日本オリンピック委員会(JOC)は3月12日、東京都中央区の日本橋三井ホールで「日本橋 meets オリンピックコンサート」を開催しました。
「オリンピックコンサート」は、オリンピック映像とオーケストラ演奏を融合させ、スポーツファンのみならず、普段スポーツやオリンピックに親しみのない方にもオリンピックの価値や素晴らしさを実感してもらうことを目的に、JOCが1997年から毎年開催しています。
今回は東京2020オリンピック競技大会500日前特別企画として、東京2020ゴールドパートナーである三井不動産株式会社のご協力のもとに開催。指揮は園田隆一郎さん、演奏は「THE ORCHESTRA JAPAN」が担当し、司会はオリンピック・ムーブメントを発信するFMラジオ番組「MY OLYMPIC」を2012年まで13年間担当した蒲田健さんが務めました。
コンサートは、「OLYMPIC 世界を、ひとつにする魔法」の文字とともに世界中の人たちがスポーツを楽しみ、アスリートの姿に熱狂する映像が流れる中、オリンピックの音楽の代名詞とも言えるジョン・ウィリアムズ作曲の『オリンピック・ファンファーレとテーマ』で開幕。続く2曲目のアマンダ・マクブルーム作曲『The Rose』、3曲目のピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲『交響曲第4番 ヘ短調 作品36から第4楽章』では、「平昌オリンピックの感動を振り返る」をテーマに2曲続けて演奏が行われました。ここでは小平奈緒選手(スケート・スピードスケート)、髙木美帆選手(スケート・スピードスケート)、髙梨沙羅選手(スキー・ジャンプ)、渡部暁斗選手(スキー・ノルディック複合)、宇野昌磨選手(スケート・フィギュアスケート)、平野歩夢選手(スキー・スノーボード)、カーリング女子日本代表選手らが頂点を目指してトレーニングに打ち込む姿に続き、オリンピックの大舞台で努力が結実した歓喜の瞬間がダイナミックに演出され、最後は羽生結弦選手(スケート・フィギュアスケート)の演技と演奏のクライマックスが見事にリンクしました。
■映像と音楽で高まる東京2020大会への期待
次にスペシャルステージとして、ゲストアーティストの平原綾香さんが代表曲の『Jupiter』をフルオーケストラバージョンで熱唱。伸びやかで、感情がたっぷりこもった歌声が会場を包み込みました。
コンサート後半の5曲目では、全ての人たちが輝くことを願い、リヒャルト・ワーグナー作曲の『歌劇「タンホイザー」序曲』を演奏。壮大なスケールの音楽と、夏季オリンピック史上に残る世界のオリンピアンたちの名場面が融合しました。
最後はスピロ・サマラ作曲の『オリンピック讃歌』。オペラ界で活躍するテノール歌手の澤原行正さんと村上公太さん、バリトン歌手の北川辰彦さんが迫力ある声で歌い上げ、コンサートのフィナーレにふさわしい締めくくりになりました。
鳴り止まない拍手の中、アンコールではゲストアーティストの平原さんが再び登場し、2曲目に演奏した『The Rose』の和訳版である『愛は花、君はその種子』を歌唱。美しい歌声を響かせる中、あと500日と迫った東京2020大会への期待がいっそう高まる雰囲気となりました。
■三宅宏実さん、高橋尚子さんらがゲスト出演
また、今回のオリンピックコンサートは2回公演で行われ、1回目の公演には2012年ロンドンオリンピックで銀メダル、2016年リオデジャネイロオリンピックで銅メダルを獲得したウエイトリフティングの三宅宏実選手、JOCエリートアカデミー生の榊流斗選手、尾﨑野乃香選手、鏡優翔選手(いずれもレスリング)、2回目の公演には2000年シドニーオリンピック女子マラソン金メダリストの高橋尚子さん、東京2020大会の新種目であるスポーツクライミングの野口啓代選手がゲスト参加。コンサートの合間に行われた「オリンピアン/アスリート トークコーナー“輝こうTOKYOで!”」に登壇し、それぞれオリンピックコンサートの感想や、オリンピックの思い出、そして東京2020大会への意気込み、目標などを語りました。
