写真:三船貴光/フォート・キシモト

水泳/競泳

SWIMMING
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競泳はプールで一定の距離を自由形、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライの決められた4つの泳法で泳ぎタイムを競う競技です。第1回大会から実施されており、陸上競技と並ぶオリンピックの花形競技とされています。

杭州アジア大会競泳男子400m個人メドレー決勝

杭州アジア大会 競泳 男子400m個人メドレー 決勝(写真:川口浩輝/フォート・キシモト)



競泳の種目

パリ2024大会では男女35種目が実施されます。「自由形(50m、100m、200m、400m、800m、1,500m)」「背泳ぎ(100m、200m)」「平泳ぎ(100m、200m)」「バタフライ(100m、200m)」「個人メドレー(200m、400m)」の個人種目と、「4×100m自由形リレー」「4×200m自由形リレー」「4×100mメドレーリレー」「4×100mメドレー混合リレー」のリレー種目があり、このうち4×100mメドレー混合リレーのみ男女混合となっており、東京2020大会から採用されました。

東京2020大会競泳女子400mメドレーリレー決勝

東京2020大会 競泳 女子400mメドレーリレー 決勝(写真:杉本哲大/アフロ)

個人種目の見どころ

タイムが拮抗する世界最高峰の舞台で戦う選手たちは、泳力、体力の向上に加え、キックのタイミング、腕の向きなどを微妙にチェックし、細かい技術を磨き上げています。さらに、どのようにペース配分をするかという戦術も注目のポイントです。例えば予選では前半から飛ばして圧倒的なタイムで決勝に進んだ選手が、決勝ではあえて前半はペースを抑えて余力を残しておき、後半にスパートをかけるなどの作戦も、見どころの一つとなります。また、1人で4泳法を泳ぐ個人メドレーには、高い総合力が求められます。選手によって得意種目が異なるため、泳法が変わるたびに順位の変動が見られることもあり、抜きつ抜かれつのスリリングなレース展開は見応え十分。個人メドレーは、バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形の順番で泳ぎます。

東京2020大会競泳男子200m個人メドレー予選

東京2020大会 競泳 男子200m個人メドレー 予選(写真:杉本哲大/アフロ)

リレー種目の見どころ

リレー種目では、前の泳者がタッチする瞬間と、次の泳者の足がスタート台から離れるまでの「引き継ぎ」の時間をどう縮めるかが重要になります。メンバーの合計タイムが上位であっても引き継ぎ次第では順位を落とすことがあり、また、引き継ぎ時にフライングをしてチームが失格することもあります。メドレーリレーは、個人メドレーとは異なり、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライ、自由形の順番で泳ぎます。各泳法のトップ選手らでチームが組まれ、オールスター対抗戦のような華やかな盛り上がりを見せるのもこの種目です。東京2020大会から採用された4×100mメドレー混合リレーは、男女2人ずつの4人でチームを組み、どの泳法を男女どちらが泳ぐかはチームが自由に決めることができます。男子と女子が同時に泳ぐこともあり、大きな順位変動や逆転があり得ます。

東京2020大会競泳男子400mメドレーリレー決勝

東京2020大会 競泳 男子400mメドレーリレー 決勝(写真:杉本哲大/アフロ)

オリンピックにおける日本の歴史

日本は東京2020大会までで金メダル24個を含む83個のメダルを獲得しています。男子ではアムステルダム1928大会で鶴田義行選手(200m平泳ぎ)、女子ではベルリン1936大会で前畑秀子選手(200m平泳ぎ)が初の金メダルを獲得。この後の1930年代〜1970年代前半が日本競泳の全盛期と言われていましたが、その後もアテネ2004大会で3つ、北京2008大会で5つの金メダルを獲得するなど好成績を収めており、東京2020大会では、大橋悠依選手が女子200m個人メドレーと400m個人メドレーの2種目で2つの金メダルを獲得しています。

東京2020大会競泳2つの金メダルを獲得した大橋悠依選手

東京2020大会 競泳 2つの金メダルを獲得した大橋悠依選手(写真:杉本哲大/アフロ)

パリ2024大会の見どころ・注目選手

狭き門をくぐり抜けた27人のチームの柱は、キャプテンに任命された水沼尚輝。2022年のFINA世界選手権ブダペスト大会で、男子100mバタフライの準決勝で50秒81の日本記録を更新し、決勝ではその記録を超えることはできませんでしたが、それでも銀メダルを獲得する活躍を見せました。その後、腰痛もあり振るわないシーズンが続いたものの、五輪年にはきっちりと調整し、調子を合わせてきました。
性格的にも実直で水泳に対しても真面目で研究者気質のところを見せます。分け隔てなく接するその人柄の 良さから、今回のキャプテンに選ばれました。「特に何かをするわけではない」と話しますが、合宿では若手選手や、初代表の選手たちを気遣う姿を見せていました。

