/ 選手強化 / TEAM JAPAN DIARY
TEAM JAPAN DIARY

« 2010年6月 | メイン | 2010年8月 »

2010年7月

2010/07/30

松岡修造さんが「世界で戦うために必要なこと」講演 エリートアカデミー

将来の活躍が期待できるジュニアの競技者として集い、トップレベルのトレーニングに取組んでいるエリートアカデミー生。競技だけでなく、理想とするトップアスリートを目指すには社会性や人間性の成長も欠かせません。そこで競技のトレーニングとは別に行われている育成プログラムのひとつに、月1回行われる「ヴィクトリープログラム」があります

2010elite_pingpong_japan_league_325熱く語る松岡さん

今年度は「自分の考えを“伝える”」がテーマ。6月は、松岡修造さんを招き、「世界で戦うために必要なこと」と題した講演をしていただきました。

講演会と思いきや、松岡さんは冒頭で「エリートアカデミー生のみなさんは、英会話も習っていると聞いています。今から指名した人に、1分間の英語スピーチをしてもらいましょう」と提案。急に指名されたことで緊張したエリートアカデミー生たちは、せっかくの英語力を発揮できず言葉につまり気味になる場面も。すると松岡さんは、自身が高校時代、海外で練習相手を見つけるために英語でのコミュニケーションを苦しみながらも取組んだエピソードを披露。『I like tennis.』などの簡単な言葉でもいいので、積極的にコミュニケーションを図る姿勢が大切だと説明しました。

また松岡さんは、ケガに苦しんだ時期の心境についても、アドバイスを下さいました。「なんでケガをしちゃったんだと後悔するのではなく、どうやったらケガを抱えながら上を目指すかと切り替えることが大切」と話し、前向きな気持の重要さを話しました。

また「幸せは3つある。何かをしてもらえる幸せ、出来るようになる幸せ、そして人に与える幸せ。スポーツ選手は、この『人に感動を与える幸せ』をできる職業なんです」「どんなに苦しくても笑うことが大切」など、終始、松岡さんらしい熱い口調で語っていただきました。

2010elite_pingpong_japan_league_339エリートアカデミーの生徒たちも何かを得た様子

講演後、エリートアカデミー生らは「点が取れないときに泣いたりイラついたり自分にマイナスになることが多かったのですが、これからは笑うという心がけを試してみたいです」「いま膝をケガしていて、なんで治らないんだとイライラしていましたが、どうしたら治せるかどうしたら怪我をしなくなるかを考えて行動していきたいです」などと話し、松岡さんのアドバイスをさっそく練習に生かそうとしている様子。今後の成長につながる有意義なひとときとなったようです。

2010elite_pingpong_japan_league_3_2

2010/07/29

古橋廣之進さんの記念碑除幕式・建立祝賀会が行われる

昨年8月にローマで逝去された古橋廣之進さんの記念碑が完成し、昨年のローマで行われた世界水泳選手権の晴天が思い出される暑い夏のさなかの726日、東京都北区の国立スポーツ科学センター(JISS)で除幕式と建立祝賀会が行われました。敗戦で打ちのめされた日本に夢と希望を与えると共に、戦後の日本スポーツの普及・発展に貢献した古橋さんの偉業を後世に永く伝えなければならないという思いから、この夏、一周忌を迎えるにあたり、記念碑を建立することになりました。

Adsc01785完成した古橋さんの記念碑

記念碑には、古橋さんの直筆による座右の銘「泳心一路」の文字と、古橋さんの胸像が埋め込まれています。また上部には、日の丸と泳ぐ人をイメージした御影石があしらわれました。高さ275cm、幅310cm、厚さ20cmの大きな記念碑で、499人の寄付をもとに約600万円かけて作成。日本スポーツ振興センターの配慮により、味の素ナショナルトレーニングセンターとJISSの敷地の入り口に建立され、両センターでトレーニングに励むトップアスリートたちが練習の行き帰りに目にすることになります。

Adsc01783暑い晴天のもと除幕式が行われた

建立実行委員長の森喜朗氏は、「古橋さんの活躍は、敗戦に打ちひしがれた日本国民に夢と希望と勇気を与えてくれました。選手達は、記念碑に刻まれた文言をかみしめて、スポーツへの情熱を受け継いでほしいです」、建立副実行委員長の佐野和夫・日本水泳連盟会長は「建立のためにご尽力いただいた方々に深く御礼を申し上げます。『魚になるまで泳げ』『泳進一路』の言葉を受け止め、選手の活躍につなげていきたいです」とあいさつしました。

