トリノ2006
スペシャルコラム
ひと粒で何倍もの楽しみ
川端絵美さん
開会式の時は飛行機の中にいて、「いよいよ始まる」という興奮を味わう事ができず残念、と思いながら2月11日トリノに到着。空港では、たくさんのボランティアが到着する人達を迎えてくれ、オリンピック気分が一気に高まってきた。ただ、陸続きのヨーロッパでは飛行機でここに入ってくる人が少ないことと、国際線が離発着する空港ではないせいか、空港がオリンピックの玄関口であるという印象はなかった。
写真提供:フォート・キシモト
車でトリノ市内に向かう途中、ドライバーが道に迷い、心配になった。後で聞いた話だと、今回のオリンピックの為にイタリア各地からボランティアなどで来ているため、こちらの道がよく分からないのだとか。これもまたオリンピックならではという話ではないだろうか。
写真提供:フォート・キシモト
12日からはアルペン会場に足を運ぶ日々。今回は、セストリエールとサンシカリオという2会場で行われるアルペンスキー。セストリエールは、毎年ワールドカップも行われ、私達アルペンスキーヤーにとっては、来馴れたアルペンの場所である。ただいつもと違うのは、セストリエールから、クロスカントリーやジャンプの会場が近いということもあり、カラフルに色がついたタワーを目印にした、白い雪山の中でもひときわ目立つ選手村の分村があるということ。そのためか町を歩いていると、いつもとは違いアルペン以外の選手にも出会える。アルペン競技は山の中という感じで、他の競技チームと会うことがほとんどない。ところが今回は、レストランの窓越しに色々な競技の選手を見ることができて、ひと粒で何倍もの楽しみがあるという嬉しさだ。
写真提供:アフロスポーツ
しかし、残念なのは、大会で使用するコースの他は一般の方が滑ることができるスペースがあるにもかかわらず、オリンピックを見に来た人がスキー場に入れないことだ。これはモーグル会場でも同じだったようで、観客はゴールエリアにしか入れない。コースサイドに沢山の人々がつめかけ、一瞬で通り過ぎてしまうけど選手を近くで見る、ということができなくなってしまっている。テレビの方が全コース見えるということはあるのだろうが、その場で見る迫力ある臨場感を肌で感じられないのは、寂しいことだなと思った。
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