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2010/06/04

平成22年度のナショナルコーチアカデミーが開講

「平成22年度ナショナルコーチアカデミー」が531日、開講しました。各競技団体から24名の指導者らが参加。毎週34日の8週間にわたる充実した講義のスタートに、それぞれ引き締まった表情を見せていました。

Kaikou_2 指導者らは引き締まった表情で開講式に参加(Photoアフロスポーツ)

国際競技大会で活躍できる選手を育成・指導する真のエリートコーチやスタッフの養成を行うナショナルコーチアカデミーは、平成129月に策定された「スポーツ振興基本計画」にもとづいて、平成15年からのトライアルを経て、平成2010月から正規コースがスタートしました。コンセプトは、日本の代表としての品性・資質を兼ね備えた真のトップコーチを育成する『エリート』、職業観・倫理観・社会的責任においてプロとしての意識醸成を図る『プロフェッショナル』、国際基準を踏まえた戦略・強化指導を行えるコーチを育成する『インターナショナル』、講師及び受講者間等双方による情報交換を行う『インタラクティブ』、競技の枠を超えた交流・連携を図る『チームジャパン』の5つです。

開講にあたり竹田恆和JOC会長は「エリートコーチとしての誇りと自覚を持っていただき、他競技のコーチと意見交換をすることで資質を高め、チームジャパンの国際競技力向上に努めていただきたいと思います。ロンドンオリンピックで金メダル獲得数5位を目指すためには、皆さんの力が必要です」とあいさつ。文部科学省の芦立訓スポーツ・青少年局競技スポーツ課長は「日本のスポーツ界がさらに飛躍するためには、皆さんのお力を社会に与えていただくことが大切です。大学院レベルのプログラムを提供しているこのナショナルコーチアカデミーはその核になるものです」と話し、指導者らを激励しました。

Takeda_2あいさつする竹田会長(Photoアフロスポーツ)

Ashidate_2 芦立課長は指導者らを激励(Photoアフロスポーツ)

また田嶋幸三ナショナルコーチアカデミーワーキング委員長が講義内容についてのガイダンスを行いました。同委員長は「指導者のレベルアップなくしてはチーム、個人のレベルアップはない」と話し、コーチ自身が意識を高める必要性を説明。講義の際には、講師から受講者への一方的な講義ではなく、双方の情報や思いを伝え合い充実した時間にするために「オープンマインド」を呼びかけました。そして『学ぶことをやめたら教えることをやめなければならない』というサッカーフランス元代表監督のロジェ・ルメール氏の言葉を紹介して締めくくりました。

Tajima_3ガイダンスでは田嶋ワーキング委員長がオープンマインドを呼びかけた(Photoアフロスポーツ)

続いて、上村春樹JOC選手強化本部長による「コーチング論」の講義が行われました。上村選手強化本部長は、身長170cmと、柔道無差別級としては小柄だった選手時代について語り、「先入観をひっくり返すことが大切。いま一度、常識や慣例を疑ってみてほしい。今やっていることが正しいかを考え、周りの意見を聞く心が重要」と説明しました。

Uemura_2上村選手強化本部長は自らの体験をもとにコーチング論を話した(Photoアフロスポーツ)

また指導者との出会いについても、自身のエピソードをもとに語りました。まず基礎を固めるべき高校時代には、「畳に打ちつけた音」で技の良し悪しを判断する指導者のもとで、理想的な投げ込みを身に付けることが出来たと言います。また大学のデビュー初戦で敗退したときに「人並み(の練習)だったら人並みにしかなれない。強くなりたかったら人の23倍練習しろ」という言葉を掛けられたことで、他の選手より毎日20分多く練習する練習計画を立てたそうです。さらに世界トップを目指す時期には、「柔道を外から見ろ」との言葉で、横に投げる新たな戦法を思いついたことを話され、「人生のそれぞれの時期に合った指導者との出会いがなかったら、今の自分は無かった」と振り返りました。

同アカデミーは、924日までの8週間にわたり、毎週34日の合宿形式で開催。各専門家による「プレゼンテーション論」「マネジメント論」「スポーツ医・科学サポート論」「スポーツ情報戦略」などの講義が実施され、最終週には口頭試験・筆記試験・プレゼンテーション試験が行われます。