Syukugakai祝賀会には150人以上の関係者が集まり、古橋さんを偲んだ

川端達夫文部科学大臣は「古橋さんの活躍は戦後日本の明るい光でした。また引退後も日本スポーツの発展に寄与され、スポーツ競技者として初の文化勲章を授与されました」と古橋氏を振り返り、竹田恆和JOC会長は「選手の強化拠点である、味の素ナショナルトレーニングセンターと立科学スポーツセンターでトレーニングを重ねる選手が、古橋さんの意思を引き継ぎ、さらなる活躍をすることを期待しております」とあいさつ。約150人が参加した建立祝賀会では壇上に古橋さんの遺影が飾られ、参加者らはその面影を偲びました。

2010/07/27

ロンドンオリンピック・パラリンピックまであと2年、駐日英国大使館でイベント

ロンドンオリンピック・パラリンピック開催まであと2年となった727日、駐日英国大使館の大使公邸で「開催2年前記念イベント&交流会」が開かれました。

Aimg_99902階建てバスの前で記念撮影する有森さん、大日方さん、ウォレン駐日英国大使

デイビッド・ウォレン駐日英国大使は「このエキサイティングなイベントを世界の人々と分かち合うとともに、これからの英国を世界の方々と共有する場にしたい」とあいさつ。さらにビデオメッセージが流され、ウィリアム・ヘイグ英国外務大臣の「2012年のオリンピックの開催を期待に胸を膨らませて心待ちにしています。英国の様々な魅力を知っていただくため、日本の皆様が英国を訪れるチャンスになることも期待しています」、セバスチャン・コー大会組織委員会会長の「オリンピック26競技、パラリンピック20競技を開催することが私たちの仕事となります。世界の若者達にスポーツに親しんでもらうよう、2012年までに20カ国1200万人の若者にアプローチするプログラムを進めています」とコメントを寄せました。

Aimg_9909あいさつするウオレン大使

また日本選手団の事前合宿や人的交流等を行っているイギリス・ラフバラ大学のキャサリン・ウォルシュ副総長代理が「ラフバラ大学は最新の施設が揃うだけでなく、第一線の学者の拠点にもなっています。日本の選手の準備合宿を受け入れることで、パートナーシップを築いていきたいです」とあいさつしました。

Aaimg_9918あいさつするウォルシュ副総長代理

また特別ゲストとして、オリンピアンの有森裕子さん(陸上競技・女子マラソン)、パラリンピアンの大日方邦子さん(アルペンスキー)が登場。有森さんは「オリンピックは、頑張ることの大切さや応援してもらえる感動を経験できた場所。アスリートにとってロンドンが最高のパフォーマンスを出せる場所であってほしいと願っています」と話し、大日方さんは「パラリンピアンにとって、イギリスはその原点となった特別な場所。ぜひ多くの人にイギリスを訪れていただき、大会を肌で感じてほしい」と話しました。

Aaimg_9950ゲストとして登場した有森さん(左)と大日方さん

また同大会のマスコット、ウェンロックとマンデヴィルを施したケーキに、2人が最後の「目」の飾りつけをして完成させました。ウェンンロックは、ピエール・ド・クーベルタンがオリンピック創設のきっかけとなった村の名前に由来。マンデヴィルは、パラリンピックの先駆けとなった大会が行われた村の名前に由来しています。

Aaimg_9979ケーキを完成させる有森さんと大日方さん

続いて行われた交流会では、JOCの竹田恆和会長が「開催準備は順調に進んでいるとのことで、関係者の御努力に深い敬意を表したいと思います。ラフバラ大学では、すでに柔道、ボート、トライアスロンのチームが合宿させていただいており、これからの2年間も様々な競技が遠征させていただく予定で、心から感謝しております。ますます二国間のスポーツ関係を深めていきたいと思います」とあいさつしました。

Aaimg_0008乾杯の音頭をとる竹田会長

イギリス・ロンドンで64年ぶりとなる2012年ロンドンオリンピック・パラリンピックは、2012727日〜812日に開催予定です。

2010/07/20

卓球のアジア大会代表選考会で松平健太選手が優勝

文・折山淑美

19歳の松平健太選手と16歳の丹羽孝希選手。味の素ナショナルトレーニングセンターで71416日に行われた第16回アジア競技会(11月、中国・広州、以下アジア大会)卓球男子日本代表選考会の決勝は、20名の選手のなかから、フレッシュな若手対決となった。

