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仁川アジア大会


第17回アジア競技大会(2014/仁川)

(2)暑さ克服、驚異的なタイム 女子マラソンの高橋尚子
世界歴代5位の好タイムで優勝した高橋尚子

世界歴代5位の好タイムで優勝した高橋尚子

 1998年バンコク大会で初めて採用された女子マラソンは、開会式に先立って午前6時半にレースが始まった。12月とはいえタイの日中の気温は30度にも達する。暑さ対策での早朝スタートにも26歳の高橋尚子は意に介さなかった。出場はわずか10人。目立ったライバルはおらず、アクシデントさえなければ優勝できるといわれていたが、スタート直後から果敢に飛び出した。ペースダウンに気をもむ周囲の心配をよそに、35キロすぎまで世界最高記録のペースを維持する快走を見せた。日差しが強くなってきた終盤にはさすがにペースが落ちたものの、高橋は「30キロすぎてからきつくなったが、日本最高だけは出さないともったいないと思って最後までいった」とレースを独壇場で締めくくった。暑さに加え、湿度も高かった悪条件の中で、優勝タイムの2時間21分47秒はそれまでの日本最高を4分あまりも更新し、当時の世界歴代5位に相当する好記録だった。
 

シドニー五輪での金メダルにつなげ、国民栄誉賞が贈られた

シドニー五輪での金メダルにつなげ、国民栄誉賞が贈られた

 長距離選手としての資質を持ちながらも、日本のトップに立つことができなかった高橋は大阪学院大を卒業後、名伯楽・小出義雄氏の指導を仰ぐためリクルート陸上部の門をたたいた。小出氏の移籍とともに積水化学に移籍し、マラソンランナーとして頭角を現した。アジア大会の9か月前には、2度目のマラソン挑戦だった名古屋国際女子マラソンで当時の日本最高となる2時間25分48秒をマークした。

 アジア大会での活躍をステップにして、大きく羽ばたいたのが2年後の2000年シドニー五輪だった。サングラスを投げ捨てたのを合図に35キロ手前からのロングスパートで強敵のリディア・シモン(ルーマニア)を振り切り、日本の陸上女子選手で初めてとなる金メダルを獲得した。この快挙から女子のスポーツ選手として初の国民栄誉賞を授賞した。(共同)

 
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