FISUワールドユニバーシティゲームズの歴史
先駆者の登場──。19世紀初頭、近代オリンピックの父であるピエール・ド・クーベルタン男爵によって競技スポーツの時代は幕を開け、米国、英国及びスイスの3カ国において最初の大学間会議が開催された。1894年にオリンピック・ムーブメントが形成された後、1905年に米国にて大学スポーツ組織、1919年に国際学生連合が設立され、1923年には初めて世界大学大会(World University Games)が開催された。
始まり
国際大学スポーツ連盟(以下FISU)は1949年に正式に設立されたが、その始まりは1923年5月に、フランスのJean Petitjeanがパリで開催した“世界学生大会(World Student Games)”である。その一年後に国際学生連盟(International Confederation of Students以下ICS)が誕生し、各国から使節が参加したワルシャワ(ポーランド)での会合から大学スポーツの活動が開始した。1925年から1939年まで、多くスポーツイベントがICSによって開催された。
開催年 | 開催場所 |
---|---|
1925年 | プラハ |
1927年 | ローマ |
1930年 | ダルムシャタッド |
1933年 | トリノ |
開催年 | 開催場所 |
---|---|
1935年 | ブダペスト |
1937年 | パリ |
1939年 | モナコ |
第二次世界大戦が勃発するとこれらのイベントは途絶えるが、戦後、フランスが世界大学大会(World University Games)を再開する。
1949:FISUの創設
戦後は冷戦により大学スポーツ界も二分された。1949年に国際学生連合(International Students Union以下ISU)が大会を開くも、西側からの参加は少なかった。しかし、その前年にルクセンブルクで活動を開始したFISUのDr. Paul Schleimerにより、はじめて西側も参加した国際大学スポーツ週間(International University Sports Weeks)を開催した。これらの会合はメラノ(1949)、ルクセンブルク(1951)、ドルトムント(1953)そしてサンセバスチャン(1955)において開催され、1957年にはフランスが東・西側から共に学生が参加する世界大学スポーツ選手権(World University Sports Championship)を開催すると、この大会以降、世界中の学生が参加できる継続的な大会運営が行われた。
最初のユニバーシアード競技大会
1959年、FISUとISUはトリノにおいて、イタリア学生スポーツ協会が開催する大会に参加することに合意した。FISUにとってこの年は記念すべき年となる。イタリアの組織委員会がこの大会を初めて「ユニバーシアード」と命名したのである。
後に世界中に認められることとなる、星に囲まれた‘U’の旗もこの時に誕生した。また、メダル授与式において国歌の代わりにFISU賛歌「Gaudeamus Igitur (だから愉快にやろう)」の演奏が適用されたのもこの時からであった。
トリノにおけるユニバーシアード競技大会は成功を収め、地元組織委員会とその後のスポーツ界に大きな影響を及ぼすことになるプリモ・ネビオロ氏の運命を変えた。この大会に43の国々から1,400名が参加し、多くの国々がFISUメンバーになるよう話があった。しかしながら、やっと大学スポーツ界も平和に共存するようになったにも関わらず、解決すべき問題は依然存在した。そのため、国のシンボル(国旗や国歌)やプログラムに関する問題などを含めFISUは定款第2条に「FISUは、政治、宗教また人種に関わる思惑や差別と相いれることなく活動する」と記している。この時より、FISUが世界的な大会を開催することとなる。
大学スポーツの広がり
1960年代より、FISUはユニバーシアード競技大会に加え、競技別の世界大学選手権大会も開催することになった。現在、ユニバーシアード競技大会で実施されない競技について、同大会が開催されない偶数年度に大会を開催している。
まとめ
ユニバーシアード(UNIVERSIADE)とは、国際大学スポーツ連盟(Federation Internationale du Sport Universitaire=FISU)が主催する世界の学生の競技大会のことで、別名“学生のオリンピック”ともいわれている。2年ごとに開催され、英語では通常、“The ○○th Universiade Games (年/都市)”と記される。
ユニバーシアードは1959年に初めてその名が付けられたが、その歴史は1900年代初頭にさかのぼる。1924年に設立された国際学生連盟(ICS)により、学生のためのスポーツの祭典が多く催されたが、第二次世界大戦により中断される。
戦後は政治地図が東西に分かれたために、国際学生スポーツ界も二分され、それぞれ学生スポーツ大会を開いていた。
1949年にFISUが誕生し、東西の分断に対し少しずつ緩和の動きを見せていく。1957年にフランスのパリで開かれた競技大会には、東西両側より学生が参加するに至った。この学生たちのスポーツの祭典は、1959年のトリノ大会において地元イタリアの組織委員会により“ユニバーシアード”と命名され、これが公式上の第1回ユニバーシアード競技大会となる。
ユニバーシアードは、当初奇数年に夏季大会、偶数年に冬季大会と分けて行われていたが、1980年代初頭より夏冬ともに奇数年に開催されている。また、中国・成都で開催の2021年夏季大会から「FISUワールドユニバーシティゲームズ」として行われている。
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