写真:西村尚己/アフロスポーツ
空手の競技には主に「形」と「組手」という2つの大きなカテゴリがあります。
形は、仮想の敵に対する攻撃技と防御技を一連の流れとして組み合わせた演武の形式です。この形の競技においては7人の審判員による採点で勝敗が決まります。予選では各選手が個別に演武し、上位者が決勝に進出します。メダルマッチでは同様に審判員による採点が行われ、1対1の対戦形式となります。演武する形は、世界空手連盟(WKF)が公認している102の形から選択されます。
一方、組手は8メートル四方の競技場で2人の選手が、一方が赤帯、もう一方が青帯を付けて行う対戦形式です。相手選手に対して自由に攻め合い、「上段(頭部・顔面・頸部)」と「中段(腹部・胸部・背部・脇腹)」に対して、「突き」「蹴り」「打ち」で攻撃を行います。成功すると「有効」「技あり」「1本」の技としてそれぞれ1ポイント、2ポイント、3ポイントが加算されます。競技時間内に8ポイント差をつけるか、競技終了時により多くのポイントを獲得した方が勝者となります。技が迅速に繰り出され、短い時間でも観客は興奮を抑えられません。
空手の形は、技の意味を正確に表現する競技として知られています。注目すべき点は、突きや蹴りの迫力や速さ、リズム、そしてバランス、パワーなどです。これらの要素だけでなく、動きが安定しており、キレと迫力があり、技の意味を正しく表現していることも評価されます。ゆっくりとした部分と速い部分、強さと弱さ、そして集中力が組み合わさっています。演武は仮想の敵との戦いを想定しているため、相手を制する強い意志が表れています。トップ選手の演武には感動的なドラマがあります。また、一度使った形は同じ試合では再使用ができないため、選手は早い段階で得意な形を披露するか、それを残しておいて決勝に進むかなどの戦略や駆け引きも見どころの一環です。
組手の最大の魅力は、爆発的なエネルギーで繰り出される突きや蹴りが相手の目標部位を確実に捉える瞬間です。技は瞬時にして目にも留まらぬ速さで、かつ完璧なコントロールで繰り広げられるため、その瞬間を見逃さないように注意が必要です。しかし、組手の魅力は単なる瞬間だけにとどまりません。攻撃が成立するまでの選手同士の戦略的な駆け引きにも注目しましょう。お互いが攻撃を受けず、または受けても防御できる間合いを保つことが求められます。攻撃を仕掛けるには相手に接近する必要がありますが、これは攻撃が可能な位置に自分を置く一方で、相手の攻撃を受ける位置にも入ることを意味します。間合いに入った瞬間、試合が一気に動き出し、矢のような速さで突きや蹴りが飛び交います。成功する場合もあれば、防御されて逆に反撃を受けることもあり、その瞬間を見逃すことはできません。一瞬たりとも目が離せないのが組手の魅力なのです。
競技初回実施大会 | 東京2020大会 |
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TEAM JAPAN初出場大会 | 東京2020大会 |
競技別累計メダル数 |
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2024年1月1日時点
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