第2回 オリンピック憲章を読んでみよう I
前回、オリンピックは「オリンピズム」という考えに基づいた競技大会であることを学んだ女の子。今回は、その「オリンピズム」とはどういうものか、お父さんと一緒に勉強します。
監修:NPO法人 日本オリンピック・アカデミー
オリンピックは人生テツガク?
とある日曜日、女の子は早起きをして、お父さんを待っています。
- ごめんごめん、待たせちゃったね。
- お父さん遅いよー。今日はオリンピズムの話をするって、前から約束していたのに。寝坊しすぎ!
- おやおや、いつも朝寝坊してお母さんにしかられるお前が、めずらしいじゃないか。そんなに楽しみにしていたのかい?
- そうよ。私、オリンピックのことをたくさん勉強して、オリンピック博士になるんだから!
- それは頼もしいな。じゃぁ、まずは前回の復習も兼ねて質問するよ。オリンピズムとは、どういう考えのことだったかな?
- えーっと、オリンピズムは、フランスのクーベルタン男爵が考えたことで、スポーツをしながら平和な世界を作りましょうってこと・・・・・・だったっけ?
- うん、だいたい正解だけど、ちょっと足りないかな。オリンピズムは、スポーツを通じて心と体をきたえよう、肌の色や話す言葉、住んでいる国の違いに関係なく友好を深め、平和な世界を築いていこう、というクーベルタンの考えだね。じゃぁ、オリンピズムとはどういうものかが書いてある文章は、なんという名前かな?
- オリンピック憲章!
- その通り。今日は、このオリンピック憲章を、実際に読んでみるとしよう。
- わぁ、それがオリンピック憲章なのね。学校の教科書みたい。
- もともとはフランス語と英語で書かれたもので、お父さんが持っているのは日本語版だよ。全部で100ページ近くあるんだ。
- 中には何が書いてあるの? 早く読もうよ。
- まぁまぁ、そう焦らずに。オリンピック憲章は、オリンピックの憲法とも言えるものだから、本当にたくさんのことが書いてある。その中から、今日は最初に書いてある「オリンピズムの根本原則」というページを読んでみることにしよう。“根本原則”ってどういうものか、わかるかな?
- うーん、すごく大事な決まりってこと?
- そうだね。根本原則とは、一番もとになる考え、ということだ。だから、オリンピズムを知りたいと思ったら、まずここを理解しておかないといけないんだよ。
- わかった。私しっかり勉強する。
- 「オリンピズムの根本原則」には、7つの原則が書かれてある。まず1つ目の原則を読んでみよう。
- 1 オリンピズムは人生哲学であり、肉体と意志と知性の資質を高めて融合させた、均衡のとれた総体としての人間を目指すものである。スポーツを文化や教育と融合させるオリンピズムが求めるものは、努力のうちに見出される喜び、よい手本となる教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重などに基づいた生き方の創造である。
- ・・・・・・お父さん、私、全然意味がわからない!