OLYMPIAN2019
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31ないところに本当の価値がある。見えるものだけでなく見えないものを楽しんでもらうというのが、JOMが他のミュージアムと違うところかもしれません。「平和の祭典」とも呼ばれるオリンピック本来の概念を多くの人に知ってもらえるとうれしいですね。代オリンピック発祥の地であるアテネでオリンピックに出られたのに、当時知識を持っていなかったのはすごくもったいなかったと感じています。 伊藤 競技のことを知らずに見ている人もいると思うので、それも解決できたらいいと思います。たとえば水泳だと、選手たちの泳ぎがきれいなので楽だと思われがちですが、最後の10mは毛穴が開くぐらいきつい(笑)。棒高跳はどうですか。澤野 試合ではあまりきついと感じることはないけれど、本数が重なってくると跳ぶのがきつい。助走距離は40mちょっとなので、何本でもいけそうじゃないですか。でもこの年齢になると10本でも厳しい(笑)。練習でも本当5、6本しか跳ばないですね。小口 リュージュは国内でも本当に競技人口が少ないです。伊藤 どのくらい怖いんですか。小口 それは、よく聞かれますね。リュージュは足から行くのですが、頭から行くスケルトンの方が怖いと思います(笑)。伊藤 こうやってお話を聞くと興味が湧きますよね。そんなふうに、一般の方にも「やってみようかな」、「行ってみたいな」と思ってもらえるとうれしいです。 それから、JOMの入り口に大きなオリンピックシンボルのモニュメントができるので、間近で見て、皆さんで写真を撮ってほしいですね(笑)。澤野 選手たちもオリンピックの時は、選手村のモニュメントで必ず写真を撮っているよね。みんなのインスタグラムもそればかり(笑)。目に見えないものを楽しむ——JOMではオリンピアンに会えることもあり、パワーをもらえる場所になりそうです。2020年そしてその先に向けて、果たしていく役割は大きいですね。澤野 オリンピックではメダルに焦点が当たりますが、オリンピックに向かうまでのストーリーやオリンピックバリューが大切で、実は皆さんにとっても身近なところに本当の価値があることを感じてもらえる場所にしたいですね。小口 ミュージアムといっても、品物が並んでいるだけではない。オリンピックを通じて未来が拓けることを感じてもらい、本当のスポーツを感じられる場所になるといいですね。伊藤 オリンピックは、目に見え小口貴久(おぐち・たかひさ)1979年1月11日生まれ。長野県出身。小学5年でリュージュを始める。2002年ソルトレークシティーオリンピック、06年トリノオリンピック、10年バンクーバーオリンピックに出場。JOCアスリート委員会オブザーバー。JOC強化第二部(ナショナルトレーニングセンター管理)所属。伊藤 華英(いとう・はなえ)1985年1月18日生まれ。埼玉県出身。ベビースイミングで水泳/競泳を始める。2000年15歳で日本選手権に初出場。背泳ぎを中心に日本記録を数々樹立。08年北京オリンピックに出場、女子100m背泳ぎで8位入賞を果たす。JOCアスリート委員会オブザーバー。東京2020大会組織委員会所属。

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