日本オリンピック委員会(JOC)は2月11日、12日の2日間、北京2022冬季オリンピック1周年記念「TEAM JAPAN WINTER FEST」を三井ショッピングパーク アーバンドック ららぽーと豊洲で開催しました。
本イベントは、北京2022冬季オリンピック1周年に合わせて『TEAM JAPAN SOCIAL ACTION』の一環として実施しました。オリンピアンがオリンピック期間中に多くの方からいただいた声援に改めて感謝を伝えるとともに、今度はスポーツを通じて多くの方々と社会課題の解決に向けて考えるきっかけとしていただくもので、今回は気候変動の影響を大きく受けるウインタースポーツへの興味関心を多くの子どもたちに持っていただくことを通じて、環境の大切さに気付いていただくことを目指して開催しました。
本イベントではオリンピアンによるトークショーのほか、本物の雪にふれて遊べる雪のひろば、競技体験コーナー、北京2022冬季オリンピック報道写真展、北京2022冬季オリンピックのマスコットキャラクター「ビンドゥンドゥン」や聖火トーチと記念撮影ができ、ボブスレー、リュージュ、スケルトンに乗ることができるフォトスポットを設置。トークショーやクイズ、雪を通じて、オリンピアンと来場した方たちが交流を深めるプログラムを実施しました。
11日は上村愛子さん(スキー/フリースタイル)、久保英恵さん(アイスホッケー)、髙木菜那さん(スケート/スピードスケート)、樋口新葉選手(スケート/フィギュアスケート)が本イベントに参加。トークショーでは、北京2022冬季オリンピックのスピードスケート女子チームパシュートで銀メダルを獲得した髙木さんが「SNSなどを通じて皆さんの応援の声が届いたおかげで、私たちは無観客の中でも背中を押してもらえて戦っているんだと実感していました」と、改めて感謝の言葉を伝えました。そして、メダルの重さクイズで会場を盛り上げると、「応援の声や仲間の大切さなど、すごく濃いオリンピックになりました。金メダルをとることとはまた違った重さの大会になったので、大切にしなければいけないオリンピックになりました」と、3度出場した大会の中でも思い出深いオリンピックになったことを話しました。
フィギュアスケート団体に出場した樋口選手は「1年経つのは早いなという気持ちが大きいです」と初出場だった北京大会を思い返すと、「オリンピックの期間中は本当に充実した日々を過ごしていましたし、普段は会うことができない他競技の選手と話して刺激をもらっていたので、大会が終わった後もまた頑張りたいな、また出場したいなという気持ちになりました」と、2度目のオリンピック出場へ意欲を見せました。また、3度目のオリンピック出場だった久保さんは「私自身は北京の後に引退と公言していましたが、とにかくチームのために勝つプレーをしようと臨んだ大会でした。目標としているメダルまでは届きませんでしたが、決勝トーナメントに行けたことは良かったです」と、アイスホッケー女子で初の決勝トーナメント進出と6位入賞を果たした北京大会を笑顔で振り返りました。
一方、気候変動によるウインタースポーツへの影響について、雪を資源と捉え持続可能な循環型社会の実現に向けた活動に取り組む冬季産業再生機構の『SAVE THE SNOW PROJECTS』アンバサダーを務める上村さんは「ヨーロッパでは大会のために雪を作ったり、大会数が減ってしまっている場所が増えています。でも、日本の北の地域では今もしっかり雪が降っているので、日本で雪が降らなくなると世界中でも降らなくなるのではないか、と最近言われています」と、世界各国と日本の雪の現状を説明。そのうえで「雪が本来降る場所にずっと降り続けることが地球環境にとってもベストなこと。雪が降ることはすごく貴重なことですので、日本の雪を楽しんでもらいたいし、雪が降る今の時代を楽しんでほしいなと思います」と、呼びかけました。
トークショーの後、オリンピアンは雪のひろばで子どもたちと一緒に雪だるま作りやそり滑りなどの雪遊びをした他、「オリンピアンに挑戦」のコーナーではオリンピックやウインタースポーツ、環境問題にまつわる○×クイズ、開脚じゃんけん、アイスホッケーのシュートアウト対決で盛り上がるなど、来場した方たちとの交流を楽しみました。
5歳のお子さんと雪のひろばで雪遊びをしていた河田さんご一家は「東京に住んでいると雪が降らないので、こうして本物の雪やウインタースポーツに触れる機会はすごく良いと思いますし、子どもも楽しそうで嬉しいですね」、小学3年生のお子さんとフォトスポットのボブスレーに試乗していた楠瀬さんご一家は「実際に使用されたものを見たことがなかったですし、すごく興味深かったです。聖火トーチも意外と重たいことにビックリしましたし、ウインタースポーツに触れる良い機会になりました」と笑顔で取材に応じてくれました。ほかにも北京2022冬季オリンピックの思い出について「開会式の雪の結晶の聖火台で子ども達が合唱していた姿が印象的です」「フィギュアスケート勢の活躍に感動しました」と感想を伝えてくれました。
