写真:長瀬友哉/フォート・キシモト
男子はアテネ1896大会から、女子はアムステルダム1928大会から実施されている歴史のある陸上競技。かつては「5マイル走」や「両手投げ種目」など、今では見られない多くの競技も存在していましたが、その歴史の中で変遷してきました。パリ2024大会では、男子23種目、女子23種目、男女混合2種目が実施されます。陸上競技の種目は大きく「トラック種目」「フィールド種目」「ロード種目」「混成種目」の4つに分類されます。
競技場内1周400mの走路(トラック)を使って実施される種目です。「100m(男女)」「200m(男女)」「400m(男女)」「800m(男女)」「1500m(男女)」「5000m(男女)」「10000m(男女)」「110mハードル(男子)」「100mハードル(女子)」「400mハードル(男女)」「3000m障害物(男女)」「4x100mリレー(男女)」「4x400mリレー(男女・男女混合)」が行われます。
トラックの内側や外側で行われるものをフィールド種目とよびます。フィールド種目は「跳躍」と「投てき」の2つに分けられ、「跳躍」は「走高跳」「棒高跳」「走幅跳」「三段跳」の4種目で、跳ぶ高さや距離を競います。「投てき」も「砲丸投」「円盤投」「ハンマー投」「やり投」の4種目で、こちらは手で投てき用具を遠くへ投げ、その距離を競います。
ロード(一般道路)で実施される種目は「マラソン」と「競歩」です。マラソンはアテネ1896大会(男子のみ)以来オリンピックでは欠かさずに行われており、数あるオリンピック競技の中でも最も人気が高いものの1つとなっています。競歩は「20km競歩(男女)」に加え、パリ2024オリンピックから「男女混合競歩リレー」が実施されます。これは男女1名ずつが1チームとなり、マラソン距離(42.195km)をほぼ等距離の4区間で男女交互に歩いて総合記録で順位を決める種目です。
混成種目では「十種競技(男子)」と「七種競技(女子)」が行われます。十種競技は1日目に100m、走幅跳、砲丸投、走高跳、400mを行い、2日目に110mハードル、円盤投、棒高跳、やり投、1500mが行われます。七種競技は1日目に100mハードル、走高跳、砲丸投、200mを行い、2日目に走幅跳、やり投、800mが行われます。短距離、中・長距離、跳躍、投てきという陸上競技の全ての要素においてトップクラスの実力を持った選手同士が戦い、究極のオールラウンダーを決める種目のため、十種競技の勝者は「キング・オブ・アスリート」、七種競技の勝者は「クイーン・オブ・アスリート」と呼ばれます。
■日本チームの有力選手
サニブラウンアブデルハキーム(男子100m)
高校2年時の2015年、世界ユース選手権の100 mと200mで二冠。17年の世界選手権200mでは史上最年少で決勝に進み、7位入賞を果た しました。19年には100mで当時日本新の9秒97、200mで日本歴代2位の20秒08をマーク。22年の世界選手権100mでは7位に入り、日本勢 として史上初の入賞。23年には6位で、2大会連続入賞を成し遂げました。
坂井隆一郎(男子100m)
2022年の日本選手権で、当時自己新の10秒10をマークして2位。2週間後の布勢スプリントでは、日本歴代7位タイの10秒02と自己記録を更新。初出場の世界選手権で準決勝に進みました。23年には日本選手権で初優勝を果たし、アジア選手権で6位。2大会連続で世界選手権に出場しました。24年の日本選手権では、2連覇を達成しました。
栁田大輝(男子4×100mリレー)
高校3年時の2021年、東京オリンピックに4×100mRの補欠として帯同しました。東洋大に進んだ22年には、4×100mリレーで世界選手権出場。U20世界選手権では100mで6位、4×100mリレーで金メダルを獲得しました。23年には、アジア選手権で 日本歴代7位タイの10秒02をマークして金メダル。世界選手権では個人種目に初出場し、準決勝進出を果たしました。
泉谷駿介(男子110mハードル)
2023年の日本選手権では、13秒04の日本新記録で3連覇。その4週間後にはローザンヌで、全種目を通じて日本男子選手初となるダイヤモンドリーグ制覇を成し遂げました。さらには世界選手権で5位に入り、日本人選手史上初の入賞を達成しました。高校時代から多種目で活躍。 走幅跳で8m10、三段跳でも16m08の自己記録を持ちます。
三浦龍司(男子3000m障害物)
2021年5月に、日本記録を18年ぶりに更新。7月の東京2020大会では、予選で8分09秒92の日本新をマーク。決勝で7位に入り、日本勢で史上初の入賞を成し遂げました。23年には日本選手権を3連覇、翌週にダイヤモンドリーグ・ パリ大会で8分09秒91と、自身の日本記録を 0秒01塗り替えました。世界選手権では6位に入り、日本人選手初の入賞を果たしました。
赤松諒一(男子走高跳)
岐阜大2年時の2015年に、日本インカレで優勝。4年時の17年、大学院2年時の19年にも同タイトルを獲得しました。22年に世界選手権に初出場。23年には日本選手権を初制覇して、アジア選手権で5位。7月に日本歴代6位タイの2m30をクリアしました。世界選手権では決勝に進み、8位入賞。杭州アジア大会で6位に入りました。24年は日本選手権を連覇。
川野将虎(男女混合 競歩リレー)
東洋大3年時の2019年に、ユニバーシアード の20㎞Wで銀メダル。全日本競歩高畠大会の 50㎞Wでは、3時間36分45秒の日本記録をマークしました。社会人になった21年に、東京2020大会の50㎞Wで6位入賞。22年には日本選手権の35㎞Wを制し、世界選手権で銀メダルを手にしました。23年の世界選手権でも、同種目で銅メダルを獲得しています。
田中希実(女子1500m、女子5000m)
2021年の東京オリンピック1500m準決勝で、日本人選手初の3分台となる3分59秒19をマーク。決 勝で8位に入り、女子トラック種目で日本勢 25年ぶりの入賞を果たしました。23年4月にプロランナーに転向。世界選手権の5000mで8位に入賞し、9月に14分29秒18の日本記録を樹立しました。24年には3000mで8分34秒09と、自身の日本記録を更新。
北口榛花(女子やり投)
2021年の東京2020大会で日本勢57年ぶりの決勝進出を果たすと、22年の世界選手権で3位に入り、女子フィールド種目で日本人選手初のメダルを獲得。23年の世界選手権では、史上初の金メダルの快挙を成し遂げました。9月には67 m38と自身の日本記録を更新。ダイヤモンドリーグ・ファイナルでは、全種目を通じて日本人選手初のチャンピオンとなりました。
競技初回実施大会 | アテネ1896大会 |
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TEAM JAPAN初出場大会 | ストックホルム1912大会 |
競技別累計メダル数 |
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2024年8月21日時点
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