このふたりは、ジャパンオープン(714日)ではダブルスを組み、準決勝で09年世界選手権3位の水谷隼/岸川聖也選手組を下すなどの番狂わせを演じて優勝をしたペアだ。

Kenta1_2  優勝した松平選手

Niwa1_2  16歳ながら決勝へ進んだ丹羽選手

ともに前日までのリーグ戦は2位通過。準決勝で、松平選手は塩野真人選手のカットに苦しんで13とセットを先行されながらも、最後は競り勝った。丹羽選手は予選リーグ無敗と好調だった松平健太選手の兄・賢二選手を4対1と危な気なく下して決勝へ進んできた。

Shiono_2カットで松平選手を苦しめた塩野選手

Kenjimatudaira_2  リーグ戦をトップで通過した松平賢二選手

ともにプレースタイルは前陣速攻型。男子ナショナルチームの宮崎義仁監督が「世界でも特に打点の速いふたりだから、非常にスリリングな試合になった」というような大接戦。ともにセットを取り合い、最終第7セットもジュースから点を取り合い、1513で松平選手の勝利が確定する熱戦となったのだ。

アジア大会男子の試合による代表内定基準には3種類ある。まずは今年1月の全日本選手権シングルス優勝者。そして2番目に、今年11日〜731日までの国際大会で、日本人以外の世界ランキング30位以内の選手3名以上に勝利した者を、強化本部が最大2名まで選出する。そしてこの選考会での優勝者だ。

すでに、今回出場しなかった水谷隼選手(明大)が全日本選手権で優勝しているため、松平選手は男子2人目の内定者となり、出場枠2のシングルス出場も有力となったのだ。

「接戦をものにして優勝できたのは自信になりました。以前は体力がないと周りからも言われていたし、自分でもそう思っていたけど、今回フルセットになった準決勝、決勝の2試合を勝てたのは、体力がついたからだと自信を持てます」

Kenta2_2 Niwa4_2

激しい戦いとなった松平選手(左)と丹羽選手(右)の決勝戦

松平選手は06年の世界ジュニアシングルスで優勝して期待を集めた。しかし07年には世界選手権へ出場しながらも、12月には手首の手術を受けて長期離脱。それでも08年夏に復帰すると、09年の世界選手権では北京オリンピック金メダリストの馬琳選手(中国)とフルセットまで持ちこみ、敗れたもののベスト16進出の快挙を果たしたのだ。

だがその後は不振に陥り、今年1月の全日本選手権も、シングルスは初戦敗退という屈辱を味わった。その原因は、得意技だったオリジナルの“しゃがみ込みサーブ”が通用しなくなったことだ。フォームが傍目でも分かるくらいに変わってしまい、自分が思ったように球を出せなくなっていた。そのため、5月の世界選手権後は、普通のフォアサーブでのスタイルを模索し始めた。

そして、「いくら練習で普通のフォアサーブを使っていても、試合で出さないと自信につながらないと考えて、思い切って普通のサーブを出した」という前に攻める気持が、ジャパンオープンでのダブルス優勝や、この選考会の優勝につながったのだ。

宮崎監督も「しゃがみ込みサーブを1本も使わないで勝てたのは自信になる。ニュー健太が誕生したといえる。これを合宿で今の技術を詰めていけば、国際舞台でも活躍できるのではないかと感じた」と高く評価する。そして松平選手も、「下半身の強化が出来ていたから安定していたと思うし、動く練習もしてきたから今日は両ハンドを出し安かった」と強化の手応えを口にする。

Kenta3_2  新しいサーブスタイルで自信をつけたと語る松平選手

宮崎監督はアジア大会の目標を、団体戦での中国への挑戦と、個人戦での水谷選手の優勝だという。そして松平選手には、次の世界選手権のシングルスでランキング上位選手を23名倒してのベスト4へ進出をノルマにする。

松平選手の世界ランキングは52位(71日現在)。ロンドンオリンピック出場のためには、それを20位以内まで上げる必要もあり、急激なランキング上昇は上位選手に何度も勝たなければ果たせないからだ。アジア大会をそのきっかけにしてほしいという期待もある。

