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オリンピズムってなんだろう

第5回 時代とともに変わるオリンピック憲章

アマチュア選手、プロ選手

オリンピック憲章の中で、近年になって変わった主なもののひとつは、選手の参加資格についての決まりなんだ。
参加資格? いまはどんな決まりになっているの?
いまのオリンピック憲章では、フェアプレーと非暴力を約束すること、アンチ・ドーピングの決まりを守ること、という2点が主で、細かい基準は各競技連盟が独自に定めているんだ。ところが、昔のオリンピック憲章では、参加はアマチュア選手に限るという決まりがあって、プロ選手はオリンピックには参加できなかったんだ。
えーっ、そうだったの?! どうしてプロ選手はだめだったの?
もともとオリンピックには、「参加する栄誉が一番の報酬だ」という考えがあって、スポーツをしてお金を稼いでいる人は参加にふさわしくないとされていたんだ。
そうなんだ……。でも、いまオリンピックに出ているサッカーやテニスの選手はほとんどがプロの選手だよね? 以前は出られなかったってこと?
そうだよ。でも、そうやって時代が移るにつれて、プロ選手が活躍するスポーツがどんどん盛んになってきた。オリンピックの観客も、そういう一流選手のプレーを見たいし、IOCも、トップレベルのアスリートたちを世界の人たちに見てほしい。そういうわけで、オリンピック憲章もついに方向転換することになって、1974年に「アマチュア」という言葉が削除されたんだ。
ていうことは……プロじゃない選手しか出られない時代がずいぶん長く続いていたのね。
そうなんだよ。そもそも、オリンピック憲章と参加資格問題というのはとても関係が深くてね。クーベルタンがIOCにいたころ、参加はアマチュア選手に限るとしたんだけども、どういう選手がアマチュアか、という定義が競技ごとにばらばらだったんだ。
それで、やっぱり統一した決まりを作らないと都合が悪いということで、1925年にアマチュア規定という共通のルールが作られた。それが、根本原則と並ぶオリンピック憲章のルーツなんだ。
そういうことなんだ。じゃぁ、プロ選手も参加できるようにしたことは、オリンピック憲章にとってはすごく大きなチェンジだったのね。
そうなんだよ。その大転換をしてから、IOCは各競技連盟に積極的にプロ選手の参加を呼びかけたんだ。
最初にプロ選手が参加した大会はいつだったの?
1988年ソウル大会だよ。女子テニスで、西ドイツのシュテフィ・グラフ選手が金メダルを獲ったんだ。
でも、プロ選手の参加がもっとも注目されたのは、1992年バルセロナ大会の男子バスケットボールだね。当時のスーパースターだったマジック・ジョンソン率いるアメリカの“ドリーム・チーム”が圧倒的な強さで勝ち進んで、金メダルを獲得。世界中の人たちが、一流のプレーを楽しんだんだ。
私も、自分が知っているプロのサッカー選手がオリンピックで活躍するのはうれしいから、プロ選手が出られるようになって、やっぱりよかったと思うな。