OLYMPIAN2019
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Ueno18取材などでもオリンピックの話が必ず出ますし、身近になってきました。街中でもオリンピックムードを感じるようになり、自然に気持ちが引き締まってきています。——2回のオリンピックを体験しましたが、それぞれ感じ方は違いましたか。上野 2004年のアテネは初めてのオリンピックでしたし、自分自身も若かった。責任感やプレッシャーを感じることもなく、自分の力が世界でどのくらい通用するかということだけを考えて投げていました。失敗もしましたが、アテネオリンピックの経験があったからこそ北京オリンピックの時はこういう準備をして臨みたいとか、何があるか分からないとか、相手チームの雰囲気がこう変わるとか、準備すべきことが分かっていました。ソフトボールがオリンピック競技として最後ということで、金メダルをとるラストチャンス。これで駄目だったら自分にはその力がなかったと思う、そういう状況でしたので、ソフトボール人生全てをかける思いもありました。2008年北京オリンピックでの「上野の413球」から12年の時を経て、再びオリンピックのマウンドで栄光を目指すレジェンド。日本ソフトボール界をけん引してきたエースが葛藤と苦悩の先に見据えるものとは。Text/中村聡宏  Photo(Interview)/魚住貴弘  Photo/AFLO SPORT12年ぶりの金メダルへ——東京2020大会に向けて、上野選手は今、どんな気持ちでいますか。上野 まさか、またオリンピックを意識することになるとは思っていなかったです(笑)。2008年の北京オリンピックで自分のソフトボール人生が完結し、やり切った感がありました。今も現役ですが、今のチームでは自分が活躍すること以上に、若い選手にもっと経験して活躍してほしいと思っています。それでも、自分が競技を続けることによって注目していただけますし、必要としてくれる人たちがいるからその期待に応えたい、ソフトボールに恩返しをしたいという思いで現役を続けています。意識をしていなくても、周りが勝手に意識させてくれますよね。Athlete‘s Interview東京で魅せる!注目追加種目特集私たちの東京2020宣言東京で再び頂点に輝くために上野 由岐子

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