一方、準優勝に終わった丹羽選手も、松平健太選手とのペアでアジア大会代表になる可能性が高くなった。彼は青森山田中3年だった09年の全日本選手権シングルスでベスト16に進出して注目され、同年の世界選手権代表にもなった選手だ。宮崎監督も「丹羽もジャパンオープンで健太と組んでダブルスで優勝したように、才能では健太に匹敵するものを持っている。ロンドンオリンピックに向けて健太とのダブルスで使えるようになれば、チームとしても強くなるはず」と期待する。しかし丹羽選手もまた、156位(71日現在)で留まっている世界ランキングを松平選手以上に、どこまで急激に上げていけるかが大きな課題となる。

松平選手と丹羽選手、ふたりの成長は日本男子卓球のオリンピックでのメダル獲得のための、これからのキーポイントになりそうだ。

2010/07/16

デーランに参加したオリンピアンからメッセージが届きました

子供たちの笑顔あふれた「2010オリンピックデーラン喜多方大会」。実は、デーランを楽しんだのは喜多方の方々だけでなく、参加したオリンピアン自身もみなさんの笑顔に包まれ幸せな一日を過ごしたとのこと。参加した6人のオリンピアン、中村真衣さん(水泳・競泳)、黒木知宏さん(野球)、鈴木絵美子さん(水泳・シンクロナイズドスイミング)、川上直子さん(サッカー)、舛田圭太さん(バドミントン)、桧野真奈美選手(ボブスレー)から、温かいメッセージが届きました!

Kitakata6_2

◆デーラン・アンバサダー 中村真衣さん(水泳・競泳

◆デーラン・アンバサダー 黒木知宏さん(野球)

◆オリンピアン 鈴木絵美子さん(水泳・シンクロナイズドスイミング

◆オリンピアン 川上直子さん(サッカー)

◆オリンピアン 舛田圭太さん(バドミントン)

◆オリンピアン 桧野真奈美選手(ボブスレー)

喜多方の方々の温かい心や熱心なスポーツ欲に触れ、ジョギングやスポーツ教室を満喫した様子。それぞれ次のデーランに向けて意欲を高めていました。

2010/07/14

笑顔あふれた一日 オリンピックデーラン喜多方大会

JOC710日、喜多方市の押切川公園スポーツ広場と押切川公園体育館で2010オリンピックデーラン喜多方大会」を開催しました。2㎞のコースをオリンピアンと走るジョギングや、水泳・シンクロ、野球、サッカー、バドミントンの教室などが行われ、集まった子供たちは笑顔あふれる一日を過ごしていました。

Nakamuraimg_9154_2 Hinoimg_9133_2

(上)子供たちと走る中村さん、(下)笑顔で走る桧野選手

喜多方大会に参加したのは、デーラン・アンバサダーの中村真衣さん(水泳・競泳)、黒木知宏さん(野球)のほか、鈴木絵美子さん(水泳・シンクロナイズドスイミング)、川上直子さん(サッカー)、舛田圭太さん(バドミントン)、桧野真奈美選手(ボブスレー)の計6人のオリンピアン。さらにマクドナルドのキャラクター「ドナルド・マクドナルド」も駆けつけてくれました。

前夜の雨から一転、大会当日は晴天に恵まれ、参加者は元気いっぱいに2㎞のジョギングをスタートしました。オリンピアンとおしゃべりをしながら楽しくジョギングする家族、沿道からの「頑張って!」の掛け声に反応して力を振り絞って走る子、オリンピアンについていこうと最後までペースを落とさず頑張った子など、それぞれに思い出深いデーランとなった様子でした。

Kurokiimg_9157_2Kawakamiimg_9170_2

(上)子供たちと走る黒木さん、(下)地域の方々と走る川上さん

ジョギングの後は、オリンピアンと競争する50m走。上位3名にはメダルが贈られることもあって、みなさん本気です。全体のトップは舛田さんの709で、オリンピアンの面目を保ちました。続いて行われた体力テスト・トークコーナーでは、子供たちがオリンピアンに挑戦。長座体前屈では、柔軟性があると思われたシンクロの鈴木さんが年齢平均より硬く、「身体が硬くてもシンクロを出来ることを証明しました!」と話し、子供たちを笑わせていました。

