OLYMPIAN2019
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Inaba16あります。監督になってみて、選手時代と野球の見方が変わったところはありますか。稲葉 選手は自分のプレーに集中しています。チーム全体として勝つという最終目標がありますが、その中で自分が与えられた役割を果たすことが選手の意識としては第一です。一方、監督はとにかくチームを勝たせなくてはいけない、チームを一つにしないといけないので、チームや試合全体を見る必要があります。私自身は野手出身ですから、交代のタイミングも含めたピッチャーについて考えるのは、選手時代と大きく異なり難しさを感じる部分です。プロ野球を引退して一番勉強をしたのはピッチャーのことかもしれません。投手心理もそうですし、ピッチャーズプレートの使い方や、その意図など細かいところまでピッチングコーチに話を聞きながら勉強しています。勉強すればするほどすごく繊細で面白いですし、奥深さを感じます。 野球で大事なのはやはり「守り」なんです。守りからリズムを私たちの東京2020宣言心の熱い選手を求めて——いよいよ東京2020大会まであと1年あまりです。今、どんな活動をされていますか。稲葉 選手個々の状態やプレースタイルなどを含めて視察をしています。私が特に大事にしたいのは、国際大会、短期決戦で重要になる選手の熱い気持ちです。野球の競技人口が減っている今、野球人気を盛り上げるためにも東京オリンピックで金メダルをとりたい。そんな熱い思いを持った選手の集まりにしたいと思いますし、そういうのは会って話をしないと伝わらない部分がありますので、チーム関係者を含めてコミュニケーションをとっているところです。——野球はチームスポーツである側面と、ピッチャーとバッターの個の対決の積み重ねという側面がAthlete‘s Interview東京で魅せる!注目追加種目特集野球というスポーツの素晴らしさを伝えたい稲葉 篤紀野球日本代表「侍ジャパン」を率いる稲葉篤紀監督。選手として出場した北京オリンピック以来、12年ぶりに公式競技として復活する東京2020大会に挑む、監督としての思いとは。Text/中村聡宏 Photo(Interview)/尾関裕士 Photo/AFLO SPORT
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