――具体的な課題はありますか。 桃 田 ――桃田選手ほどのアスリートから「感覚がずれている」というような話を聞くと意外に感じる方も多いのではないかと思います。イメージと現実のギャップというのはこれまでにあったものなのでしょうか。 桃 田 ――オリンピックを経験した桃田選手だからこそ、パリでの戦いに期待が高まります。 桃 田 ――パリ2024オリンピックに向けて意気込みを聞かせてください。なってきて、日々の練習に対しても前向きに取り組めていると思います。と、実際に自分が実行しているプレーの質に差がある気がしているので、その差を埋めるために体づくりから積極的に取り組んでいます。練習量を増やしていくことで、自分の中でも自信を持ってプレーできつつあるのかなと感じています。感じたことはなかったのですが、2020年に交通事故に遭った時に、自分の中で積み上げてきた経験や技術が全てゼロになってしまった自分が考えているイメージこれまでそうしたギャップを感覚がありました。弱くなっていることを認めたくない気持ちと、もっとやれるはずだという気持ちが整理できないまま、ずっとモヤモヤした時期が続いていました。「ここが足りない」という部分をしっかり明確にして、普段の練習から「自分は弱い」ということを素直に認める強い気持ちを持てたことが、最近少しずつ復調してきている要因だと思います。東京2020オリンピックの時よりも、そういう気持ちはすごく強くなっていますし、準備の仕方も変わってくると思います。5月から始まるオリンピック出場枠をめぐるレースでは、経験を活かして、悔い 桃 田 のないように戦っていきたいと思います。まずは、オリンピックに出られるかどうかが最大の問題で、「オリンピックで絶対に金メダルをとる」と、今、はっきり言うことはできません。おそらく苦しい1年になると思いますが、オリンピックレースを戦うからには、パリ2024オリンピックを目標に、そして、そこで勝つことを目標に頑張りたいと思います。スポーツをやっていれば勝ち負けはつきものです。負けることもあると思いますが、そこで一喜一憂することなく、一戦一戦の中で後悔のないように何度でもその壁にぶつかっていきたいと思います。REUTERS/AFLOAFLO SPORTREUTERS/AFLO11全文はこちら※本インタビューは2023年4月25日に行われたものです。ももた・けんと/1994年9月1日生まれ。香川県出身。小学1年でバドミントンを始める。2012年、世界ジュニア選手権男子シングルスで日本人選手初のジュニア世界一に輝く。15年12月、全日本総合選手権初優勝。スーパーシリーズファイナルズでも男子シングルスで日本人初優勝を果たす。18年8月、世界選手権男子シングルスで日本男子初の金メダルを獲得。19年3月、伝統ある全英オープンでは日本勢初優勝。21年4月、シンボルアスリートに選出。同年、東京2020オリンピックで初出場。22年12月、全日本総合選手権で5回目の優勝を果たす。NTT東日本所属。
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