Suzuki50img_9225_2 50m走で力いっぱい走る鈴木さん

午後は、競技ごとに分かれてオリンピアンによるスポーツ教室が行われました。舛田さんによるバドミントン教室では、基礎フォームのほかトップアスリートの心構えを指導。「どんどん質問したり、コーチのフォームを色んな角度から見ようと動き回ったりしていた子がトップに出てきます」と、モチベーションの大切さを伝えていました。

Badomintonimg_9366_2バドミントン教室でお手本を見せる舛田さん

水泳・シンクロ教室では、中村さんと鈴木さんが指導。競泳のフォーム指導のほか、手をかいて浮いたり足を上げたりするなどシンクロの基礎にも挑戦しました。最後には競泳とシンクロのお手本を2人が披露。中村さんによる滑らかなフォームの背泳ぎや、鈴木さんによる美しいシンクロの演技を間近で見た子供たちからは、感嘆の声が上がりました。Kyoueiimg_9369_2 Shinkuroimg_9419_2

(上)フォームを指導する中村さん、(下)シンクロの演技を披露した鈴木さん

野球教室では、黒木さんが「打ったら走れ!気を抜くな!」「セーフ!」とグラウンドの端まで届く大きな声を出し、子供たちは全力で走ったり、ボールを投げたりと、やる気を引き出された様子。「何事にも全力でやる精神が大切」と、熱い心を伝えていました。サッカー教室は、川上さんが指導して試合形式での練習。巧みなドリブルやディフェンスを披露し、「もっと攻めてボールを取りに行こう!」など子供たちにエールを送っていました。

Yakyuuimg_9470_2Soccerimg_9449_2 

(上)野球教室で子供たちと力を合わせてプレーする黒木さん、(下)川上さんのエールに背中を押され全力で走る子供たち

オリンピアンと一緒に気持ちよい汗を流したオリンピックデーラン喜多方大会。それぞれの心にスポーツの楽しさが刻まれた一日となったことでしょう。次回のデーランは、912日(日)、北海道の士別市陸上競技場で開催。参加方法は、同ホームページで掲載します。

2010/07/07

「拠点」の利活用について、ナショナルトレーニングセンターセミナー開催

オリンピックに向けた「拠点」の利活用について情報共有を図ろうと、JOCは6月25日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で「ナショナルトレーニングセンター(NTC)セミナー」を開催しました。味の素トレセンには、「拠点ネットワーク・情報戦略事業」という部署があり、こういった選手強化に役立つセミナーを開催したり、「NTC競技別強化拠点」と呼ばれる全国22か所に指定された強化拠点間の連携を促す様々な活動を行っています。今回のセミナーでは、オリンピック現地でのサポート「拠点」、オリンピックに向けた国内の強化「拠点」、諸外国の強化「拠点」、高地トレーニング「拠点」の4つの視点から、幅広い報告が行われ、参加した約90名の強化スタッフらは熱心に聞き入っていました。

Dsc01731 多くの強化関係者がセミナーに参加した

第1部は、バンクーバー冬季オリンピックに向けて日本スケート連盟が現地に置いた「拠点」について、湯田淳氏(同連盟スピードスケート強化部委員)が解説。同連盟は、バンクーバー対策特別プロジェクトの一環として、スピードスケートの会場から徒歩10分の場所に、2009年7月から現地での情報・医科学拠点「JSFサポートハウス」を準備しました。大会中は、管理栄養士が作ったおにぎりやカレーなどを振舞ったほか、日本で使い慣れているエルゴメーターやバランスボールも設置し、快適なトレーニング環境を設置。また用具メンテナンスや、滑走映像のチェック、スタッフミーティングなどを行う拠点としても活用しました。湯田氏は「選手は日本食が恋しくて選手村のレストランも大会後半となると使わずに、サポートハウスに食事のケータリングをお願いしていた。また、選手にとって有益な情報やサービスを提供できたと考えられる。ソチ大会での環境整備も考えたい」と話しました。

Yuda_2「JSFサポートハウス」について説明する湯田氏

第2部は、競技別強化の中心となるNTC競技別強化「拠点」について、スピードスケートとスキー・ジャンプの現場から報告がありました。まず結城匡啓氏(日本スケート連盟スピード強化副部長)は、エムウェーブ(NTCスピードスケート強化拠点)を利用する立場から、その利点を紹介。経済性や利便性のほか、キックのフォームを固める練習台や滑走速度や滑走コースを測定できる設備など、NTC競技別強化拠点にしかない機能が充実するとなおよいと提案。さらに、それらの機能を高品質なものにしていくためには、冬季の専任スタッフを配置していく必要があると訴えました。

