写真:青木紘二/アフロスポーツ
フィギュアスケートが正式競技・種別として初めて導入されたのは、ロンドン1908大会(夏季)でした。夏季大会では、アントワープ1920大会でも実施され、その後、第1回冬季オリンピックが1924年にシャモニー・モンブランで開催されることにより、冬季大会の競技となりました。この競技は「男子シングル」「女子シングル」「ペア」「アイスダンス」の4つの種目に分かれており、選手は指定された時間内で「ショートプログラム(SP)」および「フリースケーティング」(アイスダンスは「リズム・ダンス」「フリー・ダンス」)を音楽に合わせて演技します。審査員によって採点された得点に基づいて順位が決まります。さらに、ソチ2014冬季大会からは「団体」も新たな種目として実施されています。
男女のシングル種目では、ショートプログラム(SP)とフリースケーティングの総合得点が競われます。SPの上位24人がフリースケーティングに進出します。演技の時間制限は、SPが2分40秒±10秒、フリーが4分±10秒です。SPとフリーの得点は、技術点、演技構成点、および減点によって計算されます。技術点は基礎点と出来栄え点(GOE)の2つの要素から構成され、演技構成点は構成、演技、技術の3項目で評価されます。転倒や演技中断、演技時間の過不足などは減点の対象となります。ジャンプは特に注目され、6つの異なる種類が存在します。
アクセル
アクセルは、左足外側のエッジを使って前向きに踏み切り、後ろ向きで着氷します。このジャンプは唯一前向きに踏み切るため、他のジャンプよりも半回転多く、トリプル(3回転)アクセルなら3回転半回転します。最も難しいジャンプであり、その特徴は踏み切りが他の5種類のジャンプと異なるため、見分けやすさがあります。
ルッツ
ルッツは後ろ向きに入り、左足外側(小指側)のエッジに乗ってから右足のトウをついて踏み切ります。このジャンプは助走のカーブとジャンプを跳ぶ方向が反対のため難しいとされています。フリップとは異なり、軸足(左足)の「外側」のエッジに乗るところがポイントであり、ルッツは助走が長い点が特徴です。
フリップ
フリップは後ろ向きに入り、左足内側(親指側)のエッジに乗ってから右足のトウをついて踏み切ります。フリップとルッツでは踏み切る足は同じですが、フリップは軸足(左足)の「内側」のエッジに乗ります。したがって、跳ぶ直前に振り返る選手が多いのが特徴であり、トウループとの違いは、トウをつくのが右足であることです。
ループ
ループは右足外側(小指側)のエッジで滑りながら、左足を前に出して踏み切ります。ループを見分けるポイントは、踏み切る前に腰かけるような姿勢になります。連続ジャンプの2つ目としてトウループに次いでよく跳ばれるジャンプで、トウループに比べて最初のジャンプで着氷した右足のみで踏み切るため難易度が高くなります。
サルコウ
サルコウは左足内側(親指側)のエッジで滑りながら、右足を振り上げる勢いを使って跳び上がります。見分けるポイントは、踏み切る前に、踏み切る左足と振り上げようとしている右足が「ハ」の字のかたちになります。
トウループ
トウループは右足外側(小指側)のエッジで滑りながら、左足のトウをついて右足で踏み切って跳び上がります。フリップとの違いは、トウをつくのが左足であること(フリップは右足のトウをつく)。最も易しいジャンプとされ、連続ジャンプの2つ目としてもっともよく跳ばれるジャンプの一つでもあります。
ペア
ショートプログラム(SP)とフリースケーティングの総合得点で競い、SPの上位16組がフリースケーティングに進出します。演技時間はシングルと同様に、SPが2分40秒±10秒、フリーが4分±10秒です。シングルの技術を基礎としつつ、ペアには独自の要素が加わります。例えば、男性が腕をまっすぐ伸ばして女性を頭上に持ち上げる「リフト」や、男性に片手を引っ張られた女性が体を横にまっすぐ伸ばした状態で円を描きながら滑る「デススパイラル」、女性がジャンプを跳ぶタイミングに合わせて男性がパートナーの腰を支えて投げるようにテイクオフする「スロージャンプ」などが挙げられます。
アイスダンス
リズム・ダンスとフリーダンスの総合得点で競い、リズム・ダンスの上位20組がフリーダンスに進出します。演技時間はリズム・ダンスが2分50秒±10秒、フリーダンスが4分±10秒です。アイスダンスは氷上の社交ダンスとも呼ばれ、1回転半以上のジャンプなどは禁止され、ステップの配点などに重点が置かれます。ジャンプがない分、滑りの技術を強調するための要素が細かく設定されていますが、その中でも特徴的なのが「ダンスリフト」です。ペアのリフトとは異なり、「男性の頭の位置よりも上にパートナーを持ち上げること」や「男性の肩や背中に女性が座ったり、立ったりすること」は禁じられています。
ソチ2014冬季大会から追加された「団体」ですが、オリンピックにおいては男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンスの4種目中3種目以上の出場枠を持つNOCの中で、国際スケート連盟の各種目ランキング合計上位10チームが出場できます。1チーム最大10人で編成でき、まずは予選でSP(アイスダンスはリズム・ダンス)を4種目演技し、各種目に1位10点~10位1点が与えられ、4種目合計点の上位5チームがフリーに進みます。フリーの得点も同様に1位10点~5位6点。4種目の合計得点の多いチーム順の成績となり、同点の場合は種目ごとの内容などを比較して順位を決めます。なお、フリーでは2種目まで選手を交代することが可能です。
日本はこれまでに金メダル3個を含む11個のメダルを獲得しています。初めての金メダルはトリノ2006冬季大会の女子シングルで荒川静香選手が獲得。その後羽生結弦選手がソチ2014冬季大会と平昌2018大会の2大会連続で金メダルを獲得しています。直近の北京2022冬季大会では男子シングルで鍵山優真選手が銀メダル、宇野昌磨選手が銅メダル、女子シングルで坂本花織選手が銅メダルを獲得したほか、団体で初となる銀メダルを獲得しました。
競技初回実施大会 | シャモニー・モンブラン1924冬季大会 ※ロンドン1908大会(夏季) |
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TEAM JAPAN初出場大会 | レークプラシッド1932冬季大会 |
競技別累計メダル数 |
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2024年7月31日時点
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