2010/11/29
広州アジア大会が閉幕、日本初も含む金メダル48個を獲得
文・松原孝臣
16日間にわたって中国・広州市で行なわれた第16回アジア競技大会も27日、閉会式を迎えました。場所は開会式と同じ、珠江の小島「海心沙」の特設会場。午後8時(日本時間午後9時)、広州タワーからの花火とともに始まりました。
日本は、選手、役員含め約380名が参加しました。開会式のように、帽子を振りながらの行進です。場内に入ると、選手同士で記念撮影をしたり、笑顔を浮かべ、リラックスした雰囲気で過ごしていました。旗手を務めたのは陸上競技の福島千里選手です。やや緊張の面持ちで会場に現れた福島選手ですが、閉会式後には「去年の国体で一度やっただけなので、緊張しました。でもオリンピックへ向けていい経験になりました」と、にこやかに語りました。
今大会、日本は、「(2006年の)ドーハ大会の50個を上回る金メダル60個以上」「金メダル数で前回2位の韓国を抜いて2位」を目標に掲げていました。大会を終えて、結果は金メダル48個。獲得順位も、中国、韓国に続く3位。市原則之団長は、結果を受けて、このように語っています。
「1位の中国はもとより、2位の韓国にも大きく水をあけられる結果となりました。2年後のロンドンオリンピックへの展望を開きたかったのですが、これがアジアの中での日本の力と認識する必要があります」と、厳しい見解を示しました。「打倒中国」を合言葉に挑んだ水泳/競泳は中国の強さを見せつけられ、陸上競技も短距離陣に故障者が出るなどの影響で苦戦を強いられました。
しかし、その中でも活躍した選手がいます。苦戦した陸上競技では、福島選手が、100m女子、200m女子で2冠を達成しました。100m女子での金メダルが日本選手として44年ぶり、かつ2冠は日本初の快挙です。日本代表選手団の主将を務めた村上幸史選手も、自己記録を更新し金メダルを獲得しました。
閉会式で記念撮影する金メダルを獲得した村上選手(後列左から2番目)ら(共同)
また、フェンシング女子エペ団体は、史上初の金メダルを獲得。これも快挙と言ってよい成績です。さらに、サッカーの男女そろっての金メダル、4大会ぶりに金メダルのバレーボール男子もまた、今回をステップにしたいところです。
アジア大会では、オリンピックでは行なわれない種目も多く実施されました。これらの種目の選手は、「少しでも日本で認知度が上がるように」と、使命感をもって臨んでいました。例えば、セパタクローの山田昌寛選手は以前、このように言っていました。「セパタクローは、とても面白いスポーツなんです。もっと知ってもらうためにも、いい結果を残したいんです」。そのセパタクローは、男女ともに銅メダル。カバディ男子は、初めてのメダルとなる銅を獲得しました。
記念写真に納まる、セパタクローの佐藤雪絵選手(左端)ら(共同)
ソフトテニス女子団体では、正式種目となった1994年の広島大会から数えて初の金メダルを獲得。今大会から採用された新種目、ローラースポーツのアーティスティックスケート男子シングルでは、西木紳悟選手が金メダルでアピールしました。
金メダルを獲得したソフトテニス女子団体のメンバー(アフロスポーツ)
こうして熱い戦いが繰り広げられた広州アジア大会も、アジアオリンピック評議会(OCA)のシェイク・アハマド会長が閉会を宣告。OCA旗と聖火が広州市から次回の開催地、韓国の仁川に引きつがれ、聖火は消え、大会は終わりを迎えました。
大会は終わりましたが、選手たちの意識は、すでに明日へ向かっています。今大会で納得のいかなかった選手、力を出し切った選手、すべての選手の今後に注目したいと思います。