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オリンピズムってなんだろう

第2回 オリンピック憲章を読んでみよう I

オリンピズムが目指す理想の人間と社会

そうだね、これはちょっと難しいね。お父さんがわかりやすく解説していこう。根本原則1には、まず、オリンピズムが目指す人間の理想像が書いてある。それは、体と、心と、頭がすべて優れていて、しかも、そのバランスがとれている人だと言っているんだ。
バランスがとれているってことは、運動ができるだけとか、すごく頭がいいだけとかじゃだめってこと?
その通り。運動ができて、強い心を持っていて、しかもすばらしい知性のある人を目指すのがオリンピズムなんだよ。たとえば、オリンピックで、メダルを獲った選手たちが「勝ちたい気持ちが強かったから勝つことができたと思う」と言っていただろう? 技が優れているだけでなく、自分を信じる強い心を持っていたからこそ、彼らは栄光にかがやくことができたんだ。
対戦相手をたくさん研究したから勝ったっていう競技もあったよ。
そうだね。頭を使って情報を分析したり、対策を考えたりすることも、すごく大事だ。
運動ができるだけじゃなく、強い心を持った頭のいい人を目指しましょうってことね。そんな人、本当にいたらあこがれちゃうな。
お父さんも、そんな人にはあこがれるさ。
次に、根本原則1では、そんな理想の人間を目指す方法について触れているんだ。近代オリンピックを復活させたクーベルタンは、スポーツには人間の体・心・頭のすべてを高める力があると考えていた。だから、スポーツは単なる遊びではなく、文化や教育と同じように、優れた人間を育てることに役立つ。つまり、スポーツを文化や教育に加えて活かすことが、理想の人間を目指す方法だと言っているんだ。
そして、「一生懸命がんばることの喜びを知ること」、「お手本にしたいと思うような優れた人に出会うこと」、「みんなが大事にしている決まりを守ること」を基本とする生き方が理想だと言っているんだよ。
がんばることの喜び・・・・・お手本にしたいと思う人に出会う・・・・・・。お父さん、オリンピズムって、すごく意味が深いね。
そうだろう?(笑) オリンピズムは、人間のあり方・生き方についての大きな理想なんだ。でも、人間の理想だけじゃなく、社会の理想についても語っている。それが根本原則2に書いてあるんだ。読んでみるよ。
2 オリンピズムの目標は、スポーツを人間の調和のとれた発達に役立てることにある。その目的は、人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進することにある。
お父さん、「人間のそんげんほじ」って?
人としての尊さを大事にすることだね。つまり、オリンピズムでは、調和のとれた優れた人間を育てることで、いじめや差別や暴力のない、みんな一人ひとりを大切にする平和な社会を目指します、と言っているんだ。