日本オリンピック委員会(JOC)は10月27日、新たに「TEAM JAPAN」ブランドを発表しました。
「TEAM JAPAN」ブランドは、本年8月に公表した、JOCとしてスポーツの本質的な価値を広く発信し、より良い社会づくりに貢献していくという、JOCが長期的に追い求める“ありたい姿”を示す「JOC Vision 2064」に基づき、これまで以上に競技団体をはじめとする多くのステークホルダーとともに、スポーツの本質的な価値を広く発信するために構築されました。
発表会見でははじめに、海外出張中の山下泰裕JOC会長がビデオメッセージで挨拶。この新たなビジョンに基づき、JOCが様々な活動を行っていく上で中心となるのはアスリートであると強調すると、「アスリートを中心に、より多くの方々とともにスポーツが本来持つ価値を広く、深く伝えていくことで、人々を、そして社会を生き生きと輝かせる一助になるべく、このたび、新しい『TEAM JAPAN』のブランドを立ち上げることになりました」と、新ブランド構築の経緯を述べました。そして、「TEAM JAPAN」の名のもとで「スポーツがこれまで以上に愛され、社会に貢献できる仕組みを作っていきたい」と山下会長は力を込めました。
続いて「TEAM JAPAN」の概要について、三屋裕子JOC副会長が登壇。「TEAM JAPAN」の定義としてオリンピックなどの日本代表選手団やチームだけではなく、各競技それぞれの日本代表選手、世代別の日本代表選手も含まれると説明した上で、「オリンピック以外の時も継続して『TEAM JAPAN』を応援していただくことで、年間を通じてより多くの方にトップアスリートを身近に感じてもらいたい」と述べました。そしてアスリートを通じてファンや多くのステークホルダーを一つのコミュニティーとしてつなぎ、スポーツの本質的な価値を広く発信することで、より良い社会づくりに貢献するためのあらゆる活動を加速していくことが、「TEAM JAPAN」ブランドが担う役割であるとし、来年2月に開催される北京冬季オリンピック競技大会において、『TEAM JAPAN』のアスリートたちが皆さまに最高のパフォーマンスを届けてくれることに期待を寄せました。
次に、「TEAM JAPAN」のチームエンブレムがコンセプト映像と共に発表されると、「TEAM JAPAN」の頭文字であるTとJをかたどり、レッドとゴールドの2色で構成されたフレームに込められた想い、コンセプトについて、ブランド構築にも携わった伊藤華英JOCアスリート委員が説明。日の丸にも使われているレッドはアスリートやサポーターらの情熱を、ゴールドには「TEAM JAPAN」が人々を輝かせ、未来を照らす“光”となっていきたいと願う想いが込められています。
また、「TEAM JAPAN」のワードマークは、オーセンティック(不変的)で堂々とした佇まいのデザインとなっており、「TEAM JAPAN」が人々や未来を照らす光となり、時代を経ても変わらないスポーツの価値を未来へつなぐ役割を担うことを端的に表現。そして、丸みを帯びた特徴的なデザインとなっている「A」について、左右に膨らみを持たせることで、スポーツを通じて国境を越え、互いの健闘を讃え合う人と人との絆の意味が込められていると、伊藤委員が紹介しました。
続けて、「TEAM JAPAN」ブランドを端的に言葉で表したタグライン、「RISING TOGETHER」について、同じくブランド構築に携わった小口貴久JOCアスリート委員が説明。「RISE」には「立ち上がる」「上昇する」「気持ちが高まる」という意味があり、アスリートだけではなく、アスリートを支える家族、スタッフ、スポンサー、メディア、さらにはスポーツをする・見る・支える全てのステークホルダーが1つになり、さらなる高みに向けて朝日のように上昇していく「TEAM JAPAN」のスピリットを表現しています。
最後に、グラフィックエレメントの「Tension and Motion」を紹介。まっすぐに伸びていく「直線」と、円をトリミングした「曲線」の印象的な2つのラインはエンブレムデザインから派生しており、「直線」はアスリートの張りつめた緊張感と自分の信じた道をまっすぐに追い求める姿を、「曲線」はアスリートの躍動感を表現するとともにステークホルダーとのつながりを表現していることを、小口委員が説明しました。
今後、これらのブランド要素を使用しながら、JOCは「TEAM JAPAN」ブランドを展開していきます。小口委員は「私たちはこの『TEAM JAPAN』ブランドを通して、全ての人の想いをつなぎ、その輪を広げていくことで誰かが一歩踏み出せるような力になれること、そして、それを通じて、より良い社会づくりに貢献していくことを目指してまいります」と誓いました。
エンブレムデザイン等の説明の後、三屋副会長も加わり、エンブレムをはじめとした「TEAM JAPAN」ブランドについてのトークセッションが行われました。
エンブレムの製作にあたり、「たくさんの議論を重ねて作り上げてきました。アスリートの胸に付けるこのエンブレムを、ファンの方にも身に着けてもらうことで、日本がより1つになれるのではと思います。アスリートにもこのエンブレムに誇りをもって世界と戦ってほしいです。」と伊藤委員。一方、小口委員は「これまで過去の日本代表選手団が背負ってきた歴史のあるエンブレムを新たに作り上げるのは非常に責任を感じました。オリンピック競技だけではなく、世界を目指して日本代表として戦うアスリートが1つのエンブレムのもとに集うことで、多くの方々から応援をいただき、アスリートの背中を少しでも押せる形になるのではないかと思っています」と期待感を寄せました。
そして、「最初に見たときに、シンプルだけどかっこいいなと思いました」とエンブレムの第一印象を語った三屋副会長。エンブレム制作に1年をかけたという伊藤委員、小口委員の言葉や想いを受けて、「自分が現役選手だったころは冬季競技の選手と接点がなく、一体感があまり感じられませんでした。今回、1つのエンブレムを使うということで冬季も夏季も、世代別カテゴリーもみんなが1つのチームになるということですよね。本当にいいものを作ってくれました。ありがとうございます」とアスリート委員の2人に向けて感謝の言葉を送りました。
最後に、この日で開幕まであと100日と迫った北京冬季オリンピックに向けて、三屋副会長は「この『TEAM JAPAN』エンブレムをつけた最初の大会が北京冬季オリンピックです。このエンブレムに込めた想いを通して、精いっぱい『TEAM JAPAN』のアスリートたちを応援していきたいと思います。皆さま方も『TEAM JAPAN』とともに熱い応援を心からよろしくお願いいたします」と意気込みを述べて、新ブランド発表会を締めくくりました。
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