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TEAM JAPAN DIARY

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2011年2月

2011/02/24

平成22年度JOC地域タレント研修会を開催、8地域の選手と指導者が集結

JOCは1月14日〜16日、味の素ナショナルトレーニングセンターで「平成22年度JOC地域タレント研修会」を開催しました。JOCが支援している11地域の「地域タレント発掘・育成事業」のうち、8地域の選手55人と指導者10人が参加。選手たちは、他地域県の選手たちと交流し刺激を受けあうとともに、スキル開発・向上につながるプログラムを受けました。指導者たちは、それぞれの取り組みの情報や知識を交換しあい、世界で活躍できるトップアスリートを育成する意識醸成につなげました。またトップアスリートや中央競技団体の関係者も参加し交流を深めるなど、充実したプログラムが展開されました。

 Img_3710_2 8地域から55人の選手が集まった

「地域タレント発掘・育成事業」は、全国の各都道府県や市区町村が才能のある若い選手を発掘・育成することを目的に行っている事業。山口県のようにセーリングとレスリングに種目を特化しているスタイル(種目特化型)や、岩手県のように身体能力の高い選手を見出し適性種目を探すスタイル(適性種目選択型)、北海道美深町のように他種目からエアリアルに転向させるスタイル(冬季種目転向型)など、発掘スタイルは様々で、対象となる年代も地域によって異なります。(※下記図参照)

1月15日は早朝7時に開会式を行い、その後ハンドボールのJOC専任コーチングディレクター田中茂氏とネメシュ・ローランド氏が指導し、全員でハンドボールの朝練習を実施。朝食後は、JOC情報・医・科学専門委員会の久木留毅委員による「スポーツ教育プログラム」の講義。久木留氏は、トップアスリートに求められる資質として「考える力が大切。勝ち負けには原因があり、『なぜ』を振り返ることが重要」と話し、選手たちを激励しました。

Img_3482 久木留委員による講義が行われた

続いて、選手たちは国立スポーツ科学センター(JISS)のスポーツ医科学体験・ボクシング・テニス・アーチェリー体験などをグループごとに回りました。スポーツ医科学体験では、エルゴメーターに乗りながら脈拍の増減を測るなど、JISSが行っている研究事業の一部に触れて感心した様子。ボクシング・テニス・アーチェリー体験では、普段とは違う競技を体験することで、身体の使い方の違いなどを実感していました。

Img_3521 アーチェリーを体験した選手たち

午後は、チャレンジプログラムが行われました。JOCが進めている「NTCコントロールテスト」5種目に加え、ジュニアの能力適性を見る材料になりうる種目など、計14項目を実施。有望選手を見出そうと集まった中央競技団体の関係者らは、地域のタレントたちがライバルと競い合いながら自分の限界にチャレンジする様子をチェックしました。タイムや距離などの記録だけでなく、「体幹がしっかりした動きをしている」「バネがある」「体重移動がうまい」など、アスリートとしての資質にも着目。多くの関係者が有望な選手を目にする機会となりました。

Img_3629

Img_3650 Img_3652 様々なコントロールテストが行われた

夜に行われた交流パーティーでは、2004年アテネオリンピック体操団体金メダリストの水鳥寿思選手や2008年北京オリンピックウエイトリフティング代表の齋藤里香選手など8名が参加。受講生は、トップアスリートに各地域の紹介や質問を投げかけ、充実した時間を送りました。

翌日は、レスリングのJOC専任コーチングディレクター江藤正基氏の指導による朝練習からスタート。続くトレーニングプログラムでは、陸上競技のJOC専任コーチングディレクター小林敬和氏により、基本動作をきちんと身につけるためのトレーニングが行われました。またランチセッションでは、1998年長野冬季パラリンピックで日本人初の冬季パラリンピック金メダルを獲得したアルペンスキーの大日方邦子氏から、あきらめずにチャレンジすることの大切さなどを伝えていただきました。最後に福井烈JOC選手強化本部担当理事のあいさつで閉会。選手たちは、次は日本代表として再会することを誓い合いました。