水沼尚輝

33歳の鈴木聡美も注目選手のひとり。昨年、22年ぶりに福岡で開催された世界水泳選手権では自己ベストを連発。メダルこそ手が届かなかったものの、出場した50m、100m平泳ぎともに決勝進出を果たしました。3月の国際大会代表選手選考会でも、100mで自己ベストを更新してライバルの青木玲緒樹とともに派遣標準記録を突破し、自身三度目のオリンピック代表の座を射とめました。

鈴木聡美

また、男子は世界水泳選手権2024ドーハの200mバタフライで金メダルに輝いた本多灯も好調。前回の東京2020大会ではダークホース的な存在でしたが、その後の国際大会では表彰台の常連となり、すっかり日本のエースとなりました。国際大会代表選手選考会では、この本多を下して優勝をかっさらった寺門弦輝とふたりでメダル獲得を狙います。

個人メドレーも注目度は高いです。400m個人メドレーには若手の松下知之とベテランの瀬戸大也のふたりがエントリー。松下の勢いが勝るのか、それとも瀬戸の調整能力の高さが上を行くのかにも注目です。瀬戸は200m個人メドレーにも出場しますが、まずは400mで好結果を出し、200mに弾みをつけたいところです。

ただ、バタフライも個人メドレーも、それぞれに絶対王者が存在します。バタフライにはハンガリーのクリストフ・ミラーク、個人メドレーにはあのマイケル・フェルプスの世界記録を打ち破ったフランスの星、レオン・マルシャンがいます。
ミラークは昨シーズンから練習を休んだり再開したりと安定しないものの、この春に出場したヨーロッパグランプリでは本多に先着する泳ぎを見せ、存在感を示しました。マルシャンはフランスの選考会で実力通りの泳ぎを披露。メインの個人メドレーはもとより、バタフライ、平泳ぎでも代表権を獲得したことで、今回のパリ2024大会の台風の目になることは間違いありません。

女子では東京2020大会2冠の大橋悠依が少しずつ調子を取り戻しつつあります。今回は200m個人メドレーのみの出場となりますが、逆に1種目に絞り集中したトレーニングが功を奏している様子。勝負強さはお墨付き。同じく200mに出場する松本信歩とともに2大会連続のメダル獲得を狙います。

400m個人メドレーは、高校生の成田実生と大学生の谷川亜華葉が元気です。記録的にはまだまだメダル争いには遠いかもしれませんが、伸びしろは計り知れません。オリンピック本番までどれだけ成長しているのかが楽しみです。

高校生は成田のほかに、村佐達也と平井瑞希のふたりが今回代表入りを果たしており、このふたりも絶好調です。
村佐は6月に出場した地元愛知県の大会で自己ベストを連発。100m自由形では、同じリレー代表に入っている柳本幸之介が持っていた日本高校記録を更新。200mでも、日本高校記録にあとわずかに迫る好記録を連発しており、パリ2024大会本番でのリレーでの活躍も期待できます。

平井も100mバタフライでは神奈川県の大会で、56秒33の自己ベストをマーク。現日本校好記録であり、日本記録でもある池江璃花子の56秒08に迫る素晴らしい記録でした。その2週間前の大会でも57秒0台の記録で泳いでおり、高いレベルで安定した泳ぎを続けています。3月の国際大会代表選手選考会で初めて57秒を切ってからたった3カ月で1秒近くも記録を縮める急成長ぶり。パリ2024大会本番までの残り少ない期間でも、十分に一気に記録を伸ばす可能性もあり、爆発力に期待が高まる選手です。

ベテランと若手、冷静さと情熱。このふたつが合わさり、相乗効果を生み出してくれる。そんな期待感を持たせてくれるのが、今回の競泳日本代表チーム“トビウオジャパン”です。メダル獲得のみならず、今後につながる若手選手たちのフレッシュで思い切ったレースに期待です。


参考情報INFORMATION

競技初回実施大会 アテネ1896大会
TEAM JAPAN初出場大会 アントワープ1920大会
競技別累計メダル数
  • 金24
  • 銀27
  • 銅32

2024年1月1日時点

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