2010/02/24
6位入賞も、さらなる強化で世界レベルへ〜ノルディック複合 ラージヒル団体 決勝
文:松原孝臣
復活はならなかった。
23日に行なわれた、ノルディック複合ラージヒル団体。日本は、昨年2月18日〜3月1日にチェコ・リベレツで行われた世界選手権で14年ぶりの金メダルを獲得。今大会もその再現を目指したが6位に終わり、1994年リレハンメル大会以来、16年ぶりのメダル獲得はならなかった。
出場したのは、高橋大斗、渡部暁斗、小林範仁、加藤大平。
前半のジャンプは高橋の136.5mの大ジャンプなどで4位につけ、まずまず好位置につける。
3回目のオリンピック出場を果たした高橋選手が、
チーム最長の136.5mをマーク(写真提供:共同通信)
後半のクロスカントリーは、トップから41秒後にスタート。日本は加藤、高橋、渡部、小林のオーダー。日本の狙いは、小林がスタートする時点で、トップ争いのできる位置につけ、エースの走りに期待するというものだった。
しかし、加藤はメダル争いに絡む走りを見せたものの、高橋が終盤に差をつけられる。続く渡部も「走力が不足していました」と、差を縮めることができず、挽回できない差がついてから小林につながざるを得なかった。
4位でスタートした日本チームの第1走者を務めた、加藤選手(写真提供:共同通信)
雪が降る中、懸命に追い上げを図る、第3走者渡部選手(写真提供:共同通信)
高橋は、試合をこう振り返る。
「(差をつけられた場面で)ついていければ……。他のチームの走りが良かったです」
小林はこのように語った。
「厳しい戦いでした。力の差が出ました」
加藤もまた、結果を冷静に受け止めた。
「今シーズンを考えれば、妥当かなと思います」
彼らに共通するのは、実力差を実感したということだ。
思えば、昨年の世界選手権では、ワックスのセレクトがピタリとはまり、強豪チームが実力を発揮できずに終わるなどの状況にも恵まれた。
個人個人の実力を考えてみても、かつて、1992年アルベールビル、1994年リレハンメル大会の団体で連覇をした時とは状況が違う。当時は世界選手権優勝、ワールドカップ総合王者など猛威を奮った荻原健司を筆頭に、個人戦でも世界のトップクラスにいたのだ。その上での団体戦であった。一方、現在はときに入賞を果たすものの、表彰台が定位置であるような選手はいない。
それを考えても、今大会の成績は、高橋や小林の言うように、やむを得なかったのではないか。
クロスカントリーを得意とする、アンカー・小林選手のラストスパート(写真提供:共同通信)
だが、長期的視点から見れば、ノルディック複合の日本代表は、決して悲観的になる材料ばかりではない。
かつて、日本が強かった頃、得意としたジャンプのポイントが下げられるなど、日本を狙い撃ちにするかのようなルール変更があり、日本は一時期、もはや世界のトップに立つことはできないのではないかというほど低迷した。
そこからの脱却を図るため、不得手としていたクロスカントリーの強化や若手選手の計画的な強化を図ってきた。
その甲斐あって、クロスカントリーに強みを持つ小林が現れ、さらに渡部などの若手も台頭してきている。だからこそ、半ば幸運があったにせよ、昨年の世界選手権で金メダルを手にすることができたのだし、今大会も、叶いはしなかったものの、メダルを意識して臨めるレベルにはあった。
少し前までは、メダル云々と言っても、とても現実的ではなかったことを考えれば、少しずつ上昇はしているのだ。
高橋の次の言葉は、それを表している。
「トリノと同じ順位には終わりましたが、内容は違うと思います」
バンクーバーには間に合わなかったが、個々のさらなるレベルアップによって、きっと復活する日は訪れる。
試合後、銀メダルを獲得した米国チームと健闘を称え合う小林選手(写真提供:共同通信)