写真:杉本哲大/アフロ

水泳/マラソンスイミング

MARATHON SWIMMING
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マラソンスイミングは海や川、湖といった自然環境の中で行われる水泳競技です。男女ともに10km泳ぎ、約2時間のレースで選手の持久力が試されます。

東京2020大会マラソンスイミング女子10km

東京2020大会 マラソンスイミング 女子10km(写真:三船貴光/フォート・キシモト)



マラソンスイミングの歴史

マラソンスイミングは北京2008大会で初めて正式種目となった比較的新しい競技です。マラソンスイミング自体は1980年代前後からオーストラリアを中心に行われており、1991年のオーストラリア・パースでの世界水泳選手権で正式種目となりました。このときの種目は男女ともに25kmで、5時間を超える競技時間でした。その後、オリンピック競技となる10kmが国際大会に取り入れられたのは、2001年に福岡で開催された世界水泳選手権でした。

東京2020大会マラソンスイミング女子10km

東京2020大会 マラソンスイミング 女子10km(写真:杉本哲大/アフロ)

マラソンスイミングのルール

マラソンスイミングは予選ラウンドのない一発勝負です。男女ともに25人の出場選手が一斉にスタートするシングルレースとなっています。泳ぎ方に規定はなく、多くの場合はクロールで泳ぎますが、給水や疲労時などには背泳ぎをする選手もいます。海底に立っても失格にはなりませんが、歩いたりジャンプはできません。給水の際は監督やコーチが「フィーディングポール」と呼ばれる給水用の竿で飲み物を渡し、それを選手が泳ぎながら飲むのはこの競技特有の光景です。

東京2020大会マラソンスイミング男子10km

東京2020大会 マラソンスイミング 男子10km(写真:杉本哲大/アフロ)

マラソンスイミングの見どころ

10kmにわたる耐久レースにおいて、最も印象的な瞬間は、各選手が7km地点付近から始まるスパートの勝負です。しかし、実はその瞬間に至るまでの間に、自分の体力を無駄に消耗せず、最後のスパートに備えるためにどれだけ力を残せるかが、勝敗を分ける大きな要素となります。途中のスピードの変動による揺さぶりに対処できる力、それに伴う集団内での適切な位置取り、そして海や川の流れがある状況下で、どれだけ効率的なコース選択ができるかも、この競技で成功するための重要なスキルと言えます。特にコース選択は環境に大きく左右され、海の場合、潮の流れや波の大きさが時間とともに変わるため、これらを正確に判断する必要があります。近年では、競泳の長距離種目に出場する選手たちもマラソンスイミングに参戦。スピード化が進んでおり、前半からハイスピードで逃げ切るレースも見られるようになってきました。その影響もあり、特に最終ラップでの争いが激化し、タッチ差で勝負が決まるレースも多くなってきました。体力と知恵、環境の読み取り、そして10kmのレースでも屈しない精神力。まさに、心技体が備わった選手たちが世界一をかけて競い合うのが、このマラソンスイミングという競技なのです。

東京2020大会マラソンスイミング女子10km

東京2020大会 マラソンスイミング 女子10km(写真:ロイター/アフロ)

パリ2024大会の見どころ・注目選手

パリ2024大会では、リオデジャネイロ2016大会での平井康翔選手に続く入賞が目標ですが、その目標は決して無謀なものではありません。

特に女子代表の蝦名愛梨選手は、入賞が十分に狙える立場にいます。世界水泳選手権2024ドーハでは、スタートからトップに立ち、世界を相手にリードを奪う積極性を見せました。海外選手たちとのポジション争いは腕がぶつかり合うほどの距離で競り合い、中盤での体力消耗が致命的ですが、蝦名は先頭で泳ぐことで削り合いを避けるという戦略で戦いました。

蝦名愛梨

男子の南出大伸選手も、現在地としては目標に掲げる入賞にはかなり遠い位置にいることは確かですが、チャンスはあります。かつて平井選手は潮の流れや波をうまく利用した位置取りによって入賞を果たしましたが、南出も近い能力を持っています。そしてパリ2024大会の会場はセーヌ川。淡水ではあるものの流れがあり、そこでの泳ぎには環境を活かす能力が必要です。南出は2024年6月のOWSオーシャンズカップ2024で優勝、そしてパリ2024大会直前まで体力アップに力を注いでいます。

南出大伸

蝦名と南出にとって、8位入賞は大きな挑戦ですが、マラソンスイミングは給水タイミングや回数、波の影響などにより大きく順位が変動するスポーツです。数少ないチャンスをものにして、目標に掲げる入賞をぜひとも果たしてもらいたいところです。


参考情報INFORMATION

競技初回実施大会 北京2008大会
TEAM JAPAN初出場大会 ロンドン2012大会
競技別累計メダル数
  • 金0
  • 銀0
  • 銅0

2024年1月1日時点

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