公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は2月22日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、「第13回アスナビ採用企業情報交換会(平成30年度新規採用企業編)」を行いました。
アスナビは、オリンピック・パラリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに172社/団体263名(2019年2月22日時点)の採用が決まりました。
今回の情報交換会では、平成30年度に初めてアスリートを採用した企業から14社22名が参加。すでにアスリート採用をしている2社の取り組みと、採用企業への留意点が紹介されました。
はじめに、鈴木統也JOCキャリアアカデミー事業アシスタントディレクターから、アスナビを通じてアスリート社員を採用した企業同士のネットワークの構築、選手活用後の課題の共有など本交換会の目的が語られました。
次に主催者を代表して、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターがあいさつに立ち、アスナビを通じて採用された263名の内、一昨年度に50名、昨年度は63名、今年度も60名程度と、近年、その人数が増加傾向にある現状を報告しました。そして、採用選手に関して「JOCでは『人間力なくして競技力向上なし』と教育しています。ぜひ企業の皆様には、採用したアスリートへ、社会人として、ビジネスパーソンとしての育成、教育もお願いします」と企業へ社会人としての教育を依頼しました。また、「アスナビではアスリートと企業様のwin-winの関係をと考えています。アスリートは企業様から経済的な支援を受けられます。本事業ではアスリートが今後、企業様へ、そして社会に貢献し、winの関係を提供できるかを目標としています。ぜひ、その実現に向け、この場を活用した有益な情報交換ができればと思います」と呼びかけました。
続いて、各社の出席者による自己紹介が行われた後、採用企業の選手活用事例として2社の代表者が登壇。はじめに、株式会社オリエントコーポレーション人事部ダイバーシティ推進室の白倉里美室長が、米沢茂友樹選手(陸上競技)と勝山眸美選手(陸上競技)の採用アスリート2名の雇用形態、出勤状況、担当業務などを説明。アスリート社員と一般社員の交流について、大会出場前に行われている壮行会や各営業所の社員が集まって応援に行っているなどの事例が語られました。また、アスリート社員自らが提案した、昼休みに会議室で行われている体操教室などの企画が紹介されました。
次に、競泳の安江貴哉選手を採用した新東工業株式会社の澤井実人事部副部長が、採用から入社までの経緯や練習環境の確保について紹介しました。採用にあたり「『競技』と『仕事』どちらも一流を目指そう。『二刀流』のアスリートになって欲しい。競技を通じた夢の実現を社員と共にやってください」と伝えたというエピソードを語ると、「いつまでもアスリートでいられるわけではない。最終的にはビジネスマンにならなければならない。仕事を通じて社会人として成長して欲しい」と引退後も考えて、安江選手と競技、仕事に取り組んでいる現状が説明されました。また、安江選手を応援するにあたり作成した横断幕とオリジナルのハッピが披露され、大会会場での応援風景を写真をまじえて紹介。国内の大会だけでなく、中国で開催された短水路世界選手権の際には、現地のスタッフが試合観戦に行くなど、社内一体となって応援しているとの事例が共有されました。
この日最後のプログラムは、「情報提供とQ&A」と題して、JOCキャリアアカデミー事業の久野孝男プランニングディレクターが、アスナビ選手採用後の労務関係と応援体制について説明しました。さらに採用選手の活動経費の範囲、スポンサーについて、競技団体への確認事項、社内の受け入れ体制づくり、広報対応などに関する過去の事例を紹介。参加者からは幅広い質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。
最後に久野プランニングディレクターが「これを機に採用企業、アスナビスタッフがお付き合いを深め、これからも情報交換を行っていければと思います」と参加者に語り、本会を締めくくりました。
関連リンク
CATEGORIES & TAGS