日本オリンピック委員会(JOC)は7月9日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、「第14回アスナビ採用企業情報交換会(スキー)」を行いました。
アスナビは、オリンピック・パラリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに180社/団体281名(2019年7月9日時点)の採用が決まりました。
今回の情報交換会では、スキー競技のアスリートを採用した企業から5社7名と、全日本スキー連盟常務理事で競技本部長の皆川賢太郎氏が参加。それぞれの企業での取り組みなどの共有が行われました。
はじめに主催者を代表して、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターがあいさつに立ち、アスナビがスタートしてから9年間で281名が採用され、そのうちの半数以上がここ3年での採用であることを紹介。また情報交換会の目的について「選手の社会人としての育成方法や社内での応援体制など皆さまの取り組みを共有いただく機会にしてください。そして、本会を通じてアスリート採用企業間のネットワークが構築できればと思います」と説明しました。
次に、各社の出席者による自己紹介が行われた後、皆川氏が登壇。はじめに全日本スキー連盟の体制や、海外を中心に活動することが多いスキー、スノーボードの選手が国内での活動時間を増やせるように北海道、長野県で進められている練習施設の建設状況などの取り組みについて語りました。また、全日本スキー連盟として実施している「スノージャパン」の活動について紹介。「企業の皆さまに選手を支援することに対してどのようなメリットがあるのかを知っていただき、しっかりと返していけるような仕組みにしたいと考えています」と述べると、シーズンで活躍した選手を表彰するスノーアワードについて、「他の企業の方と交流ができるように今年から内容を変更しており、企業様にとって価値があるものとなっていると思います」と説明しました。さらに現在検討中であるという会社の研修会などへ連盟から選手を参加させるなどのアスリート採用企業との連携強化や、選手に関する情報の露出強化施策など今後の展望が述べられました。
続いて、皆川氏やJOCキャリアアカデミーのスタッフを交えて情報交換会が行われました。各社から勤怠状況の管理や社会人としての育成方法、アスリートと社員のコミュニケーションなどの不安や問題点が共有されました。参加者からは過去の対応事例などが紹介され、活発な意見交換が行われました。特に参加企業からの質問が集中したのが怪我をした際のサポート体制。過去に採用選手が怪我をした経験がある企業が当時の選手とのやり取りなどを紹介しました。また、皆川氏が選手の引退後について「目標を失ってしまう選手が多くいます。ぜひ現役の時から将来的にどのようになって欲しいかなどビジョンを与えてください」と企業へ依頼しました。
最後に皆川氏から全日本スキー連盟が選手に行っているメディアトレーニングをはじめとする選手教育の事例が語られ、本会は終了しました。
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