日本オリンピック委員会(JOC)は7月21日、埼玉県のウェスタ川越 大ホールで「オリンピックコンサート2018 in 川越」を開催しました。オリンピックコンサートは、全世界で行われているオリンピックデーイベント(オリンピックデーは6月23日)の一環として日本独自に開催しているイベント。感動的なオリンピック映像と壮大なシンフォニーオーケストラの共演は、毎年多くの方にご好評いただいています。
東京2020大会のゴルフ競技会場でもある川越市では、2015年に初めて東京以外の都市でオリンピックコンサートを実施し、今回は2016年に続いて3回目の公演となります。今年は「つなげよう感動!輝こうTOKYOで!」をテーマに、指揮は梅田俊明さん、演奏は「THE ORCHESTRA JAPAN」が担当。オリンピアン(水泳・競泳/1988年ソウルオリンピック、1992年バルセロナオリンピック出場)で俳優の藤本隆宏さんがナビゲーターを務めました。
コンサートは平昌オリンピックファンファーレで幕を開け、続く2曲目はレナード・バーンスタイン作曲の『キャンディード序曲』。疾走感のある曲調に合わせて、平昌オリンピックの聖火リレー、開会式の様子が映像で映し出されると、会場は早くも平昌オリンピックの感動と興奮がよみがえる雰囲気に包まれました。3曲目はアントニン・ドヴォルザーク作曲の『スラブ舞曲 第1集から第1番』。ここでは多彩なリズムで構成された曲と平昌オリンピックを彩った名シーンにより、冬季競技の魅力でもある美しさとスピード感が演出されました。
次に演奏された4曲目は、アマンダ・マクブルーム作曲の『The Rose〜愛は花、君はその種子』(インストゥルメンタルバージョン)。ベット・ミドラーが歌った1979年公開のアメリカ映画「Rose」の主題歌であり、日本では高畑勲監督のアニメーション映画「おもひでぽろぽろ」の主題歌としても知られる同曲の温かなメロディーに乗せ、映像では日本人アスリートにフォーカス。髙木美帆選手、髙梨沙羅選手、平野歩夢選手、渡部暁斗選手らが頂点を目指してトレーニングに打ち込む姿が紹介されました。第1部最後の曲目として演奏されたのが、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲『交響曲第4番 ヘ短調 作品36から第4楽章』。華やかで力強い音楽とともに小平奈緒選手、羽生結弦選手、宇野昌磨選手、原大智選手、カーリング女子日本代表らメダリストを中心に、日本代表選手団の努力が結実した歓喜の瞬間がダイナミックに演出され、第1部の幕が閉じました。
第2部のオープニングを飾ったのはアレクサンドル・ボロディン作曲の歌劇「イーゴリ公」より『だったん人の踊り』。この曲では、美しさを表現する採点競技にフォーカスし、体操、新体操、アーティスティックスイミング、フィギュアスケートなど、過去の大会から平昌オリンピックまで、人々の心を打つ美しい演技の数々を、徐々に盛り上がる音楽に乗せて振り返りました。
次に行われたトークコーナー“つなげよう感動、輝こうTOKYOで!”では、最初に川合善明川越市長、小野澤康弘川越市議会議長、立原雅夫川越商工会議所会頭、木村希一霞ヶ関カンツリー倶楽部理事長が登壇。2年後に迫った東京2020大会に向けて川越市でも準備が順調に進んでいることを報告した川合市長は、「東京2020大会で川越市にお越しいただく皆さまに対し、伝統的な文化を使ったおもてなしを市民の皆さま方と一緒に考えていきたいと思います」と述べました。
続いて、埼玉県出身の三宅宏実選手(ウエイトリフティング)、地元川越市出身の渡邊啓太選手(スケート・ショートトラック)、プロゴルファーの渡辺司さんが登壇。平昌オリンピックのショートトラック男子リレー5,000mで7位入賞した渡邊選手は、地元の応援が大きな力になったことをお礼の言葉とともに述べると、東京2020大会について「4年に1度の舞台が日本、東京で開催されることは大変嬉しいことです。また、この川越でゴルフ競技が行われますので、僕も一生懸命応援したいと思います」と笑顔で話しました。また、ロンドン、リオデジャネイロに続き、東京での3大会連続メダルを目指す三宅選手は「皆さんの応援が選手の力になります。引き続きご声援のほど、よろしくお願いいたします」と観衆に呼びかけ、「私もまだ現役としてやっていきますので、5度目のオリンピック挑戦を目標に頑張りたいと思います」と誓いました。
一方、渡辺さんは、東京2020大会のゴルフ会場となる霞ヶ関カンツリー倶楽部のコース特徴を紹介するとともに「日本代表として出場する選手は何度もコースで練習できますので、他国の選手よりもコースとのマッチングがうまくいくのではないかと思います。大いに男子、女子ともにメダルが期待できると個人的に思っています」と期待の言葉を述べました。
トークコーナーが終わり、オリンピックコンサートも残すところ3曲。7曲目には、先人が道なき道を切り開き、未来へと受け継がれてきた日本人オリンピアンの系譜をテーマに、リヒャルト・ワーグナー作曲の『歌劇「ローエングリン」から第1幕への前奏曲』が演奏されました。ここでは過去から現代へとつながる各競技の日本人アスリートたちの戦いの記録と記憶を、美しい弦楽器の響きに乗せて展開。そして、全ての人たちが輝くことを願い演奏された8曲目、同じくワーグナー作曲の『歌劇「タンホイザー」序曲』では壮大なスケールの音楽と夏季オリンピック史上に残る世界のオリンピアンたちの名場面が融合し、東京2020大会への期待がいっそう高まる雰囲気となりました。
最後は、川越市内の6つの高校から66名の高校生がスピロ・サマラ作曲の『オリンピック讃歌』を合唱。クライマックスでは客席前方から金のテープが勢いよく飛び出し、華やかにフィナーレを迎えました。
鳴り止まない拍手の中、アンコールでは4曲目に演奏した『The Rose〜愛は花、君はその種子』を高校生たちが合唱。美しい歌声のハーモニーを響かせながら、平昌の興奮がよみがえり、またその感動が東京へとつながっていく2時間のコンサートの幕が下りました。
関連リンク
CATEGORIES & TAGS