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2010/02/22

5位入賞の小平、満足の笑顔〜スピードスケート 女子1500m 決勝

文:折山淑美

ゴールした小平奈緒は、3種目目にしてやっとガッツポーズをした。それは彼女が「喜び方はよくわからないから」と言ってたように、顔の前で2〜3度こぶしを小さく握るだけのつつましいものだったが。

「思ったより記録が出ていたのと、頭の中でイメージした通りのラップで回ることができたので。それに最後のストレートでも、体がグチャグチャになるくらいまで滑れたので、ついガッツポーズをしてしまいました」と照れながら答える。

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初めてのオリンピックで、2種目に入賞した小平選手(写真提供:フォート・キシモト)

2月21日、スピードスケート女子1500m。第13組目で1分58秒20を出し、その時点では首位に立った小平だが、次の組のブア(オランダ)には0秒10上回られて2位に落ちた。さらにはブスト(オランダ)や、サブリコワ(チェコ)、グローブス(カナダ)と、ワールドカップでは上位の常連になっている選手たちには抜かれて5位に順位を落とした。しかし最終組出場の、ワールドカップ1500mで2勝してこの大会でも1000mを制しているネスビット(カナダ)が1分58秒33に終わり、1000mと同じ5位を確保したのだ。

「最初は押さえ気味にいって、実際はタイムは落ちるけど体の感覚としては徐々に上げていくという意識で滑りました。設定タイムは1分58秒00だったけど、最初の300mを25秒85ではなく、28秒60くらいで入っていれば、もう少し最後まで力が残ったと思います」

ただ小平にとって1500mは、日本では2009年10月の全日本距離別選手権では勝っているが、ワールドカップでは総合ランキングで18位に入っているに過ぎず、彼女自身も「周りの選手に比べたら小中学生並の経験しかない」という種目だ。

「ワールドカップではいつも、最後の締めの種目という感じで出ていたので力を出し切れませんでした。オリンピックでやっと、自分の実力を出せたかな、という感じですね。このレースを忘れないように、これからもこの種目に挑戦していきたいですね」
 
最初の500mでは12位に終わり、自分の精神的な弱さを実感した。だが1000mでは、「自分の滑りをすればいい」と考えて立て直しに成功した。3種目目の今回も、「メダルを意識するのではなく、自分の滑りをする」という気持ちがタイムに結びついたのだ。

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小平選手は「実力を出せた」とレースを振り返る(写真提供:フォート・キシモト)

「1500mはオリンピックでもメダルをいくつも獲っているクラッセン(カナダ)に憧れて始めた種目です。彼女は長距離からだけど、私は500mからいって同じようにメダルを獲れる選手になりたいと思って。今回はそのクラッセンにも勝てたし(21位)、ネスビットにも初めて勝つことができたから。初めてのことだらけですね」と笑顔を見せる。

一方、個人種目はこの1500m1本に絞っていた田畑真紀だが、「700mまでは予定通りのラップタイムで入ったが、後半は1〜2秒遅くなってしまった」と言うように、2分00秒12の19位に終わった。

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4度目のオリンピックに挑んだ田畑選手は19位(写真提供:フォート・キシモト)

「体の調子は良かったけど、技術的な部分でも意識して良くなっていたところを、レースでは意識するのが少し甘くなってしまいました。実力を出し切れずに終わった感じだけど、照準を合わせたオリンピックで出さないと実力とは言えないので……。また悔しさが残るオリンピックになってしまいました」

こう話す田畑は、最後に残った26日のチームパシュートへ、この悔しさをぶつけるつもりだ。

これが3種目目になる吉井小百合も、2分02秒26で26位に終わったが、「1000mで思うようにいかなかった分、ここですべてを出し切りたいと思って滑りました。1500mの選手から見ればハイペースだと思われる前半だけど、自分の力を出し切れました。いろんな思いをした大会だったけど、すごくありがたい経験をさせてもらえました」と、1000mの後とは違う、満足気な表情で話した。

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3種目を終え、感謝の気持ちを込めて観客に手を振る吉井選手(写真提供:フォート・キシモト)

また、大会前から注目され続けた髙木美帆は、2分01秒86で23位に。

「1000mの時は完全に(オリンピックの雰囲気に)飲まれていたかもしれないけど、力を出し切れなくて悔いが残りました。でも今回はレースに集中することができたし、自分が持っている力を出し切れたかなと思うので、悔いは残りませんでした」

自己ベストを出せなかったことはまだ自分が力不足だと思う、という髙木。まだチームパシュートに出場する可能性を持っているが、15歳で出場したこの大会で、貴重な経験をいくつもしたはずだ。

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レース後に笑顔を見せた、日本代表選手団最年少の髙木選手(写真提供:フォート・キシモト)

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