Photo エムウェーブは選手の強化拠点として利用されている(提供:アフロスポーツ)

続いて速水達也氏(全日本スキー連盟情報・医・科学部委員)は、大倉山ジャンプ競技場(NTCスキージャンプ強化拠点)での強化について報告。骨格のバランスをチェックするなどのコンディショニングサポート、高速度カメラによる飛行姿勢撮影などの科学サポート、体組成測定などのメディカルサポートを複合的に行っていることを紹介しました。「選手の感覚と実際の運動の違いを分析し、いかに選手に伝えるかが大切」と、医科学サポートを有効利用していく拠点活用の方向性を話しました。

Ookurayama 充実した医科学サポートを行える大蔵山ジャンプ競技場(提供:アフロスポーツ)

第3部は、JOC情報戦略部会の河合季信氏が「諸外国における『拠点』の利活用」と題し、ショートトラックの事例を報告。中国やドイツのトレーニング拠点を例に、施設の新しさや豪華さではなく、機能の高度化が必要だと指摘しました。また拠点の活用法として、選手の発掘・育成・強化の拠点となるだけでなく、国際大会の開催や海外チームの合宿受け入れを行い、海外選手に関するより多くのデータを蓄積・分析することでトレーニング目標や指標を持つことが出来るといったメリットもあると述べました。また、現地サポート拠点の機能としては、NTC/拠点機能の提供と競技場面に特化したパフォーマンス促進の側面があると紹介されました。

最後は、高地トレーニングについての報告がありました。NTC高地トレーニング強化拠点に指定されている「蔵王坊平アスリートヴィレッジ」について、山形県上山市役所の伊藤智彦観光課主査が紹介。約1kmのエリアにコンパクトに施設があることや、低酸素室、乳酸測定装置など高機能な設備を取り揃えていることを紹介しました。

Photo_2室内トレーニング室も完備するアスリートヴィレッジ

さらに高地トレーニングの科学的背景について、禰屋光男氏(東京大学大学院総合文化研究科)が報告。まず高地トレーニングの基礎知識として、2000〜2500m以上の高地が持久力向上には必要なものの、人工低酸素の環境でも代用できることを紹介。さらに「飛騨御嶽高原高地トレーニングエリア」で行った実験について報告し、結果として、持久力(ローパワー)向上のためには10時間以上の滞在を3週間続ける必要がある一方で、ミドルパワーの向上や高地での試合環境に慣れるためであれば10日程度でも効果が出る可能性があると話しました。これからはマラソンなど持久的な競技だけではなく、球技種目など他の競技でも高地トレーニングの活用を考えていく必要がありそうです。

Neya 高地トレーニングの科学的背景について話す禰屋氏

「拠点」をテーマに、約5時間にわたり行われたNTCセミナー。選手の育成そして強化のためには、さまざまな「拠点」の機能を充実させ、有効活用していくことが不可欠であることを痛感させてくれるセミナーとなりました。

2010/07/06

竹田恆和会長が第1回ユースオリピックについて講演

8月14日〜26日、シンガポールで開催される「第1回ユースオリンピック競技大会」について、日本代表選手団の団長を務める竹田恆和JOC会長が都内で講演を行いました。ユースオリンピックは14歳〜18歳までの若いアスリートが参加。26競技201種目の実施に加え、50を超える文化・教育プログラムが行われるのが特徴で、国際オリンピック委員会(IOC)にとって新しい試みとなります。

Takeda 講演した竹田会長(提供:フォート・キシモト)

竹田会長は、「若者のスポーツ離れが進む中、ユースオリンピックは世界中の若者にスポーツへの参加を促すとともに、オリンピック精神のすばらしさを普及することを目的とし開催されます。スポーツ、教育、文化をバランスよく提供するスポーツイベントとして、そして、オリンピックムーブメントをとおしたスポーツ、教育、文化の融合をさせる場としての新しい総合競技大会です」と、ユースオリンピックの意義を紹介しました。

