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TEAM JAPAN DIARY

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2010/02/16

遠藤尚が日本男子初の7位入賞〜フリースタイル 男子モーグル 決勝

文:松原孝臣

すさまじい戦いだった。

悪天候のもとで行なわれた前日のスキー・フリースタイル 女子モーグルとは打って変わって、14日の男子モーグルは晴天に恵まれた。選手たちが「滑りやすく感じる」というようにコースコンディションも良好。そのため、ミス一つ許されないハイレベルな争いが、決勝で繰り広げられた。

日本勢は、尾﨑快が「第2エアのランディングが……」と自ら認めるように、着地後に乱れ残念ながら予選で敗退したが、4度目の出場となる附田雄剛が予選11位、ともに初出場の西伸幸が15位、遠藤尚が8位で決勝進出を果たす。

迎えた決勝は、順位が下位の選手からスタートする。1番目のロンカイネンが、23.50をいきなりマーク。決勝進出者の中では最下位の選手が好得点を出した以上、続く選手たちにはプレッシャーがかかる。

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尾﨑選手は、第2エアの着地が乱れて無念の予選敗退(写真提供:フォート・キシモト)

6番スタート、日本勢として最初に出場した西は、第1エアを決めると、続くミドルセクションで、一気に加速して滑り降りる。スコアは25.11。日本勢2番手の10番スタート、附田もまた、ミドルセクションで飛ばしていく。だが、第2エアの着地で乱れて、22.74にとどまった。

最後の登場となったのは13番スタートの遠藤。

「一発賭けてやると思っていました」

言葉どおり、会心の滑りを見せる。スコアは25.38。特にエアは、全体の4位(5.24)と、世界のトップクラスに十分通じる得点を叩き出した。

そして結果は遠藤が同種目でオリンピック史上初の入賞となる7位、西が9位、附田は17位。

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日本男子初の7位入賞を果たした遠藤選手(写真提供:共同通信)

試合後、彼らはこのように振り返った。

「100%に近いものは出せました」(西)
「第2エアの前でコントロールし過ぎてしまいました。そのまま行けば良かったです」(附田)
「思っていた以上に緊張しなかったし、楽しめたのが良かったです」(遠藤)

西、遠藤の若い2人は、自身の滑りに納得していた。特に遠藤の滑りは、彼の競技生活の中で、最高のものだったと言える。

それは一方で、世界の壁の厚さを改めて実感させるものでもあった。高いパフォーマンスをもってしても、表彰台には届かなかったのだ。

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4度目のオリンピック出場を果たした附田選手は17位(写真提供:フォート・キシモト)

だから反省も口をついて出た。例えば、西は言う。
「もうちょっとワールドカップで表彰台に上ってアピールしなければいけないとか、いろいろ気づかされた大会でした」

最良の滑りをしても届かないことを肌身で感じているようだった。とはいえ、世界との距離を感じられたことは、きっと財産となる。そして、ハイレベルな争いの中、力を出し切れたことも収穫である。

彼らの今後への意志も強い。さらに西と遠藤は言う。
「次のオリンピックは金メダルを狙います」

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9位の西選手は、「100%に近いパフォーマンスが出せた」(写真提供:アフロスポーツ)

ベテランの附田は、淡々と語った。
「ノブ(西伸幸)もショウ(遠藤尚)も、いい滑りをしました。日本にも才能のある若い選手がたくさんいるんです。世界のトップに育ってほしいですね」

厚い壁にはねかえされてきた日本のモーグル男子にとって、今大会は、世界のトップへの足がかりとなった大会であった。

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