長野1998
採れたて長野通信
今日の長野地方はまた雨になってしまいました。八方尾根で行われる予定だった女子スーパー大回転はまた順延。寒すぎないのはありがたいですが、オリンピックの日程も半ばにさしかかり、気まぐれな空が少し心配です。今日は土曜日とあって、長野に向かう新幹線や市内の大通りは大にぎわい。お祭りムードはいよいよクライマックスといった感じです。さて、競技のほうは、今日最大の話題はなんといっても岡崎選手の銅メダル獲得ですね。もちろん、現地取材班はしっかり観戦してきました。白馬のスノーハープで開催されたノルディック複合の結果とともに、会場の感動をレポートします。
現地直送!観戦レポート スピードスケート女子500m(エムウエーブ)
岡崎選手が銅メダル獲得!
この日、エムウェーブにはまだ数日前の清水選手が演じてくれたドラマの余韻は残っているかのようでした。満員の観衆は、1日目の競技でトップからわずか0.16秒差で3位につけている岡崎選手がメダルを獲得することへの期待感で満ちていたのです。しかも、4位は島崎京子選手。もしかすると、表彰台に2人の日本選手が立ってくれるかも知れません。
岡崎選手のスタートは、最後から2番目の18組目。一緒に滑るのはなんと同じ日本の島崎選手。岡崎選手と島崎選手のタイム差はたったの0.2秒。最終組2人の結果にもよりますが、このレースで勝ったほうが大きくメダルの夢を引き寄せるのです。
大歓声を受けて、すばらしいスタートを決めた2人の日本選手。最初の100mで岡崎選手がわずかにリードを奪います。岡崎選手がアウトコースだったので、バックストレートでは一歩先を行く島崎選手を岡崎選手が追う展開になりました。最後のストレートに入るところでは、岡崎選手が体ひとつリードを奪っていました。そしてゴール。岡崎選手のタイムは38秒55。前日作った日本新記録と、100分の1秒までまったく同じタイムで、最終組を残してトップに立ちました。この時点で最低でも銅メダルが確定。岡崎選手は、ゆっくりと内側のレーンを滑りながら、手を振って観衆の声援に応えます。
金・銀を獲得した両選手の滑り
メダルを決めた岡崎選手が、チームメイトと肩を抱き合うように見守る中で、最終組がスタートラインに立ちます。この組も、スーザン・オーク選手とカトリオナ・ルメイ・ドーン選手、カナダ同士の対決です。しかもタイム差はわずか0.03秒。ドーン選手はこの種目の世界記録保持者。望みは薄いですが、もしこの2人が失敗すれば、この時点で3位につけている島崎選手にまでメダルのチャンスが転がり込みます。スタート直前、緊迫した静けさが会場を支配しました。
号砲とともにスタート。見事なダッシュです。100mの通過タイムはオーク選手が10秒27、ドーン選手が10秒36。これまで滑った選手の誰もかなわない、すばらしいタイムが電光表示板に映し出されて、会場からは「オアアア」というあきらめたような日本人観客のため息が流れました。結局、オーク選手が38秒51、ドーン選手は前日に自分が作ったオリンピックレコードを更新する38秒21というすばらしいタイムをマークして、金・銀メダルの獲得を決めました。連日オリンピックレコードを叩き出し、圧倒的な強さで勝利をものにした世界記録保持者。そうです、ドーン選手は、男子500mで優勝した清水選手とまったく同じような強さを発揮して金メダルを手中にしたのです。岡崎、島崎両選手を応援する日本人が多いスタンドでしたが、2人のタイムが表示されると、その強さに大きな拍手と歓声がわき上がりました。
島崎選手、感動をありがとう
銅メダルが確定し、スタンドから受け取った小さな日の丸を振りながらもう一度リンクを一周する岡崎選手。本当にすばらしい笑顔を見せてくれました。でも、会場で見ていた取材班が気になったのは、両手を挙げて歓声に応える岡崎選手とは対照的に、コーチに肩を抱かれるようにして、うなだれたままの島崎選手でした。最終的な結果は5位。もちろん、胸を張って歓声に応えていいすばらしい成績です。でも、メダルを目指して4年間厳しいトレーニングをしてきた島崎選手にとって、チームメイトの岡崎選手に敗れ、メダルに手が届かなかったことはショックなのでしょう。オリンピックという舞台に賭ける選手の気持ちを突きつけられた気がして、少し胸が熱くなるシーンなのでした。それでも、しばらくするとスタンドのあちこちから「島崎さーん!」とか「お疲れさま!」という声援が飛び、島崎選手も手を挙げて応えていました。
そうです。島崎選手、胸を張ってください。入賞おめでとう!
現地直送!観戦レポート ノルディック複合後半(スノーハープ)
荻原兄弟そろって入賞!
雨が降り続く中で行われたノルディック複合個人戦後半。スノーハープで15㎞の距離競技が行われ、メダルの行方がきまります。前半のジャンプで3位の荻原次晴選手はトップから51秒遅れのスタート。4位の古川純一選手が54秒、そして荻原健司選手は1分30秒遅れのスタートです。荻原兄弟にとっては、そろってメダル獲得の可能性だってあったのです。
結果は、兄の荻原健司選手が順位を5つ上げる大逆転劇で4位に。オリンピック初出場、弟の次晴選手も6位で走りきりました。双子の兄弟そろって入賞。おめでとうごうざいます。一方、距離が苦手の古川選手は大きく順位を下げて23位でゴール。森敏選手は38位でした。
雨を弾き飛ばす荻原コール
会場は朝から雨が降り続き、レース中にはあられまで降ってくる最悪のコンディション。ただ、日本のエース荻原健司選手の人気はものすごくて、広大なスノーハープは超満員。競技開始前から大歓声で盛り上がっていました。。注目の荻原健司選手は、会場に入るときにファンの観客と直接言葉を交わす光景も見られリラックスした雰囲気。
そして、スタート。1分30秒遅れというつらい状況でしたが、着実に順位を上げて2週目では兄弟揃って6・7位になっていました。その時、トップとのタイム差は1分41秒。「オーギワラッ、オーギワラ!」。声援している自分の声すら聞こえなくなるほどの大歓声です。注目されるのは兄ばかりだった次晴選手も、この日ばかりは「オーギワラ」の声援を自分のためのものと受け止めて、はりきることができたのではないでしょうか。
最後の一周。王者の意地で4位集団から抜け出した健司選手は、そのまま4位でゴール。前回のリレハンメルから、連続の個人戦4位です。ゴールの線を越えた後、弟の次晴選手と並んでそのまま地面に倒れ込んで息をはずませている健司選手の様子に、レースの過酷さを痛感しました。
4位で入賞を果たした荻原健司選手の顔は、メダルは逃したもののすがすがしい表情。今日の結果については「みんなの応援もあってベストを尽くせました。メダルが取れなかったのは残念ですが、団体戦ではとにかくがんばります」と力強いコメント。弟の次晴選手は「最初のオリンピックで入賞できれば大したもの。兄弟揃っての入賞できたのはメダルよりも価値がある」と、元気に応えてくれました。
さあ、次は19日の団体戦。今日、荻原兄弟の大活躍は、オリンピック3大会連続制覇・・・・・・・は難しいでしょうが、「表彰台はいける」と感じさせてくれるものでした。がんばってください!
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