第1回 オリンピック憲章とオリンピック
オリンピズムとオリンピック憲章
- IOCは、オリンピズムを世界に広めるための活動の最高機関なんだ。第1回アテネオリンピックが開催される2年前、1894年にできた集まりなんだよ。そのIOCによって、最初のオリンピック憲章が定められたのが1908年。それ以降、オリンピック憲章は時代にあわせて何度も改訂されて、今日に至っているんだ。ちなみに、スイスのローザンヌにあるオリンピック・ミュージアムには、最初のオリンピック憲章から最新のものまで、すべてのオリンピック憲章が残っているんだよ。
- えっ? 改訂って、書き直すことでしょう? オリンピックの理念は、クーベルタンさんが考えたものから変わっているってこと?
- 大事な理念の部分は変わっていないんだ。ただ、最初のオリンピック憲章が書かれてから、もう100年にもなる。時代が変わるにしたがって、変えたり、書き加えたりした方がいいという意見が出てくる部分も、やっぱりあるんだ。そういう部分については、IOCの総会で話し合って、改訂が行われているんだよ。でもね、これは、近代オリンピックを始めたクーベルタンの考えに反することではまったくないんだ。クーベルタン自身が、オリンピックを意義あるものとして続けていくためには、新しい時代において絶えずオリンピズムを問い直していくことが大切だ、といっていたんだからね。
- クーベルタンさんは、未来のことまで考えるすごい人だったのね。
- そうともいえるね。とにかく彼は、スポーツを通して調和のとれた人間を育てよう、世界平和を広めよう、ととなえた、とても志の高い人だったんだ。そういう理念から出発したオリンピックは、単なるメダル争いの場ではない、もっと大きな目的である“オリンピズム”という考え方を、世界に広めるためのものなんだよ。
- 私、オリンピックって、いろんなスポーツ選手が集まって、その競技で誰が世界一か決める大会だと思ってたけど、それだけじゃないのね。なんだか、オリンピックのことをもっと知りたくなってきた。そのオリンピック憲章って、私にも読めるかな?
- うーん、なにせ憲法みたいなものだから、少し難しいかもしれないな。よし、それなら、お父さんが今度、その内容をわかりやすく教えてあげよう。
- やったー! お父さん、よろしくね。そういえば、お父さんはどうしてそんなにオリンピックについて詳しいの?
- それはね、お父さんがおまえと同じくらいの年のころ、テレビでオリンピックを見て、すごく感動したんだ。そのころは友達と選手やオリンピックの話で盛り上がったり、学校でも先生がオリンピックについていろいろと教えてくれたのさ。・・・・・・まぁ、これも話すと長くなるから、また今度にしよう。おまえもテレビはほどほどにして、早く宿題をやってしまいなさい。
- はーい。
- (つづく・・・次回は実際にオリンピック憲章を読みます)