ソチ2014
2005年からジャンプ台の大きさを表す表記として、従来のK点と一緒に用いられるようになった。ヒルサイズ(HS)は、テイクオフの先端からL点(着地地点の終点)までの測定距離で決定されている。選手がこの距離を越える飛行をすると、危険なため競技の続行について審判(ジュリーメンバー)が協議する。
K点が同じジャンプ台であっても、そのジャンプ台の構造によってヒルサイズは異なる。例えば、Kuusamo(FIN) K-120/HS-142m 、Oberstdorf(GER) K-120/HS-137mというようにヒルサイズは異なり、同じK120のラージヒルでもジャンプ台の大きさに違いがあり、当然飛距離も異なってくる。
これまでは、ドイツ語のクリティッシュ・プンクト(英語のクリティカル・ポイント)で「極限点」の意味だったが、現在のK点はコンストラクション(建築基準点)の意味で使われている。つまり、何メートルまで飛行可能な設計をしているジャンプ台であるかを示している。
ヒルサイズの項でも説明しているが、ジャンプ台の分類は、テイクオフの先端からL点(着地地点の終点)までの測定距離で決定されている。
スモールヒル | K点20m〜49m |
ミディアムヒル | K点50m〜84m |
ノーマルヒル | K点85m〜109m |
ラージヒル | K点110m〜184m |
フライングヒル | K点185m以上 |
ジャンプ競技は、いかに遠く、そして美しく飛ぶことができるかが順位を決める重要な要素になる。飛距離点(飛んだ距離)と飛型点(空中でのフォーム・着地のテレマーク姿勢)の合計点で順位を決める。
1)飛距離点の算出方法
飛距離点は、そのジャンプ台のK点を基準に換算する。K点まで飛ぶと60点が与えられ、K点を越すと1mにつき決められた点数が加算され、K点まで到達しないと1mにつき決められた点数が減点される。1mあたりの点数は、ジャンプ台のK点により定められている。
K点の距離 | 1mあたりの点数 | K点の距離 | 1mあたりの点数 |
---|---|---|---|
20〜24m | 4.8点 | 60〜69m | 2.4点 |
25〜29m | 4.4点 | 70〜79m | 2.2点 |
30〜34m | 4.0点 | 80〜99m | 2.0点 |
35〜39m | 3.6点 | 100m以上 | 1.8点 |
40〜49m | 3.2点 | 170m以上 | 1.2点 |
50〜59m | 2.8点 |
2)飛型点の採点
飛型点は、5人の審判員によって採点される。審判員は、テイクオフ終了から(カンテから飛び出してから)アウトラインの転倒ラインを通過するまでの選手の継続した動作の中で外見の正確性、完成度、安定性および全体の印象から採点する。
審判員は、1人の選手に対し、20点満点から減点法で採点する。5人の審判員が採点した点数は、最高点と最低点を除き、3人の審判員の合計(5審3採用)が飛型点となる。
3)順位の決定
飛距離点と飛型点の合計が得点となる。通常2回のジャンプを行い、1回目の得点と2回目の得点を合計して得点の高い選手から順位が決まる。1回目終了後、天候が悪くなり、2回目がキャンセルとなった場合、1回目の成績でゲームは成立する(ジュリーが決定する)。
オリンピック開幕までのFISワールドカップランキング(スタンディング)トップ10は予選が免除(シード)される。 シード選手10名、予選通過選手40名の合計50名が本選出場し、2本目はワールドカップと同じ上位30名が進出できる。
体重と身長の関係による(BMI=体重(kg)/身長(m)の二乗 kg/m2)。しかしスキーの長さの上限は、選手の身長の145%とし、BMIは男女とも21以上なければならない。BMIが21に満たない選手の場合0.5%の長さにつき0.125BMIの表が適用される。
ジャンプスーツのすべての部分は、同一素材でなければならない。また、外側からも内側からも同一の空気透過量(1秒間に40リットル以上)でなければならない。スーツの許容範囲はボディサイズ+2cmとする。ただしブーツの上にスーツを収めるために膝下の許容範囲を10cmとする。またグローブの上にスーツを収めるために最大許容差を4cmとし袖先10cm部分に与えられる。
2009年夏以降、飛び直しすることなく予選や競技ラウンド中にゲートを変えることが出来るようになり、ジュリーは状況の変化に応じ選択肢が増えた。変更した高低差を補うため、ゲートアップは減点、ゲートダウンは加点される。点数はジャンプ台ごとに適した特殊な公式に基づき計算される。 ゲート1mアップは飛距離に換算するとおよそ5m増。ゲート差は通常50cm〜60cm。
2009年夏以降、風の状況を総合点数の計算に加えることになった。この状況は選手ごとにリアルタイムに計算される。ノーマルヒルは5カ所、ラージヒルは7カ所の風を測定し平均値を計算する。追い風ならばプラスポイントが与えられ、向かい風では減点される。ウインドファクターの計算式はジャンプ台ごとに変わる。
△w=TWG×(HS−36)/20 (HSはヒルサイズ)
TWG=接線風速−平均値(m/s)
△w=飛距離に対する風の影響(m)
シャンツェ: ドイツ語の「Schanze」でジャンプ台のこと
アプローチ: スターティングゲートからカンテまでの助走路
カンテ: アプローチの先端に位置する踏み切り台
サッツ: ジャンプの際の踏み切り動作(テイクオフとも言う)
ランディングバーン: 選手がジャンプをした後着地する場所。ランディングバーンの先の広いスペースはブレーキングゾーンという
V字ジャンプ: スキーの先端を開いてVの字のようにした飛行フォームのこと。高い揚力が得られることから現在の飛行スタイルの主流になっている
テレマーク姿勢: 着地の際の足を前後に開き、腕を左右に開いた安定した姿勢。この姿勢をとらないと飛型点が減点される
バッケンレコード: 個々のジャンプ台で選手が飛んだ最長不倒距離
スタート: 青のシグナルが点灯してから10秒以内にスタートしなければならない
試合のキャンセル: 強風・激しい降雪場合、ジュリー(競技委員長、TD、アシスタントTD)の判断で選手の安全を第一に考え試合をキャンセルすることがある
トライアルジャンパー: 各開催組織委員会では、ゲームごとに8名以上のトライアルジャンパーを準備しなければならない(テストジャンパーとも言う)
飛距離の計測位置: ブーツセンターが着地した地点。現在はビデオにより飛距離の判定を行っている