第2回 オリンピック憲章を読んでみよう I
オリンピック・ムーブメントとオリンピック競技大会
- 3つ目の根本原則には、「オリンピック・ムーブメント」という新しい言葉が出てくるよ。オリンピック・ムーブメントとは、オリンピズムという理想をかなえるために、IOC(国際オリンピック委員会)をはじめとする組織や人々が行うさまざまな活動のことなんだ。根本原則3では、それがどういうものかを説明している。ちょっと長くて難しいけど、読んでみるよ。
- 3 オリンピック・ムーブメントは、オリンピズムの諸価値に依って生きようとする全ての個人や団体による、IOCの最高権威のもとで行われる、計画され組織された普遍的かつ恒久的な活動である。それは五大陸にまたがるものである。またそれは世界中の競技者を一堂に集めて開催される偉大なスポーツの祭典、オリンピック競技大会で頂点に達する。そのシンボルは、互いに交わる五輪である。
- だめだ、またよくわからない……。
- これは大人でも理解するのが難しいくらいさ。まぁ、ここで言われている大事なことは、オリンピック・ムーブメントには世界中の人が参加できますよ、ということだ。それと、オリンピック・ムーブメントの中での一番大きな活動が、お前とお父さんが大好きな、オリンピック競技大会だということだよ。
- それってつまり、オリンピックは、たくさんあるオリンピック・ムーブメントの中のひとつっていうこと?
- そうなんだ。オリンピックというと、4年に一度開催される、世界最大のスポーツ競技大会として注目されることがほとんどだけど、実は、そのおおもとには、オリンピズムという大きな理想と、オリンピック・ムーブメントと呼ばれるさまざまな活動がある。そのことがここに書いてあるんだ。
- 理想と、そのための活動と、一番大きな活動、か。3つあるなんてややこしいわ。
- でも、その3つの関係を知ることが、オリンピックを理解する上ではとても大事なんだよ。
- オリンピズム、オリンピック・ムーブメント、オリンピック競技大会……。うん、だんだんわかってきたわ。
- そこまでわかれば、オリンピズムの根本原則はほとんど理解できたも同然だ。残りの4つの原則は、だいたいが最初の3つに関係することや追加事項なんだ。読んでみるよ。
-
4 スポーツを行うことは人権の一つである。すべての個人はいかなる種類の差別もなく、オリンピック精神によりスポーツを行う機会を与えられなければならず、それには、友情、連帯そしてフェアプレーの精神に基づく相互理解が求められる。
5 スポーツが社会の枠組みの中で行われることを踏まえ、オリンピック・ムーブメントのスポーツ組織は、自律の権利と義務を有する。その自律には、スポーツの規則を設け、それを管理すること、また組織の構成と統治を決定し、いかなる外部の影響も受けることなく選挙を実施する権利、さらに良好な統治原則の適用を保証する責任が含まれる。
6 人権、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別はいかなる形であれオリンピック・ムーブメントに属する事とは相容れない。
7 オリンピック・ムーブメントに属するためには、オリンピック憲章の遵守及びIOCの承認が必要である。 - さぁ、今日はオリンピズムの一番もとになる考えを勉強したけど、どうだったかな?
- うーん、難しかったけど、オリンピズムは、人間にとっても社会にとってもよいことを目指してるってことはよくわかったわ。
- そうだね。そして、そこにスポーツを取り入れようというのが、オリンピズムの特徴だね。さぁ、次回は、根本原則以外にオリンピック憲章にはどんなことが書いてあるかを勉強するとしよう。根本原則の内容は、次回読むところにも関係してくるから、ちゃんと復習しておくんだよ。
- わかったわ。私も、水泳を習いながら学校の勉強もがんばる、バランスのとれた人間を目指さなくっちゃ。もちろん、オリンピック憲章の勉強もがんばるよ。
- いい心がけだ(笑)。
- (つづく・・・次回はさらにオリンピック憲章を読みすすめます)