で登場。「ウエストサイドストーリー」のプログラムに合わせ、マリアになりきります。「オリンピックに出られたことで私の夢が叶ったので、今度は見ている人に何かを伝える演技をしたい」と話していた鈴木選手。一歩一歩の滑りに力強さがあり、不安や緊張を感じさせません。体全体を激しく使ったストレートラインステップでは、滑ることの喜びと情熱が全開! 演技を終えた瞬間、顔をおおい嗚咽がこみ上げました。オリンピック初出場で、総合181.44、8位入賞の快挙を果たしました。
力強い演技が光った鈴木選手(提供:アフロスポーツ)
そして迎えた最終グループ。2番滑走の安藤選手から、キム・ヨナ選手、浅田選手、ジョアニー・ロシェット選手と続きます。
トリノオリンピック15位と悔し涙を流してから4年。その雪辱と周囲への感謝を胸に、安藤選手は氷に降り立ちます。3回転+2回転ジャンプなど確実にジャンプを積みあげ、音楽を感じながら滑っているのが伝わってくる大人らしい滑り。後半になるにつれスピードが増していく、強さと美しさの共存する演技で、4年間での大成長を示しました。総合188.86で5位。メダルには届きませんでしたが、22歳の女性らしい深みのある滑りで、安藤選手にしか出来ない世界を表現しました。
キム選手は、韓国の国民の期待を一身に背負っているとは思えないほど、優雅でやわらかい動きで、すべてのジャンプを成功。艶やかな女性らしい演技で観客を魅了すると、女子の歴代最高得点となる228.56をマーク。ダントツの首位に立ちました。
浅田選手は「ヨナの演技は見ていなかったけれど、観客の反応でいい演技をしたのだと分かりました」といい、まだ熱が覚めやらない会場に降り立ちます。ラフマニノフの「鐘」の荘厳な曲調に乗りゆっくりとスケーティングを始めると、冒頭でトリプルアクセルを2本成功。オリンピック女子初の快挙を達成したのです! しかし気を許すわけには行きません。このままノーミスで滑れば逆転の金メダルの可能性もあると、会場は固唾を呑んで見守ります。
ところが中盤のジャンプで連続のミス。ここで金メダルの可能性が低くなったことは、浅田選手自身も感じたでしょう。しかし力を抜くことなく、後半のストレートラインステップでは、今シーズンで一番激しく一歩一歩を深く踏み込み、攻めの姿勢を崩しませんでした。演技を負えると、笑顔なく肩を落とした浅田選手。目標だった200点を超える205.5をマークしましたが2位となりました。
トリプルアプセル2本を成功した浅田選手(提供:アフロスポーツ)
続くロシェット選手の名前がコールされると、会場はこの日一番の大歓声。序盤にジャンプミスがありましたが、背中を押す大きな拍手が沸き起こると、集中力を取り戻します。すべての力を振り絞るような最後のスピンでは、まだ終わらないうちから観客が総立ちに。力強くフィニッシュすると、天に向けて両手で投げキスをしたロシェット選手。それは21日に天へ旅立った母へ、感謝を伝えたのでしょう。200点を超える202.64で銅メダルを獲得しました。最後まで踊りきったロシェット選手(提供:アフロスポーツ)
それぞれ、胸に秘めた思いを演技に託したオリンピック。悲喜こもごもの涙が流れました。目標に向けて努力し、この日出せる力は出しきったはずです。これからの4年間に、そして次の人生のために、自分自身を成長させる場であったことを願ってやみません。 (JOC広報チーム)