アテネ2004
アテネオリンピック検証
充実した強化スタッフとレベルアップしたコーチ力
竹内: 私は競泳のヘッドコーチに、競泳チームは8つもメダルをとって、どうしてこれだけ競技力が上がったんでしょうか、という質問をしたところ、「私の下にいるコーチたちのレベルがものすごく上がってるんだ」ということを、胸をはっておっしゃってました。レスリングも体操も日本のコーチの国際性も上がっている、勉強もよくしている。
福田: コーチのレベルは、どの競技もものすごく上がっています。その基礎に何があるかというと、強化スタッフの充実があるのです。各チームにドクター、トレーナー、栄養士、ビデオ班、分析班、これらがどの競技も充実して裏舞台で支えている。それと監督・コーチとのコミュニケーションも非常によくなった。もう一つは、強化スタッフが競技間を越えて連携して、情報をお互いに共有している。
一方ではJOCが去年の8月13日から29日まで、アテネに気象情報予報士を派遣して、オリンピックの1年前に気象情報を調べて野外競技の対策として、取ったデータを各チームにフィードバックした。そうした面でのサポートの充実もありました。
JOCでは、各競技団体の監督・コーチを2名まで、全部アテネに事前に派遣して、練習会場、水、食事、試合場、周りの環境、住居環境ということを調べて、これもチームにフィードバックしました。
勝負の80%は事前の準備、シミュレーションがいかにしっかりしているかということが、決め手になると僕は思っています。
早田: 今は結構国際性豊かで、各競技団体のコーチ陣は海外で試合の運営や、集客状況を視察するという例もあります。それともう一つは、JOCのパートナーシップ協定国をできるだけ活用するということです。体操はアメリカとのパートナーシップ協定を利用して全米選手権を視察に行ったら、アメリカが是非合同練習をやりたいといってきました。オリンピックはアテネだから、ドイツで時差調整の合宿をしてから現地に入りました。2国間交流の場合は相手も好意的になってくれますから、試合のときも自然と目は日本チームに向いてくれます。そのパイプ役をコーチがやっている訳です。これが国際化につながって、かなり選手がやりやすい環境になると思います。それと、IFにどれぐらいの人材の派遣をしているかということがあります。
竹内: 日本の選手やチームがライバルに、また審判や競技役員やIFにどう見られているか、それが高いほど選手も堂々といられるし、きちんと評価をしてもらえる。IFに人材を出したり、国際的な競技にはどんどん出ていくことが非常に大事になってくるということですね。
福田: 国際的な地位向上ということは、非常に大事です。だけど反面、今度は強すぎる日本が敵になる場合もあるのです。
早田: 痛し痒しなんですが、日本が出ていって強いということは、外交的にも国際レベルも高く国際外交になるので、それが非常に大事だと思います。
竹内: そうですね。日本はたいしたことないと最初から思われるのはいけません。
福田: 「IFの中に日本はいないから、落としても文句言われないからいいや」というようになるともっと悪いですから。選手はIFの席に日本の役員がいるかいないかで精神的にだいぶ違うらしいです。
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