地域と中央が一体となり、地域で生まれた才能を見つけ、育て、世界に羽ばたかせる、地域タレント発掘・育成事業の可能性を改めて認識する機会となりました。

Map

JOCが支援する地域タレント発掘・育成事業一覧

2011/02/18

ワールドカップ・ジャンプ札幌大会、今季新ルールで開催

文・折山淑美

1月15〜16日に札幌・大倉山ジャンプ競技場で開催されたワールドカップ・ジャンプ札幌大会。この大会は、今季のワールドカップから採用されている、ジャンプ時の風の影響やスタート位置を得点に反映するルールの下で行われた。

その中でも成績に影響するのはウインドファクターだ。HS(ヒルサイズ)134mの大倉山では秒速1mにつき11.7点を基準として、ジャンプに有利な向かい風はマイナス、不利な追い風はプラスされるというもの。ランディングバーン横の5カ所に設置された風向・風速計で測った数値の平均値で得点が計算されるが、大倉山の場合は、風が巻いてランディングバーンの右側と左側で風の強弱や方向が違うこともある特有の条件下になるため、運に左右されることが多い。

大会前のワールドカップランキング日本勢最上位は伊東大貴選手の16位と、若干出遅れている日本チーム。この大会には、ワールドカップランキングTOP4までは出場したものの、5〜10位が欠場しており、上位に食い込める可能性のある大会だった。しかし風に苦しめられる結果となった。

■葛西紀明選手、次の大会につながる14位

Pkg111160508 14位になった葛西選手(フォート・キシモト)

2日間を通してまずまずの結果を出したのは葛西紀明選手だった。初日の1本目は追い風になったが、「その中でもいいジャンプができた」と、115.5mを飛んで10位につけた。2本目は「弱い向かい風になり、気持ちが攻め過ぎた」と言い109mに止まったが、合計11位につけた。向かい風基調となった2日目。1本目は、飛距離を伸ばすために重要なK点付近の風が無い条件ながら118mを記録。しかしランディングバーン上部の風は強かったためにウインドファクターはマイナス17.2点で、12位につける。2本目は、K点付近の向かい風を活かせず111mにとどまり、最終的に14位となった。

「1本目のジャンプは風に左右されたとは思ってなかったけど、ビデオを見たコーチがすごく良かったと言ってくれました。調子は上がって来ていたし、このメンバーなら一桁順位も行けると思っていたから、10〜15番くらいをチョロチョロしていたのは歯がゆいですね。まだ踏み切りでパワーが抜けている感じもするけど、それも少しずつ当たり出しているから、このまま飛び続ければいい方向へいくと思います」

こう話す葛西選手は昨年、夏シーズンの開幕前に右足の内側靱帯を痛めて出遅れた。それで逆に、調子が良かった昨季の日記を読み返すなどジャンプを見直す時間が取れたという。11月末からの冬シーズンには、年明けから徐々に調子を上げていけばいいという気持ちで、余裕を持って入れた。その思惑通り調子は上向いてきている。「1月21日からのポーランドのワールドカップで、上位選手が揃った中で自分の位置を確かめたい」と意欲を見せた。

Pkg111160379 意欲を語る葛西選手(フォート・キシモト)

■伊東大貴選手は不調のなか2日目1本目で7位、栃本翔平選手は「悔しい」13位

その葛西選手とは反対に、少し調子が落ちてきて苦しんでいたのが伊東大貴選手だ。伊東選手は昨年夏のサマーグランプリでは3勝して総合優勝を果たした。冬シーズンも開幕からの6試合中5試合で一桁順位になり、年末までは予選免除となるワールドカップランキング10位以内につけていた。だが疲労が出始めた年明けからは徐々に調子を崩していて、札幌大会初日は踏み切りのタイミングが合わずに18位となった。

それでも2日目は、1本目に123mを飛んで7位につける底力を見せた。2本目はこの日の試合の全選手中唯一、追い風の条件で飛ぶという不運に見舞われて23位まで順位を落としたが、疲労さえ抜ければ10位以内は狙える力があることは見せることはできたといえるだろう。

Pkg111160218 2日目に底力を見せた伊東選手(フォート・キシモト)

