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トリノ2006


スペシャルコラム

アウトドアスポーツの宿命

三ケ田礼一さん

2月15日にノルディック複合団体が行われた。日本は6位という成績だったが、内容的には健闘したといえる。小林範仁選手、畠山陽輔選手は現地入りしてから調子が良かったので、本来の力を出せた。北村隆選手は1本目のジャンプは好調だったが、2本目は納得できない内容だったかもしれない。高橋大斗選手に関しては腰痛のこともあり、なかなかジャンプでは力を出せなかったが、4選手ともクロスカントリーでは十分力を発揮した。


写真提供:フォート・キシモト

6位という数字だけで判断するとメダルには遠いように感じるが、日本チームはクロスカントリーで一時3位争いに加わり、しかも4〜7位までのチームがダンゴ状態でゴールしたことを考えると実力は拮抗していた。今回の結果は選手たちにとって“頑張れば、世界のトップと戦える”という自信になったことだろう。この自信は21日に行われるスプリントや4年後のバンクーバー冬季オリンピックにもつながるに違いない。


写真提供:アフロスポーツ

団体戦は、ジャンプが強風のため2本目が次の日に順延された。しかしスキーはアウトドアスポーツ、そんなことで選手たちの集中力が途切れることはない。選手たちが集中力を高めていくのはゲートに入る20分〜1時間前だからだ。常に緊張した状態では体も保てず、いい結果も得られない。もし順延になっても、“よし明日頑張ろう!”という気持ちの切り替えができなければ、負けてしまう。今回も日本の選手たちは、中止を知らされても表情を変えず、明るくリラックスしていた。

今大会、私は久しぶりに懐かしい顔ぶれに再会できた。
1人は私と同じ立場で現地を訪れていたドイツの選手。もう1人は団体戦でオーストリア初の金メダルの立役者となったマリオ・シュテヒャー選手。シュテヒャー選手は私の現役時代に15歳で若手のホープとして台頭してきた対戦相手だ。自分の現役時代に出てきた選手の活躍は嬉しくもあり、私の現役時代がそう遠いものではないと実感できた。


オーストリアのシュテヒャー選手(写真提供:アフロスポーツ)

今回、個人戦と団体戦を実況席で観戦し、ときには身を乗り出して競技に見入ったこともあった。そしてメダル授与では1992年にアルベールビルで自分たちが金メダルを獲得した時のことが蘇った。表彰台の選手たちと自分の姿が重なり、思わず目頭が熱くなってしまった。やはりオリンピックは素晴らしいと実感し、あと少しで競技が終わることに寂しさを感じている。

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