日本オリンピック委員会(JOC)は7月5日、東京都内で第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)のTEAM JAPAN 結団式を、秋篠宮皇嗣同妃両殿下ご臨席の下、開催いたしました。式典には選手393名、監督・コーチ等304名のTEAM JAPAN総勢697名(7月4日時点)のうち、海外での遠征・合宿等に参加している選手らを除く約280名が出席しました。
最初に国歌斉唱が行われ、続いて主催者を代表して三屋裕子JOC副会長が登壇。「パリ2024大会のスローガンは『広く開かれた大会』です。パリ市内の遺跡や遺産を舞台とした式典や競技会場、ジェンダーバランス、既存のインフラの活用、サステナビリティの取り組みなど、工夫を凝らした取り組みは多様で環境に配慮した時代を反映しております。また、初めての一般参加型マラソンのイベントも実施されます。前回の東京2020大会では、競技成績はもちろんのこと、その勝敗に関わらず健闘をたたえ合うアスリートの姿は、多くの方々に感動とスポーツの価値を伝えてくれました。一方で、国際紛争や相次ぐ自然災害などを目にするたびに、スポーツを安全に安心して実施できる環境は決して当たり前のものではないことに気付かされます。今大会に出場されるアスリートの皆さんも、この舞台へたどり着くまでには様々な困難や試練を乗り越えてきたものと思います。今大会では、これまで培ってきた力を存分に発揮し、それぞれがご自身の夢に挑戦されることを心から願っております。そしてその活躍を通して、能登半島地震で被災された方々や、これまで震災や災害に遭われ、復旧・復興に取り組んでいらっしゃる方々に勇気や笑顔を届けられることを期待しています。スポーツの価値を高められるか否かは、スポーツに関わる私達一人ひとりの言動にかかっています。アスリート、監督、コーチ等、TEAM JAPANの皆さんは、正々堂々と全力で競技に挑むことはもちろん、それぞれが日本代表としての自覚を持ち、発言・行動をしていただきたいと思います」と挨拶しました。
次に、TEAM JAPANの尾縣貢団長をはじめ、江村美咲旗手、半井重幸旗手ら各競技の選手、監督・コーチ等を紹介。団旗授与では、秩父宮殿下よりご下賜の団旗が三屋副会長より尾縣団長へ、尾縣団長より江村旗手、半井旗手へと授与されました。
その後、秋篠宮皇嗣殿下がおことばを述べられ、TEAM JAPANを激励されました。
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本日、7月26日からフランス共和国のパリ市を中心に開催される、第33回オリンピック競技大会の結団式にあたり、参加されるTEAM JAPANの皆様とお会いできましたことを誠にうれしく思います。また、選手の皆様には、この度、日本の代表に選ばれたことを心からお祝いいたします。
この度の大会は、パリで開かれる夏季オリンピックとして3回目であり、前回の開催からちょうど100年に当たります。
今回の大会では、前回の東京オリンピックで新たに実施された、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンに加え、ブレイキンが新たな競技として採用され、全部で32競技329種目が実施されると伺っております。また、それに伴い、TEAM JAPANも、海外でのオリンピック競技大会の中で、これまでにない規模での参加になるものと承知しております。
参加される皆様には、競技の場に臨んでは、日頃の成果を存分に発揮されることを期待いたします。そして、皆様一人ひとりがスポーツを通して世界の各国・各地域から集う人々との交流を深められ、国際親善に努められることを願っております。
おわりに、皆様のご活躍をお祈りし、結団式に寄せる言葉といたします。
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次に、来賓を代表して盛山正仁文部科学大臣から祝辞が述べられ、「いよいよパリ2024大会の開幕が目前に迫ってまいりました。選手の皆さんには、日頃の練習の成果を思う存分発揮し、日本代表としての誇りと自覚を持って、ベストを尽くしていただきたいと思います。指導者やご家族、仲間の支えも力にして、アスリートとして自らの限界に挑み続け、鍛錬を重ねてこられた皆さんの勇姿は、多くの国民に夢と感動を与えることと確信しています。日本中が皆さんを応援しています。また、世界各国から様々な競技の選手が集まるこの機会に、文化や言語の違いを超えて、世界の仲間との交流を深め、スポーツを通じた国際親善に大いに貢献されるよう期待しております」と激励しました。
