『未来のオリンピアン』
東京でメダルを、家族に恩返しを。
江村 美咲(フェンシング)
第2回ユースオリンピック競技大会(2014/南京) フェンシング 大陸別混合団体 金メダル
1998年11月20日生まれ/大分県出身/大原学園高等学校2年/JOCエリートアカデミー所属
(取材日:2015年4月23日 text:中村 聡宏)
サーブル転向で素質開花
両親がフェンシング選手だったので、もともと身近な競技だったことは確かなんですが、実は幼稚園生の頃はユニホームのハイレグラインが嫌だったんです(笑)。小学校3年生くらいになって、兄の練習を見ているうちに、自分でもやりたくなって両親にお願いして始めました。
——競技の難しさと楽しさとは。初めは、思ったように動けず、有効面(攻撃時、得点の対象になる部分)に当てることすらすごく難しく感じました。楽しさを感じるようになったのは、フルーレからサーブルに転向してからですね。
——転向のきっかけは。ある日、味の素ナショナルトレーニングセンターで開催されたサーブル競技の大会の優勝賞品が当時大好きだった「ウサビッチ」のジグソーパズルだったんです。それがどうしても欲しくて(笑)、試合に出たら、本当に勝ってしまいました。フルーレではベスト8が最高だったので、種目転向を考えるきっかけになりました。
——転向も簡単ではないですよね。中学入学直前のことだったんですが、父は私の決断に対して一切反対しませんでした。サーブルは動きも速いですし、剣はフルーレよりも短くて、有効面も腰から上のみというように、全然別の競技と言ってもいいくらい違うんです。ですから、初めは難しさも感じましたが、やっているうちにすぐに慣れました。
充実した育成環境
声をかけていただいたものの、最初はあまり入りたくないと思っていたんです。でも中学時代、エリートアカデミーに所属する選手たちになかなか勝てなくて……。それで、環境を変えたほうが結果も出やすいかなと思うようになり、高校入学と同時に入校することを決めました。すぐ身近にライバルがいるのは刺激になりますし、一人よりもモチベーションが上がりますね。友達と遊ぶことなどを考えると窮屈な面もありますが(笑)、フェンシングのことを考えると、生活が管理されていて、最高の環境だと思います。
——アカデミーでの生活は。競技ごとに比較されやすい面もあるので、「フェンシングのメンバーは態度が悪いな」などと思われないようにいつもしっかりしなくてはと気を引き締めています。特に、レスリングの選手たちはすごく礼儀正しくてしっかりしている印象が強いので、私たちも負けていられないなという気持ちになりますね。