日本オリンピック委員会(JOC)は10月28日、東京都中央区の日本橋三井ホールで「日本橋シティドレッシング meets オリンピックコンサート」を開催しました。
「オリンピックコンサート」は、オリンピック映像とオーケストラ演奏を融合させ、スポーツファンのみならず、普段スポーツやオリンピックに親しみのない方にもオリンピックの価値や素晴らしさを実感してもらうことを目的に、JOCが1997年から毎年開催しています。
今回は東京2020オリンピック競技大会1000日前特別企画として、東京2020ゴールドパートナーである三井不動産株式会社のご協力により、東京2020大会に向けたシティドレッシングが施されている日本橋を舞台に開催。指揮は梅田俊明さん、演奏は「THE ORCHESTRA JAPAN」が担当し、司会はオリンピック・ムーブメントを発信するFMラジオ番組「MY OLYMPIC」を2012年まで12年間担当した蒲田健さんが務めました。
■オリンピックの感動が音楽と映像で甦る
コンサートは、オリンピックの音楽の代名詞とも言えるジョン・ウィリアムズ作曲の『オリンピック・ファンファーレとテーマ』で幕を開けると、続くドヴォルザーク作曲の序曲『謝肉祭』では、その流れるような美しい旋律とアップテンポに転調する明るい曲調に合わせてこれまでの冬季オリンピックの名場面がスクリーンに映し出され、約3カ月後に迫った平昌オリンピックへの期待感が高まる演出となりました。また、中島みゆきさんの名曲『糸』のオーケストラバージョンに乗せて、映像では平昌オリンピックを目指す髙梨沙羅選手(スキー・ジャンプ)、髙木美帆選手(スケート・スピードスケート)、小平奈緒選手(スケート・スピードスケート)、渡部暁斗選手(スキー・ノルディック複合)、東京オリンピック世代として東京2020大会を目指す伊藤美誠選手(卓球)、白井健三選手(体操・体操)らの幼い頃から現在に至る努力の様子を紹介。その歌詞にあるように、人との出会いを大切にしながら夢に向かって突き進むアスリートたちの姿が描かれました。
コンサート後半の第1曲目となるドヴォルザーク作曲の交響曲第9番『新世界より』第4楽章では、1964年東京オリンピック、1972年札幌オリンピック、1998年長野オリンピックとその当時の日本の社会の様子を中心に、これまでのオリンピックで日本人アスリートがメダルを獲得したシーンが次々と展開。札幌オリンピックで羽ばたいた日の丸飛行隊から、史上最多獲得数となった記憶に新しい2016年リオデジャネイロオリンピックでのメダル獲得の数々など、ドヴォルザークの壮大な音楽に合わせて感動が甦る演奏となりました。
最後は、中央区・プリエールジュニアコーラスの皆さんがステージに登場し、オリンピックの公式讃歌であるスピロ・サマラ作曲の『オリンピック讃歌』を合唱。また、アンコールでは栂野知子さん作詞作曲の『時を越えて』が合唱され、東京2020大会への期待がさらに高まる雰囲気の中でオリンピックコンサートが幕を閉じました。
■三宅選手、野中選手、野口選手が東京2020大会へ抱負
今回のオリンピックコンサートは2回公演で行われ、1回目の公演には2012年ロンドンオリンピックで銀メダル、2016年リオデジャネイロオリンピックで銅メダルを獲得したウエイトリフティングの三宅宏実選手、東京2020大会の新種目に追加されたスポーツクライミングの野口啓代選手、同じく野中生萌選手、2回目の公演には2008年北京オリンピックの競泳男子4×100mメドレーリレーで銅メダルを獲得した宮下純一さん、JOCエリートアカデミー生の榊流斗君(レスリング)、脇田樹魅さん(フェンシング)、木原美悠さん(卓球)がゲスト参加。コンサートの合間に行われた「ゲストオリンピアン/アスリート トークコーナー“つなごう夢、2020へ!”」でステージに登壇し、それぞれオリンピックコンサートの感想や、オリンピックの思い出、そして東京2020大会への意気込み、目標などを語りました。
「素晴らしい音楽と映像のコラボで、オリンピックを思い出しながらうるっとしてしまいますね」と感想を語った三宅選手は、大逆転で勝ち取ったリオデジャネイロオリンピックの銅メダルを思い返しながら「何よりも声援の力が大きかったです。開催国の選手ではないのに今まで聞いたこともないような大きな声援をいただき、本当に力になりました」と振り返りました。それだけに母国開催となる東京2020大会での応援の力への期待も大きい三宅選手は「声援はアスリートにとって1番の力になります。東京2020大会はすごく盛り上がると思いますし、もちろん私も現役選手として挑戦したい」と宣言すると、会場からは大きな拍手が起こりました。
野口選手、野中選手は、スポーツクライミングが東京2020大会から新種目として追加されることに「オリンピックは見るものだと思っていたので、決まったときは本当に信じられない気持ちでした」と嬉しさを語りました。スポーツクライミングは野口選手、野中選手をはじめ男女とも日本人選手が世界トップクラスの実力で活躍しており、東京2020大会でのメダルが期待されている競技。また、一般の愛好家も年々増えている人気急上昇中のスポーツです。スポーツクライミングへの期待、人気が高まっている中で迎える東京2020大会に向け、野口選手は「大会まであと1000日。今回のコンサートでオリンピックの映像を見ながら、1日も無駄にしてはいけないと改めて思いましたし、1回でも多く壁を登りたいと思いました」と意気込みを語り、野中選手も「今日は映像を見ただけでもすごく感動したので、今度は自分がその感動を生で感じたいと思いました」と、オリンピック出場への気持ちを新たにした様子でした。
■エリートアカデミー生もゲスト出演
一方、2回目の公演にゲスト参加した宮下さんは「映像と演奏が重なると胸が熱くなりますね。練習の日々を思い出します」とコンサートの感想を述べると、「自分が出場した北京オリンピックから10年近く経ちますが、こうして後輩の選手たちが育ってバトンがつながっています。ぜひ夢の舞台である東京オリンピックのチャンスをつかみ取ってほしいですし、国民の皆さんが応援したくなるような愛される選手になってほしい」と、エリートアカデミー生にエールを送りました。そして、「選手だけでは成功しません。皆さんも一緒にチームジャパンとなって大会を成功させる気持ちで頑張っていきましょう」と、選手だけではなく日本全体が一丸となって東京2020大会を盛り上げていけるよう、コンサート来場者に呼びかけました。
オリンピアンの先輩からエールを受け取ったアカデミー生も、それぞれ東京2020大会へ向けての抱負や目標を宣言しました。
「2020年には20歳になります。まだ若い年齢だと思われるかもしれませんが、レスリングでは若い世代でもメダルを取る選手がたくさん出ています。自分も東京2020大会の金メダルを目指して、さらにその先のオリンピックでも金メダルを取れるように頑張ります」(榊君)
「オリンピックは小学生のころからの夢でしたが、エリートアカデミーに入学してからは目標になりました。1000日後に向けて、これからの1日1日の練習にさらに気合を入れて、東京2020大会の開会式では笑って出場している私の姿を見ていただきたいと思っています。応援よろしくお願いします」(脇田さん)
「小さい頃からオリンピックを見ていて、自分もあの舞台で試合をしたいと思っていました。エリートアカデミーに入学して良かったと思っていますし、先輩のように自分も今のうちから世界で活躍して、東京オリンピックに出て金メダルを取りたいです」(木原さん)
未来のオリンピアン候補生たちからの力強い言葉に、この日来場した方々からは大きな応援の声と拍手が送られました。
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