アトランタ1996
金メダリストインタビュー
中村兼三選手 男子柔道 71キロ級
- プロフィール
中村兼三 (なかむらけんぞう)
73年10月18日、福岡県県生まれ。
そろって五輪出場を果たした中村三兄弟の三男。東海大学卒業後、現在は旭化成に所属している。すでに世界選手権優勝を果たしていた兄2人に比べ、やや期待薄といった印象もあったが、実は95年のユニバーシアード福岡大会から同年のアジア選手権、96年のフランス国際など国際試合での連勝を続けていた。
- なんだかずっと昔の出来事のようです!
金メダル獲得という人生最大の出来事も「今となってはすごく昔の出来事みたいに感じますね」と中村選手。インタビューの第一印象は好青年。質問にはよどみなくハッキリとした口調で答えてくれるし、笑顔もさわやか。TVではもっと「ごつく」感じたのですが、実際には思いの外スマートなハンサムでした。
中村選手にとって五輪での金メダル獲得は、もちろん大きな目標でした。でも出てしまった結果については「満足なんてしてられません」と厳しい言葉。「満足してしまうと、試合に出てしまうんです。常に挑戦者の気持ちを忘れないようにしないと向上はありません。ボクの柔道生活はこれで終わるわけじゃないですからね」 金メダルは「もう終わったこと」。中村選手は、新たな目標に向かって稽古に明け暮れる日々を送っています。
- 課題は「攻めの柔道」に徹すること
現在の目標は「とにかく目の前の試合でいい結果を出していくこと」と中村選手。金メダルに慢心して「チャンピオンらしく」などと考えることはタブーです。
「負けられないって気持ちが先に立つと、試合運びが守りに入ってしまいます。とにかく攻めの柔道に徹すること。それが今の課題です」攻めの柔道。これは五輪前にも自分に課して稽古に励んだ最も重要な練習テーマだったということです。具体的には「技出しの速さを磨くこと」と「組み手が左利きの選手への対策」が課題。中村選手の出場するクラスには、左の選手が多いのだそうです。
- 兄たちも自分のことのように祝福してくれました
アトランタでは中村三兄弟のトップをきって21日の95キロ超級に佳央選手が出場。しかし残念ながら敗者復活3回戦で敗退。兼三選手はその3日後、24日に出場して見事に金メダル獲得。翌日、25日に65キロ級に出場した行成選手は惜しくも銀メダルでした。
「結果的に金メダルは獲れたけど、紙一重の差だったと思います。このクラスは誰が優勝してもおかしくないほど実力が拮抗しています。組み合わせが決まってからは、ぜったいに自分が優勝するんだって信じてました」という中村選手。
大会前は三兄弟として話題になっただけに「三人とも負けたらどうしよう」とかなりのプレッシャーを感じていたといいます。兼三選手の優勝が決まったときには、兄2人も「自分のことのように喜んでくれました」。そして、自分が優勝できたことよりも「兄が負けたことの悔しさのほうが、今では心に残っています」という言葉が、とても印象的でした。
- シドニー大会に向けての目標は
さて、ちょっと気が早いですが、2000年に開催さえるオリンピック・シドニー大会に向けての抱負をうかがってみました。「アトランタで優勝したとはいえ、シドニーに必ず出場できるわけじゃないですからね。とにかくこれから出場する試合に全力を尽くして頑張ります」というのはごもっとも。でも、最後には「もちろん2連覇目指して頑張ります!」と力強い言葉でインタビューをしめくくってくれました。
- 柔道・今後のおもな大会日程
- 12月21日〜22日 平成8年度講道館杯日本柔道体重別選手権大会(講道館)
- 平成9年1月19日 ワールドカップ女子柔道団体対抗大会(会場未定)
- 4月6日 全日本選抜柔道体重別選手権大会(福岡市民体育館)
- 4月29日 平成9年全日本柔道選手権大会
- 10月9日〜12日 第20回世界柔道選手権大会(フランス・パリ)
- 10月9日〜12日 第20回世界女子柔道選手権大会(フランス・パリ)
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