アスリートメッセージ
高木正人選手も高校生の時にセーリングを始めました。「高校のヨット部は、私の従兄弟が作ったクラブでした。部員が少なかったので、部がなくなってしまわないように、楽しいクラブ活動を心掛けていました。熊本県には当時ヨット部を持った学校が他になかったので、ヨット部に入れば国体に出られるというのが部員勧誘のための決まり文句でした(笑)」
高木選手のお父様はセーリングを続けることに反対、高木選手自身も実はゴルフをしたいと思っていたのだそうです。「せっかくスポーツをするのなら、観客が近くにいて応援する声が聞こえた方が嬉しいじゃないですか。ヨットは沖に出てレースをするので、そういう訳にはいきませんから」そんな高木選手を説得したのは同じ敷地に住んでいる伯父様だったのだそうです。「ヨットなら東京の大学に行かなくても、地元の大学でよいということも魅力でした」
大学卒業後、セーリングが盛んな関東自動車工業(株)に入社。高木選手が470級世界選手権大会で4位の成績を納めた1992年は、バルセロナオリンピックの年でした。「会社に入ってからオリンピックを目指すようになりました。バルセロナの時には“行きたいな”という思いだったのが、アトランタの時には“行かなくちゃ”に変わっていました。本当にヨットに集中した3年間でした」オリンピック初出場のアトランタ大会では470級で17位の成績でした。
470級も49er級も2人乗りの艇種で、中村選手がスキッパー、高木選手がクルーをこなします。「セーリング競技はそれぞれのチームがたくさんのボランティアに支えられています。僕たちの場合も会社のバックアップが大きな支えです。シドニーの時には会社の食堂の方が現地まで来て食事の用意をしてくれました。アテネにはマッサージの専門家が来てくれる予定です」と高木選手。
49er級の艇体部分はほとんど深みがなく、普通のヨットのようにのんびりと座っていられるところはなさそうです。おまけにたくさんシート(ロープ)があります。「これは車でいえばギアの役割をしてくれるものなのですよ」と中村選手。ポピュラーな470級よりシンプルな造りで速く走り、値段も470級より安価。新品ですべての付属品がついて約250万円。2人を見ていると、いとも簡単にセーリングしていますが、それは2人がトップセーラーだからで、少しヨットに乗れるくらいではトラピーズすらままならないほど難しい船なのです。
中村選手と高木選手のチームがオリンピックで使用した艇体は、ベルギーの倉庫に保管してあります。「自分達でアテネまで車で運ぶんですよ」と高木選手。なんと片道2000kmほどの行程を中村、高木両選手と会社の同僚でもある松本真也コーチの3人で交代しながら運転するのだそうです。
アテネ大会の49er級のレースは、1日3レースを6日間、合計16レースを行い、その結果で順位が決まります。レースのある日は3レースを続けて行い、1レースの所要時間は、およそ30分が目安です。26日には、全レースが終了し、中村選手・高木選手は15位と健闘しました。
日本セーリング連盟がアテネに派遣していた選手は49er級の中村選手と高木選手の他、男子470級男子に関一人・轟賢二郎両選手(前述のとおり銅メダルを獲得)、女子470級に吉迫由香・佐竹美都子両選手(最終レースを終えて結果は11位)、ミストラル級男子に見城元一選手(最終順位19位)、ミストラル級女子に今井雅子選手(最終順位17位)、レーザー級に鈴木國央選手(最終順位35位)、ヨーロッパ級に佐藤麻衣子選手(最終順位24位)、総勢10名の選手が「アテネの海に日の丸を」を合い言葉に戦いました。
茨城県出身、1964年2月18日生まれ
1982年3月 霞ヶ浦高等学校卒業
1987年3月 日本大学法学部政治経済学科卒業
1987年4月 関東自動車工業株式会社入社
戦歴 | |
1988年 | ソウルオリンピック470級男子 12位 |
1990年 | 470級世界選手権大会 3位 北京アジア大会470級 1位 |
1993年 | 470級世界選手権大会 4位 |
1994年 | 広島アジア大会470級 1位 470級世界選手権大会 2位 |
1996年 | アトランタオリンピック470級男子 17位 470級世界選手権大会 3位 |
2000年 | 49er級グランプリ最終戦(フィンランド) 3位 シドニーオリンピック49er級 16位 |
2001年 | 全日本49er級選手権大会 優勝 49er級世界選手権大会 23位 |
2002年 | 全日本49er級選手権大会 2位 |
2003年 | 49er級イタリアGP 4位 49er級フランスGP 5位 |
2004年 | 49er級世界選手権大会 24位 |
熊本県出身、1966年8月4日生まれ
1985年3月 東海大二高卒業
1989年3月 九州東海大学工学部経営管理学科卒業
1989年4月 関東自動車工業株式会社入社
戦歴 | |
1992年 | 470級世界選手権大会 4位 |
1993年 | 470級世界選手権大会 2位 |
1993年 | 470級世界選手権大会 3位 |
1994年 | 広島アジア大会470級男子 優勝 |
1996年 | アトランタオリンピック470級男子 17位 |
2001年 | 全日本49er級選手権大会 優勝 49er級世界選手権大会 23位 |
2002年 | 全日本49er級選手権大会 2位 |
2003年 | 49er級イタリアGP 4位 49er級フランスGP 5位 |
2004年 | 49er級世界選手権大会 24位 |