オリンピックに4大会連続で出場し、1000日前コンサートに続いて今回も参加した三宅選手は、ウエイトリフティングを始める前は「ピアノ教師だった母のもとでピアノのレッスンを受けていました」と、音楽との意外なつながりを明かしました。そして、5大会連続出場と3大会連続メダル獲得を目指す東京2020大会に向けて「日本でオリンピックが行われるというモチベーションが高いのでトライしたいです。皆さまの応援が本当に力になりますし、表彰台を目指して頑張りたいです」と意気込み。また、東京2020大会のその先を見据えるJOCエリートアカデミー生に向けて「いつも朝練しているのを味の素ナショナルトレーニングセンターで見ていて、凄いなと思いますし、このままオリンピックに向けて前進してくれればいいなと思います」と、エールを送りました。
先輩オリンピアンから直接激励されたJOCエリートアカデミー生たちは、東京2020大会やその次の2024年パリオリンピックに向け、「東京2020大会は現実的に厳しいかもしれませんが、今の時代に生きている以上はそこに向けて頑張る義務があると思うので、できることを頑張っていきたいです」(榊選手)、「私は年齢規定で東京2020大会に出場することはできませんが、その次のパリオリンピックに向けて、今から1年、1年、シニアのトップ選手に勝てるように頑張っていきたいと思います」(尾﨑選手)、「私は東京2020大会に出られる年齢にぎりぎり達しているので、もうすぐ行われる予選に向けてトレーニングを頑張っています」(鏡選手)と、それぞれ抱負や目標を宣言しました。
一方、2回目の公演にゲスト出演した高橋さんは、日本中に感動をもたらしたシドニーオリンピックの思い出を振り返り、「19年経ちますが、振り返ると昨日のようにスタート前のピリピリとした緊張感、走っているときの暑さを思い出します。そして、一番覚えているのは、スタジアムの中に入ってきたときの8万人の歓声です。耳だけではなくて体に刻まれたような感覚でした」とエピソードを披露。現在はJOC理事としての立場から、「オリンピック・ムーブメントの推進も含めて色々な角度から関わりながら、皆さんと一緒に盛り上げていきたいと思っています」と、選手時代とは違ったスタンスで東京2020大会をサポートしていくことを誓いました。
そして、東京2020大会の新種目として実施されるスポーツクライミングでの出場を目指す野口選手は、スポーツクライミングの種類や魅力、東京2020大会で採用されるルールなどを説明した後、「私の場合は今年の世界選手権でオリンピック日本代表の選考があるので、そこを勝ち抜いて来年のオリンピックに出場したいと思います。そして、今回のコンサートでオリンピックの映像を見ていたら、今度は見ている側ではなくて自分がこの映像に出たいと強く思いました」と、気持ちを新たに東京2020大会出場へ意欲を燃やしていました。
また、オリピアン、アスリートといっしょにトークコーナーにゲスト出演した平原さんは「選手の皆さんが気持ち良く競技に集中できるような環境づくりを、私たちが少しでも気にかけることがオリンピックに参加することなのかなと思います」と観客に向けて呼びかけると、「私も少しでも音楽で応援できればいいなと思います」と述べました。
感動的な映像と音楽、またアスリートたちのトークコーナーで会場は盛り上がり、コンサートは1回目、2回目ともに盛況のうちに終了。観覧席からは大きな拍手が送られました。
なお、6月14日(金)には「オリンピックコンサート2019」が東京国際フォーラムホールAで開催されます。“輝く夢に向かって!”をテーマに、東京2020大会がアスリートはもちろんのこと、それを共有するすべての人たちが輝ける大会となるように、オリンピックをめぐる数々の感動のドラマを、スクリーンに鮮やかに蘇るオリンピック映像とフルオーケストラによる壮大な響きでおとどけし、東京2020大会を展望します。
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