大会の特徴の1つは、新しい競技種目です。オリンピックにはない種目として、3人対3人で行うバスケットボール3on3(スリーオンスリー)などのほか、陸上競技・テニス・馬術などでは他NOCとの混合チームで行う種目、また水泳やアーチェリーなどでは男女混成チームの種目があります。竹田会長は「『勝つ』ことへの目的のみならず、協力や尊敬の心を共感してもらうために新しい取り組みも行われます」と説明しました。

さらにユースオリンピックを特徴づけるのは、文化・教育プログラムです。竹田会長は「スポーツと文化・教育の融合を目指す大会であるユースオリンピックにとって、重要となるのが文化・教育プログラム。選手達は大会が開催される全期間滞在し、競技以外の日は文化・教育プログラムに参加します」と、その重要性を強調しました。

文化・教育プログラムでは、5つのテーマ(オリンピズム、技術向上、健康的なライフスタイル、社会的責任、表現力)に沿って、50種類以上のプログラムが行われます。オリンピアンらから話を聞く「チャンピオントーク」や、オリンピックの歴史学習やセカンドキャリアを考える「新発見プログラム」、205の国と地域の文化を紹介する「世界の文化村」、地元の人々と交流する「社会活動」、音楽や踊り、芸術作品に触れる「文化交流」、さらに離島でアドベンチャーに参加する活動などが行われます。

またオリンピックの理念を伝えるために指名されたユースオリンピック大使には、エレーナ・イシンバエワ(陸上競技・棒高跳び、金メダリスト)やマイケル・フェルプス(水泳、金メダリスト)が就任、テニス競技の模範選手には日本人の杉山愛さんが選ばれ、大会期間中にトークショー等で活動します。

竹田会長は、これらのプログラムを活性化する手段としてインターネットが活用されることを説明。「大会終了後も若者同士の交流が続くことを目指し、インターネット上での情報交換も盛んに行われます。同年代のレポーターによる記事掲載や、選手紹介は選手自らがネット上に書き込むなどの試みがあります」と話しました。

日本代表選手団は、竹田恆和団長、福井烈総監督、以下男子選手25名、女子選手44名、役員25名 総勢94名(6月28日現在)で編成し、大会に臨みます。竹田会長は「選手達は、将来を嘱望され、まさに次代を担うアスリートたち。日本代表として正々堂々と戦い、そして、文化・教育プログラムを通して自分のスキル向上を図ることで、将来の日本代表選手団の模範となる選手に育ってほしい」と締めくくりました。

Takedahana 団長として参加する大会に向けて激励を受けた竹田会長(提供:フォート・キシモト)

2010/07/02

「JOCスポーツ賞」受賞の選手から喜びの声が届きました

昨年度の活躍をたたえ選手達に贈られた「平成21年度JOCスポーツ賞」。6月19日の授賞式に参加した8名の選手から、メッセージが届きました。今年の抱負、そして2012年ロンドンオリンピック、2014年ソチ冬季オリンピックへの意欲も語ってくれました。

Aflojocsports_2 JOCスポーツ賞の授賞式(提供:アフロスポーツ)

■古賀淳也選手
世界水泳選手権大会で、100m背泳ぎ優勝、50m背泳ぎ2位。どちらも日本新記録の快挙でした。

■内村航平選手
世界体操競技選手権大会で、オリンピック・世界選手権を通じて日本人最年少(20歳)での個人総合王者となりました。

■上野順恵選手
世界柔道選手権大会の63㎏級で、全試合1本勝ちで優勝を収めました。

■羽生結弦選手
フィギュアスケートの男子シングルで、ジュニアグランプリファイナル、世界ジュニア選手権ともに優勝しました。

■村上佳菜子選手
フィギュアスケートの女子シングルで、ジュニアグランプリファイナル、世界ジュニア選手権ともに優勝しました。

■村上幸史選手
世界陸上競技選手権大会のやり投げで、日本人初となる銅メダルを手にしました。

■田畑真紀選手
バンクーバー冬季オリンピックのスピードスケート・チームパシュートで、小平選手・穂積選手とともに、銀メダルを獲得しました。

■穂積雅子選手
バンクーバー冬季オリンピックのスピードスケート・チームパシュートで、小平選手・田畑選手とともに、銀メダルを獲得しました。

多くの選手が、日本のスポーツに残る活躍をした平成21年度。今年度も、チームジャパンの選手たちの活躍が楽しみですね。

CALENDAR

2011 / 03
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31