MENU ─ ニュース
2023.12.27 選手強化

パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会へのカウントダウン「令和5年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティング」を開催

パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会へのカウントダウン「令和5年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティング」を開催
尾縣貢JOC 専務理事兼選手強化本部長(写真:フォート・キシモト)
パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会へのカウントダウン「令和5年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティング」を開催
スポーツ庁の日比謙一郎競技スポーツ課長(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は12月11日、「令和5年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティング」を開催しました。JOCの役員、選手強化本部をはじめ各専門部会の部会員や、ナショナルコーチ・専任コーチ等、国内競技団体(NF)の関係者ら、強化に関わる約200名が参加。杭州アジア2022大会の副団長によるパネルディスカッションのほか、パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会に向けた情報共有、JOC選手強化中長期戦略プロジェクトに関する説明などが行われました。

 開会に先立ち、主催者を代表して尾縣貢JOC 専務理事兼選手強化本部長が挨拶。今年度の振り返りとして、FISUワールドユニバーシティゲームズ(2021/成都)、第2回東アジアユース競技大会(2023/ウランバートル)、第19回アジア競技大会(2022/杭州)でのTEAM JAPAN選手団の健闘を称えるとともに、「憧れられるアスリートの育成、その活躍をしっかりと支え、素晴らしい社会をつくる。そういった礎にしてまいりたいと思っております。本日は皆さんとしっかりと情報共有、考える場にして、このスポーツ界の明日、そしてもっと先を考えてまいりたいと思います」と決意を語りました。

 また、来賓としてスポーツ庁の日比謙一郎競技スポーツ課長が挨拶し、アジア競技大会等における選手団の活躍を称賛しました。また、来年度の競技力向上事業の予算案、今後も持続可能な国際競技力向上プランの策定について説明。そして、「夏冬問わず、TEAM JAPANの皆様がオリンピックを始めとする国際競技大会等において最高のパフォーマンスが発揮できるように、競技団体の皆様をこれからも全力でサポートすることをお伝えします」と述べました。

パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会へのカウントダウン「令和5年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティング」を開催
水鳥寿思選手強化中長期戦略プロジェクトリーダー(上)谷本歩実氏(下)(写真:フォート・キシモト)
パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会へのカウントダウン「令和5年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティング」を開催
井上康生氏(写真:フォート・キシモト)

■パネルディスカッション(成都・杭州での取り組み)~杭州アジア2022副団長による対談~
 続いて、第19回アジア競技大会で副団長を努めた水鳥寿思氏、谷本歩実氏、井上康生氏の3名が登壇し、パネルディスカッションが行われました。アジア競技大会を始めとする直近の大会で見えた課題や評価できる点、今後の目標について3名が率直な意見を交換。

 水鳥氏は「我々がオリンピックの舞台で何をすべきか、どういう行動を取るべきかということは、3つのオリンピックバリュー(卓越性:Excellence、友愛:Friendship、尊重:Respect)に集約されていると思います。ユニバーシティゲームズやアジア競技大会でも、自分が負けた後でも他競技の会場で精一杯応援している選手たちがいたり、たくさんの選手が外国の選手と交流をしたりしていました。このような競技大会を通じて3つのバリューを体現することが、オリンピックやスポーツに求められているもの、非常に大きな価値であると思います」と評価しました。

 谷本氏は「今回のアジア競技大会では、ウェルフェアオフィサー(カウンセリング・メンタルトレーニング相談員)に選手団の中に入ってサポートしていただきました。選手はもちろんですが、コーチの方も今後どうしたらいいかという悩みや相談をお持ちだと思いますので、パリ2024大会でも心のコンディショニングというところをサポートしていきたいと思います」と振り返りました。