また、フィリップ・セトンフランス共和国駐日本国特命全権大使は「パリ2024大会の開幕まで、あと21日と迫ってまいりました。大会運営、インフラ、安全対策や交通手段の整備等を通して、約15,000人のアスリートと、約1,600万人と見込まれる観客をお迎えするための準備が整いました。パリ2024大会の組織委員会は東京2020大会の組織委員会との交流によって、多くを学ばせていただきました。厳しい環境下で行われた東京2020大会を成功させた日本と東京の関係者の皆様方のおかげで、今大会の基礎が築かれたと思っています。今大会は、確たる大きな志とビジョンを持つものとなります。それはスポーツの卓越性やオリンピックの普遍的な価値観のみならず、社会の共生や持続可能な環境を推進する機会となるからです。教育、インフラ、また様々な協力関係の分野で、持続性という次世代に受け継いでいかなければならないレガシーを、スポーツが創造していく大きなきっかけになると思っております」と今大会への想いとTEAM JAPANへの歓迎の言葉を述べました。
続いてTEAM JAPANから尾縣団長が代表して挨拶に立ち、「コロナ禍で開催された東京2020大会の次の大会として、平和の祭典としてのオリンピック競技大会がこの夏パリを中心に開催されることに対し、感謝と高揚感で胸が熱くなる思いです。JOCはオリンピズムが浸透している社会の実現、憧れられるアスリートの育成、そしてスポーツが社会課題解決へ貢献するための活動を行っており、このコンセプトの下、国民の期待を勇気に変え、選手・役員の皆さんとともに、TEAM JAPANとして心を一つにして大会に臨んでまいります。競技結果においては、国外開催での最多メダル獲得というより高い目標を掲げることで、私達も一歩踏み出したいと考えております。TEAM JAPANの活躍によって、日本中の方々にも一歩踏み出す勇気を届けられることを願っています。そして『スポーツの価値を守り、創り、伝える』というJOCのビジョンを体現してまいります。TEAM JAPANの皆さんは日本代表としての誇りと自覚を持ち、最高のパフォーマンスを発揮してください。オリンピックはスポーツを通じたより良い社会の実現を目指すものでもあります。世界中から集うアスリートと、より速く、より高く、より強く、共に競技し交流することで、オリンピックの価値を世界中に広めていきましょう」と語りました。
最後に、江村旗手が「私達はこれまでたくさんの方々に支えていただき、今日この日を迎えることができました。これから始まるオリンピックでは、国内のみならず世界中の方々に影響を与える立場となります。支えられて今があること、国を代表する立場であることの自覚と責任を持ち、大会に挑みます。『一歩、踏み出す勇気を。』のコンセプトに基づき、TEAM JAPAN一同、新たな挑戦に向かって全力を尽くしてまいります。また、私達をここまで成長させてくれたスポーツの価値を守り、創り、伝えていくためにも、正々堂々と最後まで戦い抜くことを誓います」
半井旗手が「私の競技であるブレイキンでは、一歩を踏み出す勇気が勝敗を分けることが多々あります。私自身、これまで多くの挑戦と失敗を繰り返し、その度に一歩を踏み出す勇気を持ち続けることで成長してきました。この精神は、私達全てのアスリートに共通するものだと思います。今回のオリンピックでは、JOCのビジョンである『スポーツの価値を守り、創り、伝える』を胸に、スポーツの力を信じて、最高のパフォーマンスを発揮することを誓います。また、夏季から冬季、オリンピックからパラリンピックへと続くこの大舞台で、TEAM JAPANの一員として自覚と誇りを持ち、全力を尽くします。ここに立てるのは、多くの方からの支えがあってこそです。家族、コーチ、友人、スポンサー、そして応援してくださる全ての方々に心から感謝しています。皆様からの応援を、一歩踏み出す勇気に変え、感謝の気持ちを込めて競技に挑みます。また、国際交流と友好親善を大切にし、日の丸を胸に、世界中の選手たちと共に素晴らしい大会を作り上げることを約束します」と、決意を述べ、結団式を終えました。
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