写真:三船貴光/フォート・キシモト

水泳/アーティスティックスイミング

ARTISTIC SWIMMING
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音楽に合わせてプールの中でさまざまな動き・演技を行い、技の完成度や同調性、演技構成、さらには芸術性や表現力を競うアーティスティックスイミング。2018年にそれまでの「シンクロナイズドスイミング」から名称が変更されました。

杭州アジア大会アーティスティックスイミングチームフリールーティーン

杭州アジア大会 アーティスティックスイミング チーム フリールーティーン(写真:川口浩輝/フォート・キシモト)



アーティスティックスイミングの歴史と種目

オリンピックで正式種目として実施されたのはロサンゼルス1984大会から。約40年の歴史のなかで幾度となく競技規則やルールの変更が行われてきました。当初はソロ(1人)とデュエット(2人)の2種目が行われていましたが、アトランタ1996大会では、チーム(8人)のみが行われました。その後、シドニー2000大会でデュエットが復活。それ以降はデュエットとチームの2種目が行われています。プールは水深3m、20m×25m以上という決まりがあります。

東京2020大会アーティスティックスイミングデュエット決勝FR

東京2020大会 アーティスティックスイミング デュエット 決勝 FR(写真:ロイター/アフロ)

アーティスティックスイミングのルール

2023年に大幅なレギュレーション変更が行われたのが、このアーティスティックスイミングです。今までは、技の完成度(エクスキューション)、技のできばえ(エレメント)、そして芸術性(アーティスティックインプレッション)の3つの合計で100点満点で採点されていました。それが、2023年からは100点満点制を排除。技の完遂度を表すエレメント得点(エクスキューション)とアーティスティックインプレッションの2つの合計得点で争われることになりました。
また、大会前に『こういう技をこういう順序で行います』という事前申請も必要になり、この事前申請の通りに演技を行わなかった場合や、申請した通りの技が『できていなかった』と判定されてしまうと大きな減点となってしまいます。
エレメント得点に関しては、技一つひとつに難易度が設定され、そのできばえによって、技一つひとつに得点がつきます。たとえばテクニカルでは、5つの規定要素(必ず入れないといけない技)と、プラス2つのハイブリッド(潜って行う足技)、1つのアクロバティック要素を加えた、合計8つの技の合計点(エクスキューション)と、アーティスティックインプレッションを足した点数で争われるわけです。
オリンピックではデュエットとチームが行われますが、デュエットではテクニカルとフリーの2種目の合計点、チームはテクニカルとフリーに加え、リフトなどの派手な見どころ満載のアクションが組み込まれたアクロバティックの3つの種目の合計点で順位を決定します。
このルール改正によって、技の合計難易度(トータルディフィカルティ)が、合計得点に大きく影響する競技になりました。ただし、近年ではアーティスティック要素による得点の割合を増やすなど、競技の魅力を高められるよう運営側も細かな改正を続けています。

東京2020大会アーティスティックスイミングチームTR

東京2020大会 アーティスティックスイミング チーム TR(写真:杉本哲大/アフロ)

パリ2024大会での競技の進化

パリ2024大会で、アーティスティックスイミングには大きな変化が2つあります。1つ目はチーム種目への男子選手が参加可能になること。これまでは女子のみで8人のチームが構成されていましたが、1チームにつき最大2人の男子選手が参加可能になります。男子選手の参加は必須ではありませんが、2023年に開催された世界水泳選手権大会では、佐藤陽太郎選手が日本チームのメンバーとして参加しています。2つ目の変化は、チーム種目で従来の「テクニカルルーティン」と「フリールーティン」に加え、新たに「アクロバティックルーティン」が追加されることです。アクロバットルーティンでは「複雑な隊形、空中での動き、アクロバットな動きの多様な組み合わせで、難易度、完遂度、芸術性を見極め・評価することが審査員に求められる」ことになります。男子選手の参加とアクロバティックルーティンの追加によって、パリ2024大会ではさらにダイナミックなパフォーマンスが見られることが予想されます。

杭州アジア大会 アーティスティックスイミング チーム アクロバティックルーティン

杭州アジア大会 アーティスティックスイミング チーム アクロバティックルーティン(写真:長瀬友哉/フォート・キシモト)

オリンピックにおける日本の歴史

正式種目として実施されたロサンゼルス1984大会から全ての大会に出場しており、これまでに4個の銀メダルと10個の銅メダルを獲得しています。リオデジャネイロ2016大会ではデュエット・チーム共に銅メダルを獲得しましたが、東京2020大会では両種目とも4位と、惜しくもメダルに手が届きませんでした。しかしながら、2023年に開催された世界水泳選手権大会では4個の金メダルを含む合計7個のメダル(オリンピック非実施種目を含む)を獲得しており、パリ2024大会での活躍が期待されます。

杭州アジア大会 アーティスティックスイミングで銀メダルを獲得した日本チーム

杭州アジア大会 アーティスティックスイミングで銀メダルを獲得した日本チーム(写真:アフロスポーツ)

パリ2024大会の見どころ・注目選手

日本はパリ2024大会で2大会ぶりのメダル奪還を目標に、デュエットは比嘉と佐藤友花のふたりのペアに変更。新ルールに対応しやすく、高い難易度、高い完遂度を目指しやすいペアでパリ2024大会を戦います。

チームメンバーは、東京2020大会を経験した選手は吉田、安永、木島萌香の3人のみ。そこに比嘉や島田綾乃の高校生コンビなどの若手が加わり、フレッシュなメンバーに入れ替わりました。メンバーが替わった当初はシンクロエラーが目立ったものの、練習を重ねるにつれてエラーも減少。吉田を中心にコミュニケーションもしっかりとれており、意思疎通も含めたチームワークは過去最高とも言えるほどのチームに仕上がりました。

アーティスティックスイミング競技において、身長の高さや腕脚の長さというのは、アドバンテージとなります。そういう意味で、日本は少し厳しい評価を受けるかもしれませんが、1984年から日本が得意としてきた同調性や技の確実性、完遂度の高さは健在です。

パリ2024大会で演技するテーマは、すでに決まっています。比嘉・佐藤ペアのデュエットは、テクニカルが日本の良さを打ち出す『Cool Japan』、フリーは脚の美しさを前面に押し出した『ペガサス』です。チームのテクニカルのテーマは、激しさを表現する『雷』。フリーでは『チェス』をテーマに、盤面上を行き来する駒をシニカルに表現します。アクロバティックは『Alligator』で、活発なアリゲーターをリフトなどで魅せます。東京2020大会後、新ルールに対応してきた若手中心の新・マーメイドジャパンの演技に、ぜひ注目してください。

アーティスティックスイミング公開練習の様子

アーティスティックスイミング公開練習の様子(写真:松尾/アフロスポーツ)


参考情報INFORMATION

競技初回実施大会 ロサンゼルス1984大会
TEAM JAPAN初出場大会 ロサンゼルス1984大会
競技別累計メダル数
  • 金0
  • 銀4
  • 銅10

2024年1月1日時点

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