 井上氏は「今回のアジア競技大会全体を総括すると、デジタルを活用した効率的な運用は素晴らしかったと思います。2026年、愛知・名古屋で行われるアジア競技大会は、日本のオリジナルというものを持って形作りをしていきたいです。また課題も残りましたので、来年のパリ2024大会に向けて、事前により細かなところを準備し、一層のデジタルを使用した効率的なインフォーメーションを選手や関係者に届けたいと思います」と今後の展望について語りました。

 参加コーチからは「先に選手村に入った別競技のスタッフから、その場の情報提供をいただきとても有り難かった。今後は事前の準備についても、分村が同じだったら同じチームとして事前共有してもよかったかもしれない」「今回のアジア競技大会はアウェーで、応援されていないような気持ちにもなりましたが、今度私たちがホスト国となった際は、そのサポートやおもてなしをするべきだと思いました」など、活発で忌憚のない意見交換が行われました。

パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会へのカウントダウン「令和5年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティング」を開催
JOC事務局の小林強化部長代理(写真:フォート・キシモト)

■パリ2024、ミラノ・コルティナ2026対策プロジェクト/アンチ・ドーピング専門部会
 次に、パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会に向けてJOC事務局の小林強化部長代理が現時点の準備体制、今後の方向性について報告。パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会について、アスリートやNFのニーズに応じた大会準備とサポート体制を議論していることが紹介されました。

 続いて、JOCアンチ・ドーピング専門部会から、古谷利彦部会長、浅川伸部門員・日本アンチ・ドーピング機構専務理事が登壇。競技団体やコーチに向けて、「選手の未来と可能性を守るために、選手の行動に働きかけを」と呼びかけました。

パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会へのカウントダウン「令和5年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティング」を開催
土肥美智子JOC情報医科学専門部会長(写真:フォート・キシモト)
パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会へのカウントダウン「令和5年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティング」を開催
中竹竜二氏(上)皆川賢太郎氏(下)(写真:フォート・キシモト)

■情報・医・科学専門部会~杭州アジア2022の考察から見るパリ2024、ミラノ・コルティナ2026へ向けた取り組み~
 休憩を挟み、「情報・医・科学専門部会~杭州アジア2022の考察から見るパリ2024、ミラノ・コルティナ2026へ向けた取り組み~」が行われました。開催に先立ち、土肥美智子JOC情報医科学専門部会長が、「アスリートに心身ともに最高のパフォーマンスを発揮してもらうことを目標として、今までもサポートを行ってまいりました。ただ大会ごとに色々な課題が出てきますので、それを省みて改善していきたいと思います。またどこの国、地域に行くのかということも重要で、東京2020大会、北京2022冬季大会はパンデミックという状況の中で開催されました。医科学サポートも時代とともに変わっていきます。そのような観点から、その時代に合ったサポートをどのようにしていくべきかを健闘しながら、今後もアスリートのサポートをしていきたいと思っております」とコメント。その後、情報医科学専門部会から、杭州アジア2022大会の医務報告、総括と今後に向けての計画、メディカルチェックやワクチン接種、アンチ・ドーピングの方針について共有されました。併せて、ウェルフェアオフィサーの活動報告、日本人アスリートに適したメンタルヘルスアセスメントツールの構築について説明が行われました。

 杉田正明JOC情報医科学専門副部会長からは、パリ2024大会に向けたチーム作りやサポート体制の基礎的資料として、杭州アジア競技大会に関するアンケート結果が共有されました。

■JOC選手強化中長期戦略プロジェクトについて
 次に「JOC選手強化中長期戦略プロジェクト」について、「憧れられるアスリート」を継続的に育成するために、JOC選手強化本部としての目標の方向性や目指す姿、戦略の柱について、水鳥寿思選手強化中長期戦略プロジェクトリーダー、井上康生ハイパフォーマンスマネージャー、中竹竜二サービスマネージャー、皆川賢太郎サービスマネージャーが登壇。現在実施している3つのワーキング(アスリート、指導者、データ&テクノロジー)における施策について、それぞれ説明しました。

