19年の開催都市であるパリのアンヌ・イダルゴ市長へと手渡された。 コロナ禍のオリンピックとして、非常に難しい運営を迫られた大会となったなかで、アスリートたちの圧倒的なパフォーマンスが世界中に多くの勇気をもたらしたことだろう。一方で、そのオリンピアンたちからは、大会開催に尽力し続けたボランティアや運営スタッフなどの献身的な働きぶりに対して、感謝の言葉が数多く聞かれたことも強く印象に残る、歴史的に特別な大会となった。 日本代表選手団は、歴代最多となる58個(金27、銀14、銅17)個のメダルを獲得。パラリンピックへ、そして、3年後のパリへと「ARIGATO」の思いが引き継がれ、17日間の熱戦は幕を閉じた。 スポーツクライミングでは女子複合の野中生萌選手が銀メダル、野口啓代選手が銅メダルを獲得し、二人で表彰台に登った。 そして、大きな注目を集めたのがスケートボードだった。男子ストリートの堀米雄斗選手が金メダルを獲得したのを皮切りに、女子ストリートで13歳の西谷椛選手が日本史上最年少金メダリストとなり、16歳の中山楓奈選手が銅メダルを手にした。さらに女子パークでは19歳の四十住さくら選手が金メダルに輝き、そして12歳の開心那選手が銀メダルを獲得し最年少メダリストの記録を更新した。 この女子パークで最終演技者として滑走したものの、狙ったトリックが決まらず4位となって悲しんでいた岡本碧優選手。彼女のそばに参加選手たちが集まり、慰め、そのチャレンジ精神をたたえて担ぎ上げた姿は、今大会最も印象的なシーンの一つであった。メダルという結果に注目が集まりがちだが、互いに健闘をたたえ合いながら、こうしたニュースポーツを真剣に楽しむ若きオリンピアンたちの姿から、オリンピズムの体現を感じた人々も多いことだろう。 8月8日夜8時、国立競技場で閉会式が行われた。日本代表選手団の旗手を務めたのは、空手男子形の金メダリスト喜友名諒選手だった。フラッグ・ハンドオーバー・セレモニーで、オリンピック旗は、東京都の小池百合子知事から、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長へ、そして、2024TOKYO2020 reviewPhoto/REUTERS/AFLOPhoto/REUTERS/AFLOPhoto/REUTERS/AFLO多くの選手たちからボランティアに対する感謝の思いが語られた。閉会式では、国立競技場のリボンビジョンにも「ありがとう東京 ありがとう日本」の文字が。選手・役員・ボランティア・運営関係者など、関わる全ての人たちにプレイブックによる感染症予防対策が徹底される大会となった。
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