なお12日は、荻原次晴さん(スキー/ノルディック複合)、松田丈志さん(水泳/競泳、JOCアスリート委員長)、11日に続いて久保さん、樋口さんの4名のオリンピアンがトークショーに参加し、「オリンピアンに挑戦」のコーナーでは、鈴木寛さん(ボブスレー)、勅使川原郁恵さん(スケート/ショートトラック)も飛び入りで参加し、会場を盛り上げてくれました。
最後に、トークショー に参加したオリンピアンからイベントの感想や気候変動に対するアクションに関してメッセージをいただきました。
上村愛子さん(スキー/フリースタイル)
「都内で雪になじみのない子どもたちが雪で遊ぶ姿を見ることができて、すごく嬉しかったです。環境問題はなかなかすぐには良い方向に行かない問題だと思いますが、これからの世代の子どもたちは環境や気候変動問題への取り組みが当たり前の中で育っていくと思うので、そこは前向きにとらえています。もちろん、自分たちの世代はこれまでと同じではいけないですし、個人的にできることはまず普段の中で環境問題を頭に置きながら生活すること。自分は冬になると雪山に行きますし、雪の景色をたくさん見ていますので、SNSやいろいろな媒体で雪に対する前向きなものを発信していきたいと思います」
久保英恵さん(アイスホッケー)
「今日は久しぶりに雪で遊ぶことができました。私の幼少期はすごく雪が降っていて、雪遊びはすごく楽しみでしたし、スキーで滑ったり、雪だるまやかまくらを作っていたので、昔を思い出して夢中になりました。私たちが今の気候変動問題に対してできることは、なるべくプラスチックを使わない、エコバッグを使う、エアコンの温度設定を低くするとか、小さいことですけど、そうしたことからやっていくことが大切だと思います。そして、このことが当たり前の世界になっていけば、環境に対して良い結果が出るのではないかと思います」
髙木菜那さん(スケート/スピードスケート)
「東京で雪に触れることはなかなかない経験なので、小さいお子さんがこうして雪で遊べたことはすごく良い経験になったと思います。気候変動に対して他人事ではいけないと思いますし、自分たちが考えなければいけないことだからこそ、この世界に生きる人たちがしっかり受け止め、まず何ができるのかということを調べて取り組むことが大事なのかなと思います。今、私ができることはなるべく車を使わずに歩く。あとはエコバッグを使う、自分が食べられる分だけ頼むなど、できることは少ないですし分かっていないことも多いので、これからたくさん調べて、自分ができることに目を向けていくことがすごく大事なのかなと思います」
樋口新葉選手(スケート/フィギュアスケート)
「気候変動問題は、自分たちができることは身近なことでしかできないことが多く、すごく小さなことだと思いますが、そういうことを積み重ねていけば世界的にすごく大きなものになると思います。自分は屋内競技ですが、気温が高くなると夏にリンクを調整するのも大変で、それだけ環境負荷がかかってしまいます。これからも温暖化の問題などに対して、自分たちができる身近なことについて考えていきたいです。また、自分はずっと東京で育ってきたので雪に触れる機会もなかなかなかったですが、今日は小さい子どもたちと一緒に雪遊びができて本当に良かったなと思います」
荻原次晴さん(スキー/ノルディック複合)
「天然雪に子どもたちが夢中になっている姿を見て、東京の子供たちも雪に目を輝かせるのだなと嬉しくなりました。選手時代から日本、スキー本場のヨーロッパで雪が減っているなという印象はいつもありました。僕は環境問題について難しく考えすぎず、自宅でできることはなんだろうといつも考えていて、極力、家庭内でエアコンを使わない、物も長く大事に使うようにしています。そういうことをして雪が増えるかどうか分からないですが、必ず良いことがあるだろうと思って生活することが大切なのかなと思います。また、雪の楽しさ、雪とともにということをこれからも発信できればと思います」
松田丈志さん(水泳/競泳、JOCアスリート委員長)
「今日は本当に楽しかったですし、こうした活動をどんどんやって、オリンピアンと応援していただいている皆さんが触れ合う機会や、環境の大切さを伝え続けていくべきだなと改めて思いました。今、僕はJOCアスリート委員長もやらせていただいていますので、各NFのアスリート委員会とも連携して、引退した選手も含めてアスリートが環境問題にしっかり取り組み、SDGsにつながる活動を、今後JOCとしてもしっかりやっていきたいです」
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