 まずアスリートワーキングについて、担当の水鳥氏は「アスリートが主体的に学び、交流できるよう、アスリートアカデミーというオンラインを中心とした学びの場を提供してまいりました。その対象はこれまでオリンピック強化指定選手のみでしたが、より早期からこのような学びの機会を提供していきたいという想いから、今年度から指定しているオリンピックネクスト強化指定選手たちにも参加してもらい、非常に好評をいただきました。来年度に関しては、このような取り組みの細部をもっとブラッシュアップしていきたいと思います」と語りました。

 続いて、井上氏、中竹氏が担当する指導者ワーキングについて解説。井上氏は「現在は、昨年度からスタートした新役職制度や個人面談、カテゴリーごとにワークショップ・研修等を実施しているところです。また来年度については、フィードバック制度やサポートセンターの設置、メンター制度などを検討しています。指導支援においては、『対話の共創』というスローガンを掲げ、今後も多くの皆さんとコミュニケーションを取りながら、良いものを作っていけるように努力していきたいです」とコメント。中竹氏は、本日多く集まったハイパフォーマンスディレクターやハイパフォーマンスアシスタントディレクターに向け、具体的な役職の役割と責任などについて解説しながら、「普段、指導者たちは競技の中で孤独を感じたり、葛藤を抱えていたりするかもしれません。他の指導者と、自分の競技ではないところで繋がって、課題や悩みを打ち明けられる居場所や一体感を作っていきたいと思います。おそらく小さな一歩かもしれませんが、ウェルビーイング(やりがい、生きがいの向上)に繋がるのではないかと思います」と呼びかけました。

 最後に、データ&テクノロジーワーキングについて担当する皆川氏が登壇。選手・指導者等のパーソナルファイルのデータベース化についてや、選手強化に関するデジタルプラットフォームの推進などについて説明。「今来ていただいている指導者の皆さん、それからアスリートの皆さん、それからJOCを取り巻く多くの方々の個人情報、NF事務担当の皆さんとの関係性を強化し、効率化していきます。最先端IoTを活用して、評価、育成の効率化、競技力向上に向け、データを管理していきたいと思います」と構想を語りました。

パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会へのカウントダウン「令和5年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティング」を開催
全日本柔道連盟の廣川彰信さん(写真:フォート・キシモト)
パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会へのカウントダウン「令和5年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティング」を開催
伊東秀仁JOC選手強化副本部長(写真:フォート・キシモト)

■NTC事業紹介・令和4年度JOCナショナルコーチアカデミー修了式
 服部道子ナショナルトレーニングセンター専門部会副部会長が登壇し、パリ2024大会直前期のハイパフォーマンススポーツセンター利用制限について説明。また「アスナビ」などのJOCキャリアアカデミー事業について活用を呼びかけました。続いて「令和4年度JOCナショナルコーチアカデミー修了式」が行われ、令和4年度の修了者32名を代表して全日本柔道連盟の廣川彰信さんに、尾縣JOC 専務理事兼選手強化本部長から修了証が贈られました。廣川さんは、「私はこの学びの場で、様々な方々との出会いに感謝しています。この出会いこそが、スポーツがもたらしてくれる素晴らしい価値だと思います。スポーツにおいて、我々は勝つことが目標ではありますが、選手のパフォーマンス向上や人間としての成長にこれからも携わり続け、そして成果を出していきたいと思います」と抱負を語りました。

■クロージングセッション
 最後に、クロージングセッションとして伊東秀仁JOC選手強化副本部長が閉会の挨拶に立ち、パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会、愛知・名古屋2026アジア競技大会に向け、「今後も引き続きNFと一体となり、それぞれが持つ役割を果たし、相互に連携し、スポーツ界全体でスポーツの価値を守り、作り、伝えていくというビジョンにご賛同いただき、一致団結して歩んでいければと思います」と述べ、今年度のコーチ会議を締めくくりました。

ページをシェア

関連リンク


CATEGORIES & TAGS


選手強化 の最新ニュース

    最新ニュース一覧