25東京2020パラリンピック、競泳男子100mバタフライ(視覚障害S11)でワンツーフィニッシュを果たしたのが、金メダルの木村敬一選手と銀メダルの富田宇宙選手だった。「ずっと頑張ってきたから」と木村選手がいうように二人は涙に暮れた。木村選手の努力をずっと間近で見てきたという富田選手は「本当におめでとう」と気持ちを示しつつ、木村選手に続く2着でゴールしたことを素直に喜んだ。「宇宙さんが高いレベルで競い合えるライバルで居続けてくださったことは、僕がプレッシャーに押しつぶされることなく勝ち切れた要因。僕を世界チャンピオンまで押し上げてくださった」と木村選手はライバルへの感謝を口にした。競い合えるライバルがいたからパラリンピック開会式で披露されたパフォーマンス「片翼の小さな飛行機」が世界中に感動を呼んだ。ヒロインを演じた13歳の和合由依さんは、生まれつき下半身と左手に障がいがあり、普段は電動車いすで過ごす。母のすすめを受け、「今の自分を見てほしい」とヒロインのオーディションに臨んだ和合さんは、約5,000人から見事にその大役を射止めた。手動の車いすで演じることについても「自分で走りたい」とトレーニングを積み挑んだ和合さんは、片翼しかない小さな飛行機を見事に演じ切り、巨大な滑走路から飛び立ってみせた。スタジアムに浮かび上がる「WE HAVE WINGS(私たちには翼がある)」の文字は、パラリンピアンの、そして彼女自身の思いを示すかのようだった。片翼の小さな飛行機Episode of Paralympic 1今大会、陸上競技女子200m(視覚障害T11)予選での一幕が話題となった。主役となったのは、予選4組に登場した西アフリカの島国・カーボベルデのケウラニドレイア・ペレイラセメド選手。レースは33秒04で最下位の4着、予選敗退という結果だったが、この後にサプライズが待っていた。ペレイラセメド選手の元を離れたガイドランナーのマヌエルアントニオ・バスダベイガさんは、しばらくして戻ってくると、ゴールライン付近でひざまずきプロポーズ。快諾した彼女の左手薬指に指輪をはめ、熱い抱擁を交わす二人に、同組の選手や周囲のスタッフたちも祝福の拍手を贈った。レース直後のプロポーズEpisode of Paralympic 2Photo/PHOTO KISHIMOTOPhoto/REUTERS/AFLOPhoto/REUTERS/AFLOPhoto/AFLO SPORTPhoto/AFLO SPORTEpisode of Paralympic 3
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