ロンドン2012
見どころ
男子スプリント
「男子スプリント」は、中野浩一氏(福岡・競輪選手 当時)が世界選で10連覇を達成したお馴染みの競技。二人の競技者が対戦し3周目に先にゴールした選手が勝者となる。
最初1周目は、インからスタートした選手が追い越されない限り、トラック反対側中央線に到達するまで先行しなければならないが、それを過ぎると互いに有利なポジションを取るために様々なテクニックや駆け引きを駆使してレースを進める。
例えば、スタンディングスティルと言って、バランスを取って走路に停止して相手の後位に回り込むテクニックや、バンクの急傾斜(42〜45度)を利用して一気にスパートする戦法などお互いに一瞬の隙も見せることができない。しかし、いったんスパートした競技者はスプリンターレーンを守って走らねばならない。
スプリントは、予選1回戦に先立ちフライングスタートによる200mタイムトライアルを実施して、最上位のタイムを出した選手と最下位タイムの選手。次いで第2位のタイムの選手と次の下位タイム選手というように順次対戦相手を組み合わせて行く。従って上位のタイムを出した選手ほど有利な組み合わせになるので、どの選手も200mタイムトライアルは全力投球で臨む。この200mタイムトライアルで勝敗の行方が決まる場合もある。世界記録はフランスのシロー選手が09年モスクワにて9秒572を出している。12年世界選(オーストラリア・メルボルン)では、フランスのボジェ選手が9秒854で1番時計。以下10番までが10秒を切り9秒台を出している。
日本は中川誠一郎が10秒003で11番、渡邉一成が10秒159で20番とそれぞれ1/16に進出した。渡邉は敗退したが中川は勝ち上がり、1/8で優勝候補のイギリスのホイ選手に敗れ、11位で終えた。優勝は、フランスのボジェ選手で2位がイギリスのジェイソン選手。今回の世界選は、日本にとってヨーロッパの選手とタイムの差を縮めることができた大きな収穫のある大会となり、オリンピック本番に期待が持てるものとなった。
ケイリン
「ケイリン」は、日本で生まれた競技である。1948年11月小倉競輪場でスタートを切った「競輪」が「ケイリン」となってオリンピックの正式種目として登場する。その実現には、実に半世紀の月日が経過したが、ケイリンの魅力は何と言っても6〜8名の選手が一団となってゴールを駆け抜ける迫力に尽きよう。自転車の本場ヨーロッパでもケイリンの人気は高い。競走距離は2000m。抽選順に横一線に並んだ選手は、誘導員が操縦するモーター付自転車の後位について周回する。
誘導のスピードは時速約30キロから残り2周回半に達する頃は時速約50キロまでアップして退避する。それまで選手は誘導車を絶対に追い抜くことを禁じられている。ロンドンオリンピックの自転車競技場は、ドーム型自転車競技場で、松材でできた走路は250m、最大斜度42度の短走路だけに、どの選手も仕掛けどころが最大のポイントになる。
世界選、ワールドカップ等における日本の成績はヨーロッパ勢に一歩遅れをとっているが、2012年2月ワールドカップ第4戦と4月世界選において渡邉が連続決勝進出し、実力的には決して遜色はないことを証明している。日本のお家芸の意地に掛けても北京大会に続き日本代表選手のメダル獲得を期待したい。