この2日間で最も悔しい思いをしたのが、期待の若手でもある栃本翔平選手だった。大会前までのワールドカップランキングは、伊東選手に次ぐ日本人2位の25位につけていた。年明けからはジャンプが少し狂っていたが、1月5日に日本へ戻って来てからはそれも修正でき始めていた。それでもまだ運を呼び込めるまでにはなっていなかった。

初日は1本目で7位につける健闘を見せたが、2本目は追い風に叩かれて15位に。2日目は1本目に128mを飛んで4位につけたものの、2本目は向かい風が弱い時にスタートしてしまう不運で飛距離を伸ばせず、順位を13位まで落としてしまった。

だがジャンプは「内容的には特別悪いことはなかった」と言い、徐々にまとまってきている。「1本目から順位を落とすのは悔しいですね。でも条件さえよければ、メンバーが揃った中でも10位前後は狙えるという手応えも感じてきました」と、前向きな言葉も口にするようになった。

Pkg111150280 悔しい結果となった栃本選手(フォート・キシモト)

同じワールドカップ組の竹内択選手も、風に苦しめられながらも初日は14位に入り「今のままやっていけば順位も徐々によくなって来るはず」と少しずつ手応えを感じ始めてきている。

直近のワールドカップを3試合欠場して札幌大会に臨んだ日本チームは、「ここで結果を出したい」という気持ちもあり、それが逆に足を引っ張ったともいえる。斉藤千春ヘッドコーチは「国内の試合と違って極端に助走スピードが遅くなって難しい上に、ウインドファクターでヨーロッパのジャンプ台ではあり得ないようなマイナス30点台が出るという、大倉山特有の条件も厳しかった。だがその中でもワールドカップ組5人は2日間とも2本目まで進み、ワールドカップポイントを獲得できたのは収穫だった」という。また伊東・葛西選手に次ぐ存在として期待される栃本選手の調子が、良くなって来たのも明るい材料だと話した。

ただ全体的に見れば、追い風だった初日は、ワールドカップ組以外全員が1本目で41位以下に沈み2本目に進めなかったが、2日目は、5名のワールドカップ組以外にも船木和喜選手と伊藤謙司郎選手が30位以内に入ってポイントを獲得できた。

国内の試合は向かい風が多いが、海外ではほとんどの試合が追い風の中で行われる。本大会は、その経験値の差が出た。今後は、日本チームのレベルアップのため、次世代の選手やトップ選手を追う他の選手にも多くの経験を積ませることも必要なのだろう。

2011/02/14

JOCの就職支援「アスナビ」、下大川綾華選手がテクマトリックス(株)に内定

JOCが進めているトップアスリートの就職支援ナビゲーションシステム「アスナビ」を活用し、下大川綾華選手(フェンシング)の採用内定を、ITサービス業の『テクマトリックス株式会社』が2月14日に発表しました。入社予定日は4月1日で、「アスナビ」による内定4人目となります。

Aflo_sswa033582 下大川選手(アフロスポーツ)

Aflo_veib015681 下大川選手(アフロスポーツ)

テクマトリックスでは、社内の連帯感や社員の士気高揚の創出に繋がる機会として、JOCの「アスナビ」を通じてアスリートの採用を検討。「下大川選手は明るく真面目な性格で、当社にふさわしいトップアスリート。下大川選手が社員の一人として競技に全力を尽くす姿をテクマトリックスグループ社員全員が応援することにより、企業グループとしての連帯感をより一層高めていきたい」と考え、採用を決定しました。

下大川選手は、2010年広州アジア大会では、女子エペ団体で優勝し、2012年ロンドンオリンピックでの活躍も期待されています。下大川選手は「大学卒業後も競技生活を続けられるか、とても不安でした。今回、テクマトリックスに就職することができ、大きな機会を与えていただいたことに心から感謝しています。競技で結果を残すことが、恩返しにつながると思いますので、練習に精一杯取組み、目標達成をしたいです。また、社会人としても成長していくよう頑張ってまいります」とコメントを発表しました。

「アスナビ」は、JOCゴールドプラン委員会/スポーツ将来構想プロジェクトの「指導者・選手の環境整備ワーキンググループ」を中心に進めてきた就職支援プロジェクト。JOCは今後も、企業と選手の架け橋となるよう「アスナビ」による支援を行っていきます。

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