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シドニー2000


がんばれ!ニッポン!シドニー大会レポート

シドニーオリンピックスペシャル

シンクロ団体、ロシアを威圧。フリーの演技で日本が芸術点で4つの10点満点。

日本は、最初から最後まで迫力のある演技で会場を圧倒した。優勝候補とされるロシアは、ミスのないほぼ完璧な演技でぴたりとまとめたが、その完成度の高さも、日本チームの豊かな表現力とエネルギーの前には霞んでしまった。

日本は火をイメージした輝くような赤と緑の衣装が水に映え、幻想的な音楽に乗っての、アクロバティックな技と繊細な動きの両方を織り交ぜ、観客の目を釘付けにした。離れ業もしっかりと決まり、演技が終った後、日本選手達の顔には、満足の笑みと涙が溢れた。途中多少左右のバランスが不揃いになる場面があり、そのため技術点に9.8が出て金メダルには至らなかったが、芸術点では10点満点がずらりと並び、10点満点の数ではロシアを上回った。

リフトを決めた米田祐子選手は「観客の声援に乗せられて演技した。リフトは成功したと思う」と満足げ。チームの大黒柱のひとりである武田美保選手も「皆の息遣いを感じながら、団結した泳ぎができた。リフトは、練習でもいつも成功していたわけではないが、水音で成功か否かがわかる。今日は成功の水音がした」とチームとしての一体感を強調。「今日のメダルは、銀色かもしれないが、これまでで一番いい色だった」と微笑んだ。

アトランタを経験したベテランに、若手がよくついていった。主力の立花美哉選手が「私達の力の中で出来る限りのことができた。ロシアに対し最高の敵になれるようトレーニングしてきた」と言った通り、日本は、ロシアをぎりぎりまで追いつめ、ロシア選手たちも「誰が勝つかわからない戦いになり、首に息を吹きかけられた気がした」と日本チームに与えられたプレッシャーを認める。

「パワーとか切れが見せられるようになった」と誉めた井村コーチは、人間が演技しているのだから、一生懸命やればここまでできる、という人間性を表現しよう、と選手達を鼓舞したという。いつも厳しいコーチに「よくやった」とねぎらわれた選手達は、その一言で充分、と喜びをかみしめた。

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