東京2020オリンピックに出場した小池祐貴選手。2023年からアメリカに練習拠点を移した小池選手が現在感じていること、そして来年のパリ2024オリンピックへの想いを語る(インタビューは杭州アジア大会期間中に実施)。
アメリカに行ってからトレーニング内容も理論も全てゼロからのスタートになったので、まだ全部理解し切れていない、把握し切れていないところもありますし、目の前のできることを一個一個積み重ねて行っている段階です。なんとかこの冬で今のコーチの理論をほぼほぼ体得して、来シーズンインまでにはある程度形づくっていき、日本選手権は6月ぐらいなのでそこまでに実戦を積んでいければ、個人種目における大きな目標である決勝に進出するというラインには手が届くのではないかという気持ちでやっています。
楽しいからやっているというのがずっと自分で持っているものですし、暇な時間はもうずっと陸上の事について考えているような感じです。社会的にこういう意味がある、こういう意義や使命があってやっているなどというのは後付けで何とでもなる部分で、根本的になぜ自分が陸上競技をやっているのかを考えてみたときに、仕事だからやっているかというとそうではなく、お金が稼げなくなってもきっと陸上をやるだろうなと想像すると、走りたいから走っているし、だからこそ走れる環境を頑張って作っているのだと思います。その結果、自分以外の人が喜んでくれるというようなことがあればそれに越したことはないですが、あくまで人のためというよりはもう自分のためだけに走っている感じですね。
まず次の目標である個人種目の決勝進出というものが未だに達成できていないので、パリ2024オリンピックでそこを突破できれば次はメダルを狙うトレーニングに切り替わっていくと思います。正直な話、年齢的な意味も含めてターニングポイントになるような大事な国際大会になると思うので、本当にこの冬、一分一秒も無駄にできないなと考えています。
まずは理解することですね。今まではどうすれば速くなるか、どういう風になりたいかということは全て自分で考えてやっていたのですが、今のコーチのところに行ったらそれは全てコーチが考えることで、それを理解して実行するのが選手のやるべきことだという風に、ガラッとその部分が変わりました。何とか今、全体像が見えてきたなという段階なので『どういう走り、どういうレースが、コーチの頭の中にある“僕の走りの完成形”なのか?』というところがしっかり見えてくれば最短距離でいけると思うので、まずは理解することですね。
陸上競技では、世界陸上競技選手権大会もオリンピックも出場する選手は変わりません。ですので、レベルという面ではほぼほぼ変わらないものと思ってもよく、何ならオリンピックの方が皆プレッシャーがあるので、緊張してパフォーマンスが上がりにくいという部分もあります。自分の中でというよりは社会的な意義や価値としてというか、自分は東京2020オリンピックを経験しているのですが、周りの反応が圧倒的に違うなというのと、求められる熱量が別次元だなという風に感じるので、それこそ本当に求められているとき、より強く求められているときにそれに応えるというのが僕らの職業として大事なところだと思います。もちろん求められるものが大きければ大きいほどプレッシャーも非常に大きいですし、当たり前にできることができなくなることもあります。東京で初めてオリンピックに出場したときは少し圧倒されてしまったというか、驚きの中で終わってしまったところもあるので、そういった心の準備もしつつ挑めると、オリンピックが楽しくなるのかなという気持ちでやっています。